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「星空ちゃんのことが好きなんだ!」


綱吉と一緒に屋上へとご飯を食べに来た星空は突然言われたこの言葉に戸惑いの表情を浮かべた。


『えっと···ツナ君?』


いきなりの言葉に目を瞬きさせる星空に気づいた綱吉がハッとしたが、今さら後戻りはできないと目をぎゅっと瞑って拳を握りしめる。
屋上に来る前にかけられた獄寺と山本と瞬斗の応援の声が脳裏を過った。


「お、オレ、全然ダメダメだし、何をやっても上手くいかないけど、そんなときにいつも声をかけてくれる星空ちゃんのことが···ずっと好きだったんだ」
『······』
「山本みたいにスポーツが上手いわけでもないし、獄寺君みたいに頭がいいわけじゃない。瞬斗みたいになんでもできるわけじゃない。だけど······オレ、星空ちゃんのことを好きな気持ちは誰にも負けないと思うんだ!!」


気さくで誰にでも優しくて、スポーツもできて明るくて······そんな人気者の星空のことを綱吉は出会ったときからずっと好きだった。
京子とはまた違った可愛さで学校のアイドルと言われるほどの星空と、何をやってもダメダメな自分がつりあうとは思っていないけど。
それでも誰かのものになるのなら···。
いつもダメダメな綱吉でも、好きな子に告白するときぐらいはカッコいい所を見せたい。


「······だから、オレと付き合ってください!」


リボーンが来てから災難続きの綱吉のことをいつも支えてくれて明るく声をかけてくれる。
マフィアのことだって理解をしてくれて、怯えもせずに傍にいてくれる、大切で守りたいと思う女性。
綱吉が頭を下げた時、俯く視界に星空の上履きが見えた。


『ツナ君···顔あげて?』


その声に促されるように恐る恐る顔をあげると星空はニッコリと可愛らしく微笑んでぎゅっと綱吉に抱きついた。
いきなりのことに驚いた綱吉だが、リボーンに鍛えてもらっているお陰で倒れずにしっかりと星空を受け止められた。


「星空ちゃん!?」
『私···ツナ君は京子が好きなんだと思ってた』
「え!?」
『ずっと···ずっとそう思ってたけど·········なぁんだ、私の勘違いか』


綱吉の肩に顔を埋めて、星空は淡く頬を染めながらはにかむように笑うと、綱吉の首に腕を回したまま少し離れた。
上目遣いに自分を見上げる星空に、綱吉の胸がドキッと音をたてる。


『私もね······私も、ツナ君のことが好きだよ』


掃除当番でもないのに無理矢理代わりにやらされても放り投げたりせずちゃんと最後までやったり、スポーツで失敗してもあきらめずに最後まで頑張ったり。
星空は綱吉と関わるようになって、そういう色んな面が見えてきて、少しずつ綱吉に惹かれていた。
親友の花と京子には言えてないけど···ずっと綱吉のことが気になっていた。


『ね、ツナ君。私たち、両想いだね!』


子供のように無邪気な笑みを浮かべた星空に綱吉は顔を真っ赤にしながら彼女をぎゅっと抱き締めた。
星空も大好きな人の腕の中で幸せそうな吐息を漏らす。
ゆっくりと顔を離した二人の顔が徐々に近づいて───星空はゆっくりと目を閉じた。
柔らかい感触が唇にあたり、星空が綱吉の首に回した腕に力を込めるのに対し、綱吉も強く彼女を抱き締めた。

やっと······星空ちゃんをオレのものにできた······。

離れた唇がもう一度触れあおうとしたその時、


「調子に乗ってんじゃねーぞ、ダメツナが」
「ちょ、今いいところなんだから邪魔すんなって!」


聞きなれた声が屋上の扉の方から聞こえてきた。
次の瞬間、屋上の扉が開いて、瞬斗を先頭にして、獄寺、山本が雪崩れ込んできた。
そして山本の背中の上にリボーンが立つ。


「じゅ、十代目!すみません!」
「あはは···、わりぃなツナ」
「ちょ、どけお前ら!」


獄寺と山本が謝る中、一番下で押し潰されていた瞬斗が声をあげる。


「や、山本に獄寺君!それにリボーン!!」
『瞬斗···あんた何やってんのよ!?』


星空は幼なじみの瞬斗がここにいるとは思っていなくて、彼を思い切り睨み付けた。
あはは···と頭をかきながら誤魔化すように瞬斗が鬼のように睨む星空から視線をそらす。


「オメーら、いつまで抱きあってんだ」


リボーンのそんな言葉に綱吉と星空は顔を見合わせるとお互い顔を真っ赤にしてバッと離れた。


「よかったな、ツナ!」
「おめでとうございます、十代目!!」
「あ、ありがとう、山本、獄寺君」


照れくさそうに頭をかく綱吉の隣で瞬斗は女の子らしく真っ赤な顔を両手で隠している星空の肩にポンッと手を置いた。
振り返った星空にグーサインを見せてニカッと笑う。


「いやぁ、よかったなぁ星空!俺は嬉しいぜ!!」


そんな瞬斗にピキッと星空の額に怒りマークが浮かんだ。
ぎゅっと拳を握りしめて。


『ふざけんな、このバカ瞬斗ー!!』
「いってええ!!?なんで俺が殴られんの!?」


そんな幼なじみの会話に綱吉は笑みを浮かべながら、星空の顔を見た。
まだ若干赤い頬で瞬斗を殴り続ける星空を優しい笑顔で見つめる。

ずっと、大切にするよ───








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