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「お前がーー八人目の大罪人。〈
城内で行われている宴に盛り上げ役として踊っていた私に声をかけてきた金髪の彼。
〈
それが、私と〈七つの大罪〉の出会いだった。
***
あの日から10年。私はこの"七つの大罪"の世界にトリップした際に拾ってもらった踊り子の姉さんの元、この世界でお金を貯める為に必死で習得した踊りを、色々な街で披露していた。
「綺麗な姉ちゃんだな!」
「姉ちゃん、踊り子かい?」
『ええ。旅をしながら踊っているの』
「そうかそうか!」笑いながらこの世界でのビールーーバーニャエールを煽るお客さんたち。
私は、そんなお客さんたちに笑みを浮かべてステージへと身軽に飛び乗った。
店の奥でいい商売だっと笑っているこの店の店主は、私が踊り子だと知るとこの店で踊ってみろと気前よく雇ってくれた人だ。この人のためにも稼がなくては…とマフィア時代に培った妖艶の笑みをお客さんたちに向けて視線をこちらへと集めると姉さん直伝のステップを踏んだ。
音楽に合わせてしなやかに体を踊らせる。ステップを踏むと同時に揺れるピンクベージュの髪も意識しながら、私は店中の視線を集める為に踊った。
アラビアン風の踊り子の衣装。妖艶に魅せるために透けている服。頭から髪が揺れると同時に舞うベール。
全てが光りに照らされて妖艶に私を映し出す。
ふわりっと一回転したと同時に舞い上がった薄い布のスカートの下からチラリと覗く生足に誰かがゴクリッと唾を呑み込んだ音が聞こえた。
やがて、音楽が終わり私の踊りも終曲を迎えてお客さんに深く一礼をすればーー割れんばかりの拍手が送られてきた。
「すげーよ、姉ちゃん!」
「さすがだなあ!」
「いやあ、綺麗な姉ちゃんを見ながらの酒は進むな!」
『ふふっ』
礼を終えて頭を上げた時に顔にかかったベールを手で退けたその時ーー視界に映った人物に私は動きを止めた。
ぴょこぴょこと動くアホ毛に相変わらず小さい身長。そして背中に背負う刃折れの剣。
「よっ。久しぶりだな、コトハ」
『団長…』
隣にいる長い髪の女の子の姿を目に留めて私は大きくため息を吐いた。
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