八
それから数年後───······。
スカートのホックを留め、Yシャツを着るとその上から学校指定のカーディガンを着る。ショートの髪の毛を両サイドの編み込みにしてピンでとめる。
あの騒動から四年。私はリクオの護衛としてあの後からリクオの学校に転入生として入った。リクオの幼なじみという括りで周りの人たちにどういう関係!?と騒がれたのが今は懐かしい。
カナとは今も続いていて大親友です。そして私がリクオの家に住んでいるということも知っているカナは良き理解者でもある。
でも、あの騒動からリクオは結構変わりました。
「神夜、行くよー」
『はーい』
リクオの呼ぶ声に鞄を持って玄関まで走る。玄関では学ランを着て眼鏡をかけているリクオがおじいちゃんに悪だくみをしないように注意しているところだった。相変わらず人間らしいリクオに苦笑いをもらしながらローファーを履く。
「ま···我々も昼は···大した活躍、出来ないですから。だが···夜になれば···」
木魚達磨の声を聞きながら、私はリクオから受け取った食パンを口に咥えて立ち上がる。玄関のドアを開けてリクオが靴を履き終わるのを待つ。
「いつまでワシが総大将でおりゃあいいんじゃ。早ぅ隠居して楽にくらしたいんじゃがの〜〜」
今でも悪事を働いている人が良く言う···。
思わずおじいちゃんの言葉に苦笑いを漏らす。
「神夜、待っててくれてありがとう!行こうか!」
『はいはい』
ニコッとリクオと笑い合い、駆け出す。
「あいつが三代目を継ぐのは···いつになるんじゃろうの〜〜」
「『いってきまーーっす!』」
玄関の前で私たちを見送っている妖怪達に挨拶をして私たちは学校への道を急いだ。
「さぁて···どうなりますかな······?」
中学1年生の私とリクオは、人間らしく生きて妖怪とは縁のない道を歩んでいます。まあ、【人間らしく】って言うのはリクオにだけ当てはまるんだけどね···?