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カァカァッと頭上でカラスが鳴く。
私は目を開けるとゆっくりと体を起こした。


『どこ、ここ…』


何度目かのトリップでまたか…とため息を吐きたい気持ちはあるのだが、それより先にこの暗くジメジメしている場所に気持ち悪さを感じて周囲を見回す。

え、マジでどこここ…。ちょっとオイコラ。変なとこにトリップしたんじゃないだろうな。

とりあえず立ち上がれば、視線が低いことに気づく。


『………』


無言で自分の体を見下ろしてーーガクッと膝から崩れ落ちて地面に手をついた。


『またかよッ!!』


また小さいのか…!!!お願い、一回で…本当に一回でいいから元の(復活の世界の)年齢でトリップさせて!?!?また小さい体から成長していくなんていい加減嫌になってくるよ!?


『つーかここどこ!!?どこの世界!?!?』


辺りは暗く、人の気配なんてない森の中。そして私は気づく。

もしかして誰にも見つけられないとかないよね……?

スッと静かに立ち上がった私は一度深呼吸して大きく息を吸うとーー


『誰かああぁぁ!!ヘルプミー!!!!』


今出る最大の声量で叫んだ。

あ、ちょっとまって。喉が…っ!

いきなり大声出したからなのかゴホゴホッと咳き込む。『うえっ!ゴホッ!』と女子にあるまじき咳き込み方をしていれば、不意に何かの気配を感じた。
誰かいるのか…?と振り返ると目の前にいたのは異形の者。


『……………ん???


眉を寄せてしかめっ面で思わず凝視する。すぐそばにいる異形と視線を合わせること数秒。


「イノセンス……オマエノイノセンス…イタダクッ!!!」
『ちょっと待ってええええええっ!』


踵を返して全力ダッシュ!!!

後ろから追いかけてくる異形から全速力で森の木々の間をジグザグに逃げ惑う。真横を通りすぎたビームのような光に青ざめて、私はさらに走る速度をあげた。

イノセンスって言った!?ってことはここまさか…"D.Gray-man"の世界!?いやいやそれより先に私イノセンスなんて持ってなくない?いやでもあの後ろから追いかけてくる異形ーーじゃない、AKUMAはイノセンスいただくって言ってたよね?ちょっとカタカナでいいずらそうだったけど言ったよね!?

待ってよ…妖精の世界で敵と結構戦ってきたのにまた戦いのある世界なわけ?私嫌よ?面倒事嫌いなのよ?ま、だいたいいつも巻き込まれるんだけど!!


「マテ!!」
『待てって言われて待つ奴いねーよ!!』


後ろから飛んでくる攻撃を死ぬ気で交わしながらAKUMAから逃げ回る。
すると、林の奥から弾丸が飛んできた。『うおわっ!』とギリギリでそれを避ければ、追いかけてきていたAKUMAにそれは当たり、破壊される。

AKUMAがいなくなったのを確認して膝に手をついて呼吸を整えていれば、ザッと草木を踏む音がすぐ傍で聞こえた。今度はちゃんとした人の気配に、やったっ!と顔をあげた瞬間ーー後悔した。


「お前…イノセンス持ってるな」


長い赤髪に無精髭を生やした強顔のーー元帥の団服。


「ついてこい」


クロス・マリアン。

この世界の主人公の師匠ーークロス元帥。私は彼との出会いをきっかけに戦争へと巻き込まれていく。


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