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みなさん。歩きスマホは本当にやめましょう。じゃないと私みたいになります。

高校の帰り道、歩きスマホをして道路を歩いていれば横から余所見運転のトラックに追突され、呆気なく数年の生は幕を閉じた。

しかし……しかし、私はしっかりと転生物やトリップ物を読み漁っていた夢女子。だから私は最初この世界に転生して、あの雲雀恭弥の従兄妹に生まれてものすごく感謝した。だって敵に回したくないし。
だが、どうだ。実際前世の記憶というものをもったまま異世界へと転生したとなると、不憫でしかない。

最初は彼らのことを「家庭教師ヒットマンREBORN」のキャラクターとしてみていた。だから彼らが何をしようが、並盛中が大変なことになろうが、従兄妹がトンファー振り回していようが、キャラクターでこれが物語なのだから…と納得していた。(さすがに従兄妹がトンファー振り回しているところに遭遇した時は戦慄した。怖くて)

関わることは避けまくっていた。だって、普通に生活していた私が彼らの物語に加われるわけないし。彼らのように何か特別なものがあるわけでもない。平々凡々に生活していた元女子高生である。(前の世界での年齢と今の年齢足したら女子高生終わってるけども!)

だから、何度かあの最強のヒットマンに言われて話しかけてこようとしていた沢田君や獄寺君や山本君には悪いが思い切り避けまくっていた。(必要な時しか喋らない)

私が風紀委員長と従兄妹だということは知っているはずだし……私に何かあったら風紀委員長が直々に制裁を下すことも知っている彼らはしつこくは私に何か言うことはなかった。(恭弥に好かれてる自信はある)

だがどうだろう…今目の前にいるこの泣きわめく牛のせいで私の平凡は終わりを迎えようとしている。


「うわあああん!!」
『……』


無視していいかな……。ていうかなんで私の目の前で泣くんだ、こいつ。

ヒック、ヒックッとしゃくりをあげる子牛ーーではなく、ランボに私は困り果てていた。
何故ここの廊下を通ってしまったんだ…と先程の自分を殴り飛ばしたい衝動にかられる。だか、これ以上泣きわめかれると風紀委員が来る。
そう、あの……子供にもまるで容赦がない風紀委員長様が来る。それは困る。(その人は私の従兄妹なわけだが)

さてどうしようかーーと悩んで、私は周りを見回した。
そして誰もいないことを確認して、彼の目の前にしゃがみこみ、たまたま友達からもらった(押し付けられた)アメを差し出す。


「ふあ…?」
『(ふあって……)…これあげる。だから泣かないで?アメ食べて元気出すんだよ』


くしゃくしゃと彼のボンバーヘッドを撫でて私はスタスタとそこを立ち去った。ーーそうこれがダメだった。


「お前が羽月琴葉だな?」
『え…………?』


放課後の友達との遊びの帰り。偶々土手を歩いていれば、目の前に突然現れた黒いハットをかぶる赤ん坊。
間違え…(であってほしい)でなければその首元には体に合わないサイズのおしゃぶりがぶら下がっている。
そしてその眼光は真っ直ぐと私を見ていた。

だが、ここで……ここで彼らと関わるわけにはいかないんだ!!厄介事や面倒事は「ミ〜ドリタナービク〜 ナ〜ミモーリーノ〜♪」が着信音の並盛大好き風紀委員長様だけで十分なのだ。ご丁寧に歌はヒバードが歌っていた。


『君、どこから来たの?』
「わかってんだろ?」
『え〜と…親御さんは?』
「いねえ」
『迷子センター…行く?』
「頭ぶち抜かれてぇのか?」
『申し訳ありません!!!』


体裁なんて気にせず光の速さで綺麗なスライディング土下座☆を決め込んだ。

うん、ちょっと膝と額が痛いかな…!


「羽月琴葉、お前ツナのファミリーに入れ」
『………………』


き、キタァァァーーー!!いつかは来ると思ってた!だって敵に回したくないNo.1の恭弥の従兄妹だもん!絶対何かしらは来るだろうなと思っていたけれども!!


「ツナたちに話に行かせたんだが、ことごとく失敗して帰ってきやがった」


…………思い切り私が避けてたからな。うん…ごめんね、沢田君。きっと銃ぶっ放されたんだよね。ごめんね。でも私は関わる気はないn……ーー


「拒否権はねえからな」
『だと思ったよ!!!』


元々逃がすつもりはなかったんだろうなーーと若干諦めにも似た感情を持ちながら、川に反射する夕日を見ながらフッと物思いに笑った。

ーーそして私はここから……物語へと巻き込まれていく。


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