×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



「実力テスト返すぞー」



そんな先生の言葉に私は寝る態勢に入っていた所から目を見開いた。そういえば、そんなテストがあった気がする···。ここんとこ何かと忙しかったから忘れてた。


皆が次々と先生から数学のテストを返される中隣の席のリクオに目を向けると彼は答案用紙を見て「うーーん···」と唸っていた。



「ちょっと落ちたなー。ここんところ夜も活動してたしなあ···」



お前、いつも点数いいもんな。


思わずリクオをジト目で見ているとクラスの男子が「奴良〜〜何点?」と声を掛けてきた。そしてリクオの周りにゾロゾロと集まってくると「おいおい、みんな一緒じゃ〜ん」「当たり前だろ、リクオの写したんだから」と彼のテストを見ながら騒ぎ出した。


え、今写したとか言った?え、何それ。ズルくね?


すると私の横からにゅっと顔が出てきて「どれ?」とリクオのテストを取った。思わず『わっ!!』と声を出すとカナに「何よ」とジロリと睨まれた。何よって···急に横から顔出すのやめてくんないかな。ビビるわ。


そんなことを考えているとカナは「あっ···」と声を出して体を震わした。それに首を傾げているとリクオが私の横から顔を出して「どーしたのカナちゃん」と問いかけた。お前ら人の横から顔出すの好きだな。



「べ···べつにぃ」
「家長さんいーなぁ!オレより36点も上!オレなんてリクオの半分だし」
「ちょっと島くん!?」



呆気なく点数バラされたな。まあ、でも安心して島くん。多分私の方が点数低いから。内心一人で悲しんでいると先生から「月影ー」と呼ばれた。来た。



「お前、もう少し頑張らんか」
『無理』



すると後ろの方から「せんせー!月影の点数、何点ー?」と地獄並みの声が飛んできた。ふざけんな、そんなこと聞くなよ!!



30点
『ギャーーー!!何暴露してんのおおお!?』



先生からテストを奪って叫ぶと教室中に笑い声が響いた。


クラスの皆に私の数学の点数がバレた四時間目······もうあれは死ぬほど恥ずかしかったよね。バラす先生も先生だけど笑う皆も皆だよね!!しかもリクオにまでクスクス笑われたし!!こんなに恥ずかしいことないわ。


ボーッとそんなことを考えながら屋上で河童や氷麗、リクオと共に氷麗お手製のお弁当を食べる。ガリ···と固い具材に私とリクオは食べる手を止めた。氷麗が作ったから当たり前なんだけど······つめてー。



「お二人とも!!どーですか!?お味は!?」



わくわくしながら聞いてきた氷麗に冷たいなんて言えず私とリクオは黙々と弁当を食べる。食べるたびにガリコリってあり得ない音が出るけど······具材も冷たいけど······美味いんだよな、氷麗の作る弁当。



「雪女···お前毎朝それ作ってきてんのか」
「あたり前でしょ?」



問いかける河童にそう返した氷麗は私を振り返り「神夜様!!明日は何がいいですか?」と言ってきた。私が『グラタン』と弁当を食べながらそう言うと「凍っててもいいですか!」と言われた。少しは凍らせないように努力しろよ。グラタンまで冷たいのかよ。


黙々とリクオと共に弁当を食べていると河童が屋上の柵に寄りかかりながら口を開いた。



「おや若、姫。生徒達が···体育館に移動してますよ」
「『えぇ!?』」



その言葉に思わず私達は顔を見合わせた。そういえば、今日ってたしか···。



「あっ···しまった!!今日は一時から生徒会選挙演説の応援があったんだった!!」
「何ですかそれ!?」
『行くよ!つらら』



「ハイ」返事をする氷麗。それと同時にリクオは私の手を引っ張って立たせてくれて、そのまま私達は手を繋ぎながら体育館までダッシュした。


ガヤガヤワイワイと騒ぐ体育館にリクオと共に「『間に合った〜』」という言葉と共に足を踏み入れる。まだ始まってないみたいでよかったよ。にしてもこうも全校生徒が密集してると暑いな···。



「あの···姫様···」



間に合ったことにリクオと一緒に安堵の息を吐いていると後ろから氷麗が声をかけてきた。



「若!リクオ様···神夜様···」
「何?」
「ちょっと············」



私達の背中に手を置きながら後ろを振り返る氷麗を首を傾げながら見ていると、一瞬体がゾクッと震えた。何···この気配···。



「神夜、つらら···この感じまさか···この中に···いるのか?

妖怪が、この五百人の全校生徒の中に······」



リクオのそんな言葉に私は唇を噛み締めて気配がする方を睨みつけた。



backprevnext