×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

未来国から来た将軍



麦わらの一味に傷をつけられるような者は一人もおらず、あちらこちらで敵の悲鳴が上がっていた。


「くそォ、ホーディ船長の言いなりだったクラーケンがすっかり麦わらになついてやがる!!」


サニー号としらほしの後ろには、彼女たちを庇うようにクラーケンがいた。


「いいかスルメ!!お前はよわほしをここで守るんだ!!」


背に乗るルフィの言葉にコクンコクンとクラーケンが頷く。


「どうぞよろしくお願い致します、するめ様!」
「よしっ!!」


しらほしも自分を守ってくれるクラーケンの触手に手を添えて微笑む。それを確認して、ルフィとティアナはクラーケンの背中から飛び降りた。───のだが。


「あいだっ!!?」
『あ、わり。』


着地点を誤ったティアナがクラーケンの傍で敵をぶっ飛ばしていたカナの上に飛び降りたために、カナは顔面を地面にぶつける結果となってしまった。がばっと起き上がったカナが「鼻っ!!鼻打った!!ティアナ!?降りる時は言って!!?避けるから!!!」とティアナに詰め寄る。さすがに悪いと思ったティアナは『本当ゴメン』と詰め寄る彼女から背を反らしながら謝った。
その時背後からドカァン!!と派手な音が聞こえて二人は「『ん?』」と振り返る。そこには落とし穴に落ちたブラキオタンク5号があった。


「おいおい、マジかよ」
『ナミのやつ、大丈夫か?』


向かってくる敵を見ずに、新魚人海賊団幹部のダルマが作った落とし穴の方を見ながら蹴散らしていく二人。すると向こう側から落とし穴に向かって走ってくるフランキーの姿が。


「おい、何事だウソップ!!チョッパー!!」


そしてお決まりのように───


「しまった落とし穴だァ〜〜!!」
「え〜〜っ!!!アホかコイツ〜〜!!!」
「『·········』」


ガシャアン!と落とし穴に自ら落ちて行ったフランキーに、ダルマは叫び、それを見ていたティアナとカナは思わず無言で目を細めた。すると「お前ら外に出ろーー!!」の声と共に「わー!」「キャー!」「何でだよー!!」ブラキオタンク5号の中にいたウソップ、ナミ、チョッパー、パッパグが落とし穴の中からポイポイッと出てきた。どうやらフランキーが放り出したらしい。


『ナミ、大丈夫!?』
「大丈夫よ!ちょっと何すんのよフランキー!!」
「なぜ戦車長を追い出すんだ!!」


ティアナからの声に返事をしてからナミはチョッパーと共に穴の中にいるフランキーに怒鳴る。


「そりゃあコイツ・・・が一人乗りだからよ!!」
「「「!?」」」
「変態するぞ!」
『もう変態だろ。』


フランキーたちの方を気にしていたティアナはフランキーの言葉に敵を片手でぶっ飛ばしながらツッコんだ。


「クロサイFR-U4号!!スタンバイ!!」


フランキーの乗っていたバイクが形を変え、ガシャーン!!と腕が伸びた。


「ブラキオヘッド、チェンジ!!」


ガコンッとブラキオタンク5号の砲台がフランキーの顔を模した物に変わる。


「ブラキオタンク5号!!クロサイFR-U4号!!合体ドッキング”!!!
「「何イ〜〜〜!!合体ドッキング!!?」」


フランキーの言葉にキラキラと顔を輝かせたチョッパーとウソップが声を上げる。そして合体ドッキングさせて新たに出来上がったのは───


鉄の海賊アイアンパイレーツ!!!「フランキー〜〜〜〜ィ将軍」っ!!!」
「「出た〜〜〜〜〜!!」」


鉄の海賊アイアンパイレーツ「フランキー将軍」だった。


「まだ見ぬ天才ベガパンク!!おれはあんたの昔の夢を!!形状記憶合金「ワポメタル」の導入により実現したのだ!!!」
「「「「何じゃコリャーーー!!」」」」


フランキー将軍の姿に敵たちが一斉にギャアアアアッと悲鳴を上げた。


「「スゲーーー!!!」」
「「夢の合体ロボ〜〜〜〜!!!」」
「『───』」


目をキラキラさせて両手を挙げて喜ぶルフィとカナ、あああああっとルフィとカナ同様目をキラキラと輝かせ涙を流すチョッパーとウソップに対し、そんな彼らの隣にいるナミとティアナはしーんとした真顔でフランキー将軍を見ていた。ティアナなんか横から飛びかかってきた敵を相手を見ずにパンチ一つで沈めている。

そんな様々な反応の中、フランキーは背中にある剣を抜く。


「略奪者の剣!!「フラン剣」!!将軍ジェネラル足元危険デンジャラス”!!!
「ひゃあ下段攻めーーー!!?」
「セコいが危険だァ〜〜〜〜!!!」


敵の足元をフラン剣で薙ぎ払っていく。それによって敵たちはそれを交わす為に飛び上る。そこを狙って───


「飛び上ったお前達を肩から飛び出す大砲が襲う!!!」
「「「「え」」」」
「え〜〜!?肩からキャノン〜〜!!?」
「ヤバ〜〜〜!!イカす〜〜〜〜!!」
『───』



はしゃぎまくるルフィとカナの傍にいたティアナはそんな彼らに挟まれながらしーんと真顔で見つめ続けていた。
それを他所にガコォン!!と大砲が飛び出すが、それは───


「“フランキー大砲キャノン”!!!」
「お前が撃つんかいっ!!!」


フランキー将軍の中からフランキーが現れて、その体に取り付けられた大砲が火を噴く。その姿にウソップはすぐさまツッコミを入れたが、「でもお前もカッコイイ〜〜〜〜!!」とパチンッとチョッパーと共に指を鳴らしていた。


「───」


テンション高めなお子様組とフランキーを横目に、ロビンまでもがしーんと真顔で彼らを見つめる。
敵たちは「くそっ」「何てトリッキーなやつ!!」と中々麦わらの一味に手を出せないでいた。


「“将軍ジェネラルおもみ”!!」


その名の通りズズーンと体で敵たちを押しつぶすフランキーに対し、チョッパーとウソップはうひょ〜〜!!と歓声を上げていた。それを何とも言えない顔で見つめていたナミの背後で、ギラリ···と刃が光る。


「弱そうなのもいるじゃねェか···」
「!!」


気づいたナミは剣が振り下ろされる前に、それを腰につけていた魔法の天候棒ソーサリー・クリマタクトで防ぎ、敵の攻撃を避ける。


「失礼ね、私は恐がりなだけよ!!ウェザリアの“天候の科学”ナメないで!!魔法の天候棒ソーサリー・クリマタクト”!!


繋げていた一本の魔法の天候棒ソーサリー・クリマタクトを分解し、三つに分かれるそのうちの一つのタクトを手に取るとビュッとそれを敵に突きつけた。魔法の天候棒ソーサリー・クリマタクトの先からポンッと空気が出る。そして次の瞬間───


「“突風ガストソード”!!!」
「ブホォ!!!」


ドォン!!と吹きとばされた敵が地面に落ちる。それを見届けることなくナミは離れた場所で敵に蹴りを喰らわして蹴散らしているティアナとカナの元へと向かった。


「ティアナ〜〜〜!!!」
『どわっ!?』
「私ティアナのとこにいるから···カナ!しっかり守んなさいよ!!
「あんだけスゲー技持ってンだからやれよ、ナミも。」


ちょうど背中を向けていたティアナに背後から抱き着き、ナミは隣で戦っていたカナをビシッと指差して指示をする。先程ナミの戦いの様子をティアナと一緒に横目で見ていたカナはそんなナミの姿に目を眇めた。
ナミが一番安全な───とも言い切れないが、ティアナの傍に避難したその一方ウソップは敵に追われていた。


「くそー、結局外出ちまったよ!!」


追いかけてくる敵にウソップは立ち止まるとギリリ···とパチンコを敵に向かって引き絞る。


「だがひるむな、もうおれは昔のおれじゃねェ!!!必殺「緑星」!!“竹ジャベ林”!!!
「「「「うわァアア!!!」」」」


ウソップが投げつけた場所から幾つもの竹が生え出し、その上をちょうど通りかかる敵たちを弾き飛ばしていく。その様子にウソップは天高く両手を突き挙げて喜んだ。


「ヘラクレスン先生!!気の抜けねェ“おいはぎの森”での命懸けの2年間!!忘れねェぜれ!今始まるんだ「男ウソップ大冒険」その第二章!!!」
「おいはぎの森って何処よ」
『つーか、第一章っていつの間に始まってたの』


他の仲間たちの戦いの様子を見られるぐらいの余裕さがあるカナとティアナが声高らかに叫ぶウソップにツッコむ。
そんな彼らの戦いを上から見ていた魚人たちは相も変わらず麦わらの一味の戦闘に歓声を上げていた。


「一味全員!!なんてイキイキと戦うんだ···」
「───まるで戦いたくってしょうがなかったみたいに!!」


その声が聴覚の良いティアナとカナの耳に入る。二人はチラッとティアナの背後に敵から身を潜めているナミを振り返った。


「戦いたくてしょうがないならティアナの後ろに隠れないだろ。」
『確かにね』
「ちょっとカナ!!前見なさいよ、ホラ来たわよ!!」
「なんでカナだけなんだよ!」
「ティアナは私を守る役目があんのよ!!アンタは倒す役目でしょ!!」
『いつの間にか役目があったのか』


ぎゃあぎゃあと傍でうるさく騒ぐナミとカナを、ティアナは片耳を押さえながら見ていた。するとその傍からいきなり新魚人海賊団幹部のダルマが地中から飛び出してきた。


「うわ!!ダルマさんが吹き飛んできた!!」


ティアナが視線を向ける。


「誰だ!!!」
「おれだァ!!」


どうやら地中に潜って麦わらの一味を狙おうと考えていたらしいが、それを誰かに邪魔されたらしく地中から吹き飛ばされたらしいダルマが、その犯人に吠える。すると同じく地中から影が飛び出して来た。
地中から飛び出して来たのは角が大きくなり、人型の格好をしたチョッパーだった。


角強化ホーンポイント”!!地中を掘るのはおれも得意だ!!」
「チョッパー!?お前クワガタになれる様になったのか!」
「え、クワガタ凄いじゃん!」
「クワガタじゃねェよ!!!」


チョッパーの姿を見たルフィとカナが目を輝かせるが食い気味に違う!とチョッパーに否定されていた。


「おれはこの2年で7つの変形点を強化一新したんだ!“ランブルボール”が必要な変形は一つだけ!!他の6つはいつでも自在に変形できる!!」


『へ〜···』チョッパーの言葉を聞いていたティアナは「ティアナ〜〜ッ!!」とナミに助けを求められ、彼女を襲おうとしていた敵の顔面に蹴りを入れながら感心していた。


「生意気なサンゴ野郎だっ!!キャッ!!食い千切ってやる!!!」
「これはサンゴじゃなくてツノだ!!そしておれは生意気な···怪物モンスター”だ!!!


あちらこちらで爆発が起こり、水柱や炎が上がる。戦場は完全に麦わらの一味が有利に立っていた。その時、椅子に座って高みの見物をしていたホーディが声を上げる。


「クラーケン!!!───よくぞしらほしを捕まえた!!」
「!!」
「そのまま握り潰せ!!!」


ホーディの言葉に戸惑いを見せるクラーケンに、ホーディは追い打ちをかけるようにクラーケンを見つめながら話をする。


「······北極で平和に暮らすお前の兄弟···その居場所はわかってるおれ達なら・・・・・ならいつでもた易く殺しに行けるんだぜ。伝説の種だ、死体でも高く売れるだろうな!!それが望みならこのままおれを裏切るがいい!人間の情に流されうかれてんじゃねェバケモノ!!!」
「···············!!」
「何と···兄弟の命を担保に脅され従っとったのか···」
「·········」


ホーディの言葉を敵を締め上げながら聞いていたジンベエが彼を振り返りながら呟く。ルフィがじっとホーディの言葉を黙り込んで聞いているのを見たティアナとカナは目を合わせた。
「ティアナ〜!こっちからも来たわよ!」指示だけ出して手を出さないナミに、ティアナは敵の方を見ずに足や拳を使って敵をぶっ飛ばしていく。カナもできるだけナミに近づかせないように炎を使って敵を一掃していた。
するとしらほしを守るように囲んでいた腕をぐぐぐぐと強く締め付け始めるクラーケン。


「え···う···するめ様!?···く···苦しいです」


兄弟を人質に取られていてはホーディの言葉に従うしかない。クラーケンはホーディの言葉通りしらほしを握りつぶそうと力を強めた。その時───


「スルメ!!!」


ルフィの声がクラーケンの行動を止めた。フー···フー···と荒い息を吐きながら自分を真っ直ぐに見つめるクラーケンを見つめ返す。


「兄弟を守る為にお前···あいつの言いなりになってたのか」
「··············!!」


キッ···!!とルフィを睨むクラーケン。ルフィは帽子をかぶり直した。それを見てティアナはナミに『動くなよ』と声をかけてカナと一緒に飛び上がる。


「守りてェよな〜〜······弟か?······兄ちゃんか?」
「···············!?」
「ししし!!それ、おれにも守らせてくれよ!」


笑ってそう言うルフィにクラーケンは目を見開いた。その様子を見ていたホーディが「“麦わら”が来るぞ」と言う。
それに合わせて、ホーディの元にまで行かせないように新魚人海賊団の下っ端がルフィを行かせないように邪魔をする様に塞ぐ。


「仕留めろォ!!!」
「お前達じゃムダドゴン!!」
「おれ達に任せるっヒ!!!」
「奴めさっきからスルメスルメと縁起でもねェ事いいやがって!」


下っ端に合わせて新魚人海賊団幹部のドスンとイカロス・ムッヒも出てきた。それぞれの武器を手にホーディの元まで歩くルフィへと向かっていく。


「麦わらァ〜〜〜〜!!!」
「船長のところへは行かせぬっヒ!!!」


ドゴン!


「「!!?」」


だがイカロス・ムッヒの巨体は強烈な蹴りを喰らい仰け反り、ドスンの巨大なハンマーを二本の刀が押し退かし、下っ端たちは氷のように固い水に押し潰され炎に焼かれた。


「ぐえっ!!」
「ム゛ヒ」
「「「「ぎゃあああッ!!」」」」


ドスゥン!とドスンの巨体が倒れるとその傍にキン···と金属音を鳴らした男が降り立ち、ドシャン!と倒れたイカロス・ムッヒの傍には金髪の男がスタンと降り立つ。地面へとバタバタと倒れる下っ端たちの傍には金と銀の髪を揺らし、シャランッと左右の手首につけているブレスレットの音を鳴らしながら二人の女が降り立った。


「来るか、“麦わら”ァ!!!」


その一瞬───ルフィの姿は、ホーディの目の前にあり、彼の顔を蹴り上げていた。


「なんか燃えてきた!!!」