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妖怪・犬神



「あ、神夜おはよー!!」
「月影、はよー!」
「何してんのー?」
『先生からの呼び出しでさ〜今さっき終わったんだ』
「またかよ!?今度は何したんだ?」
『バカ。何もしてません。ただちょっと廊下を全力疾走してたところを見られてただけ』
「「「それちょっとどころじゃねえよ」」」



全力の皆からの突っ込みに『うっせ!』と返して廊下を歩く。職員室から教室への道、登校してくる人たちに次々と声を掛けられ返事をしながら教室へと向かう。


皆さん、挨拶が遅れてすみませんでした。朝、リクオたちと登校したら先生に呼び出しをくらい朝っぱらから職員室で怒られた月影神夜です。ホント、朝から怒るとかやめてほしいよね。そりゃー廊下を全力疾走してた私が悪いけどさ。


声を掛けてくる人たちにちゃんと返事をしながら先生たちに向かって文句を言っていると、私達のクラスのドアのところで脱力している人が見えて私はん?と首を傾げた。



『下平〜、何してんの?』
「あ、神夜」



「おはよー」返してくるクラスメイトの下平に『おはよう』と返すと近くにいた下平の友達の子が「きゃああ!!噂の月影神夜さんだー!!」と騒いだ。噂ってなに。


今だ騒いでいるその子にニコッと笑いかけて下平に『そんなとこで何してんの?』と声をかけると教室の中を指さされた。首を傾げながら教室へと入るとそこには黒板消しを持って黒板を掃除しているリクオと花が挿してある花瓶を持っている氷麗の姿があった。


あぁ···また恒例の良い奴をやってるのか。



『なにやってんの』



一言そう声をかけると振り返ったリクオと氷麗は「あ、神夜おかえり」「おかえりなさい神夜様」と私を見てニコリと笑った。それに軽く『ん〜』と返して二人の傍に近寄る。



「リクオ様、神夜様。せんえつながら…今まさに四国妖怪襲来の危機。こんな時こそ奴良組にいて立て直しをはかるべきでは?」



「ハイどーぞ」リクオに花瓶を渡しながら首を傾げてそう言う氷麗は「危ないですわ。人間のフリして学校はもういいのでは?」と問いかけてきた。リクオは花瓶を受け取ると「神夜、ちょっと持ってて」と花瓶を渡して来たので『はーい』と返事をしてリクオと氷麗の間で待機をする。



「つららーもーその話は何度もしてるだろー?」
「でも!昨日鳥居さんが襲われたのを知ったときはまわりのことも考えると···」
「だからこそ今まで通り生活するんだ」



何回もこの話してるような気がする。



『つらら···雪女は四国の妖怪が怖いの?』
「そ、そんなことありません!!」



一瞬肩揺らさなかったか?


まあなんでもいいかと考えてリクオに視線を移すと彼は黒板消しを持ちながら「さー今日も一日頑張ろー!!」と意気込んでいた。そんなリクオをじっと見つめる。


何か考えがあるのかな?まさか護衛がいるから逆に利用して学校の友人もついでに護ろうとか···?考えすぎか···。


そんな事を考えながら私はリクオから視線を逸らして手に持っている花瓶に目を向ける。これ、いつまで持ってればいいんだろう···。



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