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幾つか登ったあと、やっと開けた場所に出るとそこは神社だった。ああああ、疲れた。どんだけ階段あるんだよ。視線を巡らせたらまだ他にも鳥居があるではないか。鳥居恐怖症になりそうだよ。まあ、私はほとんどリクオに手を引いてもらってたんですがね。



「まだけっこう参拝客とかいるのね」
「見えない人間には柱も見えないと思う」
『暗いけど時間は昼間だしね』



私の後ろにいた冷麗と紫の言葉にそう返す。すると周囲を珍しそうに見ていた淡島が私を振り返った。



「こんな時間に女でいるなんて初めてだ!動きにくくってしゃーねぇよ!!」
あんた全然そんな風に見えないくらいさっき動きまくってたじゃない



すると頭の後ろで手を組みながら河童が口を開いた。ついでにその隣で納豆小僧も同じポーズをしている。何も表情まで似せなくてもいいと思うけど。



「淡島ってさ···“便所”ってどーしてんの?」
「あ〜ん?男子便に決まってんだろ?オレは基本男だからな!!」



今は女だけどな。



「リクオと一緒さ〜。なぁ?あれ?リクオって人と妖怪どっちが主なんだ?」
「······」



そう言いながらぐいぐいっとリクオの体に抱き着き体を押し付ける淡島。そのとき。



シュン···ッ



物凄い音を立てながら高速で何かがリクオと淡島の間を通り過ぎた。「うおっ!?」と声を上げた淡島がその場から飛び退いて、何かが過ぎて行った方を振り返る。周りで見ていた妖怪達もその方向を見ると、見覚えのある扇が木に突き刺さっていた。



((((え、あれって木に刺さるほど鋭かったっけ?))))



皆が思わぬ出来事に冷や汗を流しながら扇の所持者である私の方を振り返った。目前を通り過ぎたリクオと淡島なんか、顔を引き攣らせながら青褪めている。青褪めるを通り越してもはや白いくらいだ。


近くにいた冷麗と紫とイタクが一歩私から離れる。


周りからの視線に私はニコリと笑みを浮かべて扇を投げた右手をブラブラとぶらつかせた。



『ごめん、手が滑った』

((((いや嘘つけ))))

「おいおいおい!さすがのオレもビビったぞ、神夜!」



私の言葉に奴良組のみんなとリクオと遠野妖怪たちが一斉に心の中で突っ込んだ後、淡島が盛大に声を張り上げて私に詰め寄ってきた。それにべ〜と舌を出しながら顔を逸らす。


だって、あんだけ近づかれたらさすがにイラっときたんだもん。しかもベタベタと。


さあて、登りましょか。



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