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私と手を繋いだまま顔を少し俯かせて歩く菅沼さんに、皆は口を開かず何処か気まずそうな顔をして歩いている。シーン···としている空気に私が何も言えずいると、少し離れたところにいた町の人がヒソヒソと此方を見て話しているのに気付いた。



「あ···菅沼さんちの子だわ」
「あそこも邪魅に憑かれ出したらしいわ」
「近寄れないわ。いやね〜〜〜」



声を小さくして話をしているが話の内容がバレバレだ。冷たい目で其方を見ていた菅沼さんが私と繋いでいた手に力を込めた。其れを握り返して町の人たちを睨みつけると私たちの後ろで巻と鳥居が口を開く。



「な〜〜にィ感じわるっ」
「品子ちゃんをまるで悪者みたいに·········」



「気にしちゃダメだよ」「品子ちゃんのせいじゃねーじゃん」そう言って私とは反対側に来て肩を組んで元気付ける二人。


邪魅のせいで···早く······何とかしないと······。


後ろにいるリクオに視線を向けると彼も同じことを思っていたようで頷いた。


すると、「よし!!」と声を上げて清継くんがぽんと手を叩いた。



「海に行こう!」
「『へっ······』」



急な発言に私と巻が声を上げる。いつもはKYな清継くんが珍しく黙っていたと思えばこんなことを言い出したのだ、驚くよねそりゃ。



「どーした清継くん!?」
「作戦を練るにも気分が落ちちゃーー出るものも出ないよ!!この際パーーッと行こうじゃないか!?」



ハッハッハッと腰に手を当てて笑う清継くんに「いいい!!ナイスアイディアよ清継くん!!」「まさかその口からそんな言葉が出るなんてえええ」と感動している巻と鳥居。



((みんなの気分が明るくなった!!さすが清継くんだなぁ))



私とリクオはそんなことを心中で思っていた。


私達は一旦家へと戻り、それぞれ水着に着替えてから海へ行ったのだが。


清継くんの性格に今だけは尊敬の念を抱いてはいたのだが、ついたのは何と海ではなく······。



「ぎょせん······?」



泳げねーし。



「しまった···まさかこの町がカニの産地で有名だったなんて!!知らなかった〜〜!!」
「てめーはマジでいつもこーだなぁああ!!」
「一瞬でも男前に感じた私らがバカだったよッ!」



清継くんを締め上げる二人に悲鳴を上げる清継くんを尻目にカナが私たちを振り返って「せっかく水着もってきたのにね」と言った。アホだな···。


尊敬の念を抱いたのがバカらしくなってきた。



「ありがとう。元気···出たよ」



未だに清継くんを締め上げている二人の後ろで菅沼さんが口を開いた。清継くんの顔が死んでる···。



「え···どして?こんなおバカに付き合わされたのに!?」
「うぅん·········みんなが来てくれただけで心強いの···。邪魅の出る家は············町の人からもあまりよく思われないから······清十字団みんなみたいな仲間がいるってことが本当に、私は······うれしいの!!」



目に涙を溜めてそう言う菅沼さん。



「ありがとう。本当に来てくれてありがとう」



そう言って頭を下げた彼女に、巻と鳥居は気まずそうに頭をかいた。



「······いやぁ、まだ何もしちゃいませんが···」



巻の言うとおりだ。



「そうだ!!ボクらはまだ何もしちゃいないぞ!!今夜こそ邪魅をつかまえるんだ!!」
「まだ言うか!」
「ハンターですから!」



それ嘘だろーが。



「おいおい〜〜〜バケモン憑きのその娘にゃかかわんねーほうがいいぜ···?」



どこかで見たことがあるような顔の不良さんたちが現れた。私たちはザッと彼らに視線を向ける。



「菅沼のおじょ〜〜さん、ここにいたのかい?家に誰もいないからさがしたぞ」
「ひひひ、やばいことになっちゃう前に早く出た方がいいぜぇ〜〜!?」



すると、先頭にいたお兄さんが「ん?」とリクオの姿を見ると「ゲッ」と声を上げた。そして次の瞬間···。



「ど······どーしたんすかハセベさん!?」
「うるせえ!!今日のところはこれで帰るぞ!!くそっ···なんであいつがいるんだ!?」



嵐のように去って行った。


「なんだ···今のやつら」「ボクにおそれをなして逃げたのか···?」驚いたように彼らの走り去る後ろ姿を見送っている清継くんたちの後ろ姿を見ているとリクオが私と氷麗の名前を呼んだ。



「神夜···つらら···今晩あいつ、また出るぞ」
「『へ?』」
「邪魅の正体···あばくぞ!」



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