鹿金寺の決戦!!
翌日の遠野では四つに区切られた稽古場で丸まる一つ使ったリクオの修行が行われていた。
私はその様子を端の方で見ているのだが······これ、私がいる意味あるのかな。目の前で行われるリクオとイタクの稽古に私はやる事がなく退屈で、思わず欠伸を溢した。
木の棒でのリクオの稽古は大変だと思うのです。私なら絶対無理!
「ハッハッ」
「そーだ、
鬼發を持続させろ。戦闘中は決して解くなよ」
イタクが鎌を構えて一歩下がったその時、一気に距離を詰めたリクオが木の棒を振り下ろしてガギィィィンと鎌と木の棒が交じり合う。
私が『ヒュ〜♪』と楽しそうに口笛を吹くと同時に二人は離れてお互い距離を取った。
おもしろいんじゃない?リクオの“畏”···思ったより応用が利いてるし···。
私が腕を組んで楽しそうに口角を上げる隣で寝転びながらリクオとイタクの様子を見ていた雨造が「ピュイイー」となんとも言えない口笛らしからぬマネをする。
「リクオやるね。成長したと思う?神夜」
『すっごい成長したと思う』
すっごいの部分を強調して言えば聞こえていたのかリクオの口角が分かりやすい程に上がった。何て単純···。
いやあ、でもこれは本当に思う。ここに来てそんなに長くないのに最初は何も出来なかったリクオがここまで成長するとは。お母さん嬉しいッ!と着物の袖で涙を拭く真似をする。
おい、雨造変な目でこっち見んな。今ちょっとテンション高いだけだから。
「神夜、気が散るから変なことすんな」
『ごめんなさいね!!』
チラリと視線を寄こしたイタクに私はフンと鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
いつもこうやって言い合い?をする私とイタクだがいざ戦闘になれば気が合うのだ。とゆーかイタクはいろんな意味で気が楽。私が弱っていた時も無言で隣にいてくれたのはイタクだし、何だかんだ言って世話焼いてくれたし。(あ、冷麗もか)
そして私の行動をよく解っているため、怒る時は周りの皆をさり気なく避難させてくれる。主に淡島や雨造に怒るのだが。まあ、遠野にくる時だけの関係だけれど。
「たいへんだぜ神夜、リクオォォ!!」
「!!」
『淡島?』
その時、ズザアッとやってきたのは淡島で。突然呼ばれた私とリクオは首を傾げる。
「京都方面に行ってる遠野モンから連絡があった。陰陽師は壊滅だ!!」
「『!?』」
「京都が······羽衣狐の手に落ちるぞ!!」
私とイタクとリクオはその言葉に目を見開いて顔を見合わせた。