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百鬼夜行と盃



「ボクが百鬼夜行を作る?」



鴆の言葉に困惑の表情を浮かべるリクオ。



「そうさ。妖怪なんざ···気まぐれなもんさ。大将に強さを感じなきゃどこへなりともすぐに消えてっちまう」



フラフラと勝手に何処かへ行っている神夜と一緒だ。例えは違うが根元は一緒なのだ。ぬらりひょんと並んでもその“畏”の威厳を落とさない神夜。だから組の者たちは神夜の事は信頼している。


その芯は“畏”も美しい容貌も全て素晴らしい者だが、神夜の場合は性格なかみが大変気まぐれだ。その気まぐれさは妖怪のそれを表している。



「ましてや───盃も交わしてねぇお前の下にゃあな。いいか···リクオ·········“畏”をぶつけて···百鬼を集めろ!お前ならできる···」
「わかってる。鴆くん、それ···夜のボクのこと言ってんだろ!?でも···一日の四分の一しかなれない夜のボク・・・・だけじゃあダメなんだよ!ボクは······この姿のままでもみんながついてきてくれるようにならなきゃいけないんだよ!!」



神夜のように人間でも妖怪でも皆が後ろをついて来てくれる自分にならなきゃいけないんだ。まだ自分は彼女の後ろ姿に追いついたばかり。いや、追いつけていないかもしれない。けど神夜とは上下の差がなく平等になりたいんだ。彼女の隣に立って堂々と神夜を守りたいんだ。



「今のままじゃダメなのはわかってる···だから···頑張らなきゃ···」
「バッカやろーーーー!!やっぱりおめーはわかってねーー!」



意志をはっきり告げるリクオに鴆は怒鳴るように大きな声を上げた。それに驚き目を見開くリクオ。鴆はそんなのお構いなしに襖へと近寄って襖に手をかける。



「百鬼夜行はそーじゃねぇ。昼も夜も関係なく“お前そのものに”おのずとついてくる······“仲間”ってのを集めろっつってんだよー!!」



それと同時にガラガラと襖を開けると神夜を先頭に氷麗、首無、河童、青田坊、黒田坊が部屋になだれ込んできた。



『うわっ!?』



先頭にいた神夜を一番下にしてその上に青田坊たちが積み重なっていく。一番下にいた神夜は上に乗る体重を支えきれず助けを呼ぶように右手を伸ばした。



『ちょ、おもっ···退け、お前ら〜』



そんな神夜に気づいた青田坊たちは慌てて彼女の上から下りる。すると鴆の横に倒れ込んでいた首無が「いてて······バレてたのか···」と口を開くが鴆はそんな様子に苦笑いをしているだけ。



『あーいててて。君たち重すぎじゃね?』



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