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「何あのヤクザ達!!」



初っ端から大声を出して拳を長机に叩き付けているのは巻。



「ゼッタイあやしーよあいつら!!なんで品子さんを脅すわけ!?○○毛みたいな頭してさーーッ」
「巻!?」



ギャアギャアワアワア騒ぐのは全然構わないんだけど巻さん······ここ神主さんの家だからね?わかってる?静かにしようね?


みんな、巻の言動に困った顔してるからね?


リクオとカナの間に再び座らされた私は出されたジュースを片手に頬杖を突きながらギャアギャアと五月蠅い巻を見つめた。そんな彼女におどおどと声を出す菅沼さん。



「あの人達は···邪魅の噂がたって···出て行った家を安く買い叩いてるブローカーなのよ···」
「やっぱり!!あいつらが犯人じゃん!!」
「え!?犯人!?」



巻の言葉にガタと興味を示す鳥居たち。それをジュースを飲みながら見た私は呆れたように目を細めた。


おーい、勝手に事件にしてんじゃねえよ。邪魅はどこいった?



「きっとあいつらが邪魅を操って欲しい家や土地を奪う為に襲わせてんよ!!」
「な、なるほど···」
「妖怪を使役して···興味深いな」



名探偵巻とばかりに名推理を披露する巻に思わず納得する鳥居と清継くん。



「うーーん。そのような妖を人間が使うなどないと思うが······」



ですよね。


顎に手を当てながら神主さんがそう言うと、急に隣から「神主さん!!」と大きな声が聞こえた。



「は?」
「何か方法はないんでしょうか!?」
『リクオ···?』



長机にバンと手を突いて神主さんに迫るリクオに首を傾げる私達。急にでかい声を出すからちょっと耳がキーンとしたんだが······。


思わず耳を押さえた私に気付くことなくリクオは神主さんに詰め寄る。



「ボクら、品子さんを守りたいんです!!邪魅にはもう触れられたり···このままじゃ···急がないと!!ね、神夜もそう思うよね!?」



おーい、急にこっちに話を振らないでぇ。お願いだからぁ〜。


仕方ない、ここは乗ってやるか。



『あーうん、そう「ほら、神夜も言ってる!!」
『············』



まだ最後まで言ってないから。せめて最後まで言わせてよ。被せるなよ。セリフとるなよ。聞いてます?リクオくーん。


そんな私の心情など気づくはずもなく、巻と鳥居が大変失礼なことを神主さんの前でサラッと言った。



「何言ってんのリクオー。気持ちはわかるけど」
「この人の札は効かないって言ってんじゃん」
「···仕方ありませんね」



ほら、巻と鳥居が素直に言うから少し間を開けたじゃないか。


え、てか。



「え?」
『あるの!?』
「実は···20年前にも邪魅にとり殺された事件があったんです」
殺······
「その時···京より取り寄せた、奥の手があります」



ちょっと待って。今この人、サラッと流したよね?え、殺されたって何。


思わず顔を青くさせて、その話を詳しく訊きたいんだが···オーラを出している私達を気にすることなく神主さんは四枚のお札をスッと長机の上の置いた。


南、西、東、北と書いてるのはこの札を貼る方角の事を示しているんだろうけど······なんだろう、この札。


思わず私達はその札を凝視してしまった。



「これは強力な護符。この四枚を四神として───部屋の四方に貼り、決して外には出ないこと。勿論、品子ちゃん以外は中にも入らないこと。そして朝まで······絶対に戸を開けてはなりませんよ···」



凄味の利いた顔で言う神主さんに私達の誰かがゴクリと喉を鳴らした。



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