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幹部戦



たくさんの桜が夜雀の周りを囲むと、それはたちまち刃へと変わり夜雀の体に傷をつけていく。


夜雀の体を傷つけた桜たちが次々と散っていき、囲っていた桜の花びらがなくなると夜雀はバタンッとその場に倒れた。彼方此方からたくさんの血が流れ出ている。


夜雀が倒れると同時に闇に呑まれていた右目に光が戻った。光が見えた目に感覚を戻すように瞬きをすると左目を覆っていた氷がパリンッと割れる。


ようやく両目で見れるようになり私はフッと笑みを溢すと「姫様!」と駆け寄ってきた氷麗の頭を撫でた。



『リクオ!!』



振り返って名前を呼ぶと、光が戻った目を開いたリクオは目の前にいた玉章を斬りつける。不意打ちに「う···」と唸った玉章はリクオから距離を取った。



「やるじゃねーか、神夜」



祢々切丸の柄をくるっと回して刃についていた血を払う。



「さんざん人の女見下しやがって。玉章よ···てめえの下僕の方が下じゃねぇか」
「············」



静かに睨み合う私達の耳に四国妖怪の幹部たちが倒されたと報告があった。



「どいつもこいつも、役に立たない奴らだね···。ま···関係ないけどさ···」



そう言いながらシルシルと玉章の髪の毛が近くに落ちていたあの変な刀を拾い上げる。


あの刀···なんていうんだろうか。



「所詮」



その髪は近くにいた四国妖怪たちの元にも届くほど伸びてゆく。それに気づいた妖怪達が「玉章様?」と名前を呼ぶが、



「使われる存在だからな」



そう言い捨てると数人の妖怪達の首をその髪の毛で刎ねた。思わず目を見開く私に構わず玉章は言葉を続ける。



「お前達······ボクの為に···身を捧げろ」
「た···玉章様!?」
「ギャアアア」



妖怪達の悲鳴を諸共せず玉章は仲間の妖怪達をその長い髪の毛で包み込んで次々と斬り殺していく。



「!? 何をしているんだあいつは!?」
「ウワッ···」



驚いたような黒田坊の声と髪の毛が近づいてきて思わず身を引く河童の声。



「味方を···」
「斬っているのか!?」



毛倡妓と首無の言葉に私は眉を顰めた。あいつ···仲間を殺しているのか。



「玉章様······おやめ下さい!!仲間になにをな···」



玉章を止めようと首無の糸から抜け出した針女がそう言うが玉章は一寸も躊躇わずに刀で針女を切り裂いた。


それに驚きの表情の浮かべる私達。


たくさんの妖怪達を斬り殺したその刀を構え玉章はリクオを睨みつけた。



「ふはは···見ていろリクオ!!下僕の血肉でボクは魔王となるのだ───!!」



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