『うわ〜、寒っ』
ブルブルと震える体を押さえつける。
パチパチッと火が飛び散る音に視線を向けると、薪を燃やす暖炉の火が勢いよく燃えていた。
ボーッとそれを見てるとハッピーを抱えたルーシィが体をさすりながら隣に座って身を寄せてきた。
「まったく······こんなに夜が冷えるとは思わなかったわ」
『あれ、ルーシィとハッピーさっきまでホロロギウムの中にいなかった?』
「時間切れ······」
「短かった······」
『あ、お疲れ様です』
まぁ確かにこんなことになるとは思ってなかったからいつも通りの薄着で来てしまったわけだが。
私たちは仕事で来ていたのだが、夜になって天気が急変。
景色は雪景色へと変わり、私たちは急いで村のコテージを貸してもらい吹雪がおさまるまでここで待機することになったのだ。
「これも全部あんたたちのせいなんだから!」
そう言ってルーシィがキッと睨む先には、正座をしているナツとグレイの姿があった。
仕事の途中でまさかのナツとグレイが迷子になってしまい探していた結果、帰るのが遅くなりこのような状態になってしまったのだ。
もちろん、原因の二人はしっかりとエルザからお叱りを受けている。
「「すみませんでした」」
「まぁ過ぎたことを言っていてはキリがないからな」
結構ガミガミ言ってた気がするけどな。
私は反省をしてるらしい二人をチラリと見て、ひっついているルーシィの肩へと、自分がくるんでいた毛布をかける。
ルーシィが驚いたようにこちらを見るのに対して、私はその場から立ち上がった。
「え、セイラはいいの?寒いでしょ?」
『いいって、かぶってろよ。ちょっと薪足してくるからもうちょっと待ってな』
クシャクシャとルーシィの頭を撫でて、暖炉に近づき薪をたしていく。
「ありがとー」というハッピーには手を振っといた。
これでちょっとはこの部屋も暖かくなるだろ。
ほらさっきよりは暖かくなってきた。
『よしっ』
「セイラー!!」
『うわっ!』
背後から抱きついてきたナツに倒れそうになってとっさに暖炉の周りのレンガに手をあてて体を支える。
「バカナツ!今セイラ危なかっただろうが!火につっこむとこだったぞ!!」
言いたいこと言ってくれてありがとうグレイ。
「うおっ!セイラの体つめてーな!」
『そりゃ寒いからね』
あれ?
「どうしたんだ?セイラ」
問いかけてくるナツを無視してお腹に回るナツの手をつかみながら、彼の方へと身を寄せるとナツは嬉しそうに私をぎゅっと抱き締めてきた。
ほんわかした暖かい体温が伝わってくる。
『さすが火の滅竜魔導士。ナツ、あったかいね』
「そうか?」
もっと暖かくなりたくて、ナツの腕の中で体勢を変えて正面からナツに抱きつくと、彼は先程より強く抱き締めてくれる。
あぁ、暖かい。
『まって、ナツと冬に寝たらいい感じ』
これ、冬に部屋暖かくしなくてもふつーに寝れるわ。
「セイラ、寒がりだもんな〜」
『そうね、寒いのが一番嫌い』
「のわりには寒い時とかでも夜に外出て星見てるよな」
『それはまた別だって』
ぎゅーっとお互い抱き締めあいながら会話をする。
なんか後ろでルーシィとグレイがギャーギャー言ってるがなんでもいいや。
「ちょっとナツ!そこ変わりなさいよ!」
「おいクソ炎!羨まし······じゃねえ!セイラに触ってんじゃねえよ!!」
「仲が良いのはよいことだな」
「でぇきてぇるぅ〜」
いつものことだから放っておこう。
なんかナツの暖かな体温に、眠くなってきてしまい、うつらうつらとしているとナツが顔を覗き込んできた。
「眠いのか?」
『うん······』
「寝てろよ。どうせこれがおさまるまで帰れねぇんだしさ」
あんたたちのせいだけどね。
なんてツッコミが後ろの方で聞こえた気がしたが、眠気が限界だった私はナツにぎゅっと抱きついたまま眠ってしまった。
完全に意識が落ちる前に、頭を優しく撫でる手と優しい声が頭上からふりそそいだ気がした。
「おやすみ」
暖かい温度
「おい、クソ炎!」
「うるせえ!タレ目野郎!!セイラが起きるだろ!」
「セイラの寝顔可愛い〜!」
「あぁ、そうだな」
「セイラ、幸せそうだね」
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