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反撃



ある駅の前。ベンチにはカナとゆらが並んで座っていた。



(ゆらちゃん···急に何だろう···?)



"奴良くんたちのこと詳しく教えて!"



パックのジュースを飲みながらカナは横目でゆらを見る。(なんか···あったのかな···?)とじぃ〜とゆらを見ていると「······家長さんて···奴良くんと神夜とどんな関係なん?」とゆらが口を開いた。思わず「え!?」と肩を跳ねあがらせる。



「どど···どんな関係って···!?」



声が裏返りながらそう言うカナにゆらはズズ···とジュースを吸う。



「ほら···いつから知ってるとか···二人とも、どんな人かとか···」
「あ、あーーえ···えっとぉー」



カナは昔から一緒の二人の事を頭に思い浮かべた。


ーーリクオくんとは···幼稚園が同じで···そこで出会って、近所だったからバスが一緒で···それからかなァ仲良くなったのは。それでよく遊んだりもして···。



「小学校の時もなんかよく同じクラスで···あれ?よく考えたらもう8年もずっと同じクラス?すっごいくされ縁だなー···」



ーーそれで神夜とは···リクオくんを通して知り合って···ほら神夜、リクオくんの家に住んでるからさァちょくちょく一緒に遊ぶようになって···。



「小学校に上がって少し経った時に転入してきてそれからよく同じクラスで···あれ?もしかしてリクオくんと同じで8年も同じクラスなのかな···?しかも気づけば私の隣にいたのはいつも神夜だし···」



神夜の顔を思い出して頬を緩めているカナを静かに見つめるゆら。


ーーやっぱりや···家長さんに聞くのが一番やと思ったんや···あの二人···奴良リクオと月影神夜。あの子らは···絶対何かある!!


昼間の舞台は清継くんの演出とちがう。間違いなく本物の妖怪やった。しかも妖怪の総大将とかぐや姫が絡んどった·········!!


犬の妖怪···氷を操る妖怪そして首が浮いていた妖怪···浮世絵町で私が捕まったときにいたやつや···私が迂闊に手が出せへん程の大量の妖気······その舞台の中心にいたのはあの二人。そーや!!きっと何か知ってる!!



「そんでそんで!?」
「え?」
「他には!?普段···二人はどんな話をしてるん!?」
「ゆらちゃん!?」
「休みの日とか···何してんのやろ!?あと友人関係とか!!」



ガシッとカナの手を掴んで迫ってくるゆらにカナは「ええーー!?」と声を上げた。食い気味のゆらから少し離れて(そ、そんなこと何で私に!?ゆらちゃんいつもと違う······!!)と考えるカナ。


ーーそういえば···TVで言ってたような···「京都の人」にとって「あがっていき〜」は「入ってくんなや」の意味だと···やんわり遠回りに言うのが京の女のたしなみだと···。


そーだわ!!ゆらちゃん絶対!!神夜のこと···好きなんだー!!


もはやリクオの存在は置いといてのカナ。(だってリクオくんは神夜のことが好きなのまる分かりだし!そんなリクオくんを好きになるはずがない···となるとやっぱり神夜なんだわ!でも相手は女の子。素直に言えないからリクオくんも巻き込んだのね)と勝手に解釈に入る。


ーーそ···そ···そーかぁあぁあ、知らなかった···。


じゅるじゅると目の前でジュースを吸うゆらを見ながらカナは(どうしよう···)と頭を悩ませる。



「家とか···昔から行っとったんやろ?(少しでも情報聞き出さな···)」



ずいずいと聞いてくるゆらに少し引き気味のカナ。二人の思考がはっきりと違うことはどちらも気づいていない。


ーーそっか···少しでも知りたいんだ。私が「幼馴染み」だから···でも···幼馴染みだよ?



「そんな知りたいの?」



どうしよう···はっきり言っていいのかな···と悩むカナにこくりと頷いて「二人の写ってる···写真とかない?」と問いかけるゆら。その言葉で(これは···決定的)と解釈の違いを見せるカナ。悩むように口に手を当てると頭に浮かぶのはいつも神夜の側にいる氷麗の姿。


カナはスッ···とゆらの手を両手で握った。



「わかった···!ゆらちゃん···。うちに来て···二人のこと知ってる限り教えてあげる」
「ホンマか!!」



カナのその言葉にゆらが内心よし!と思っていると、カナはゆらに顔を近づけてこう告げた。



「でも知っといて!!神夜てたぶん、私のこと···好きだと思う!!それにリクオくんも神夜のこと好きだし!!それでもいいなら協力する!!でもごめんね!!うん!!」



と勝手に言い張り、一人頷くカナを前にゆらはぽかんと口を開けた。



(何を言うとんのや、この子は···)



思考の違いがわかった瞬間である。



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