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迷宮・鳥居の森



「不幸中の幸いだな。不時着した九条の辺りからすぐ近くだった」



首無が地図を広げながらそう言う。私はそれを聞きながら幾分か近くに見えるようになった妖気の柱をリクオの隣でじっと見つめた。相変わらず空は曇天だ。光が一切ないし、暗くてしょうがない。


あの柱が立ち上る場所。“伏目稲荷神社”



「見るからに怪しいって感じだな···」
「お、おい見ろ!!」



黒田坊の言葉に続いて近くにいた妖怪の声に私は顔を向けた。そして次の瞬間。



「なんじゃここ!!」



所々に霧が立ち籠る、そんな中から現れたのは数が解らないほどの鳥居。


私はそれを見て顔を青褪めた。あまりの迫力にポカンと口をあける。いや、めちゃくちゃヤバイ。これ伏見稲荷神社まで続くの?え、まさかこれを登るの?嘘でしょ!?


初めてそれを見た私と私の後ろにいた遠野妖怪たちが呆然と鳥居を見上げる。



「·········すげぇ···」
「おびただしい数の鳥居が···」
「まるで鳥居の森だな」
『うまいね、土彦』



淡島、冷麗、土彦、私の順番で言葉を発する。ねぇ、これ嘘でしょ。マジで登るの?本気と書いてマジと呼ぶくらいの勢いだよ?ねえ?


嫌そうに顔を歪める私の隣で納豆小僧が「で、出そうだな···」と小声で呟く。やめてよ、そういうの。



"伏目稲荷へ向かえ。それが“らせんの封印”の一番目の場所だ···"



白蔵主あのおとこに言われてこの地に向かったはいいが」
「何を信用してリクオ様は」



私が遠野妖怪たちと会話をしている中、そんな首無と黒田坊の話が聞こえてきた。私はしがみついてくる紫の頭を撫でながらチラリと前にいるリクオを見る。


青田坊・氷麗との連絡は一向につかず。ゆらや清十字団もなぜかダメ。妖気をたどろうにも多すぎて京都では無理。


どうしたものか···と顎に手を当てている横で納豆小僧も私と同じような動作をしながら「らせんの封印、らせんの封印···はて···どこかで」と呟いている。



『どうしたのブツブツと。怖いよ』
「姫様ほどじゃないですよ」
『どういう意味だコラ』



すると前にいたリクオがぐいっと私の手を引っ張った。



「···あの男は何かウソをつくような奴じゃねぇと思うぜ。とにかくここをさぐろう!」
『本当に登るの!?誰か嘘だと言って!』

「嘘。」
シバくぞイタク



本当に言われると腹立つわ。



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