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敵か味方か



「ルフィ様あ!!!ティアナ様あ!!!カナ様あ!!!お父様をお守り下さい〜〜〜!!!」


今までの会話も全部、ホーディがこの国にした事も、オトヒメ王妃を殺したことも全部全部拳を握りしめて、メガロの口の中で大人しく聞いていたのだが、しらほしの“声”についに三人が動きだした。


『メガロ、“出せ”』


低い声でそう言う女の声に、オ〜エ!!!と吐きだすメガロ。目の前のネプチューンの処刑に夢中なホーディたちは誰もそれに気づかなかった。


「恥知らずのリュウグウ王国は······!!!終わりだァ〜〜!!!」

(無念······!!!)


ホーディの攻撃にネプチューンがなす術なく目を閉じたその時───メガロの口の前からビュゥ!!と素早く“何か”が飛び上がった。その“三人”の影にホーディが気付く。


「!?」


だが遅かった。三人の強烈な蹴りはホーディの胸にドン!!と思い切りめり込んだ。
「オオ!!!!」その蹴りに仰け反ったホーディの体がボッコォォン!!!と背後にあった広場の壁にぶち当たる。


「「「「えええ〜〜!!?」」」」


その場にいた魚人島のみんなが突然の出来事に目を見開いた。ホーディがいた場所に立ち、鋭く彼が飛んでいった場所を睨みつけるそいつらの名は───


「あれは······!!!」
「“麦わらの”ルフィだァ〜〜〜〜!!!!」
「あともう二人は······!!」
「あれは······“舞姫”のティアナと“炎竜”のカナだ!!!!」
「本当に現れたァ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」



赤い服を靡かせるルフィとピンク混じりの銀髪を靡かせるティアナと丈の短い着物の袖を揺らすカナの姿に魚人島の者達はわああああ!!!と歓喜の声をあげた。待ちに待った人物の登場にみんなが歓喜の涙を流し、喜ぶ。


「ネプチューン王を助けてくれた!!!」
「今確かに!!しらほし姫があいつらに助けを求めた!!!」


キャー!わー!と盛り上がる。それとは逆に新魚人海賊団の幹部たちは驚いていた。


「サメの口の中から!!?」
「キャーー!!ずっといたのか!!?なぜ!!?」


庇うように目の前に立つルフィとティアナとカナの姿にネプチューンも「·········おぬしら···」と彼らの姿を見上げる。


「ルフィ様あ!!!ティアナ様あ!!!カナ様あ!!!」


しらほしも大号泣しながら三人の名前を叫んだ。


「もう出てしもうたか───じゃが今のは致し方なし!!!急げお前達・・・イ〜〜〜〜!!!」


ジンベエの叫び声にダイオウイカ族の魚人であり新魚人海賊団幹部であるイカロス・ムッヒは「ムッヒ!!何だ!!?誰に話しかけてるっヒ!!?」と周囲に視線を巡らせる。その時ティアナ達がホーディをぶっ飛ばしたせいで立ちのぼった煙の中から声が聞こえた。


「大丈夫よ!始めから急いでた」
「!?ムッヒ!?」


「んだあの奇声」突然聞こえてきたその声に驚きの声をあげるイカロス・ムッヒに対してホーディによって機嫌が悪いカナはいつもより苛立たし気にその声にツッコミを入れた。ティアナもその声に反応してチラリと視線を向けたが、すぐに興味ナシと視線を戻す。


「ルフィとカナが作戦通りにじっと待つなんてそんな奇跡あるわけないもの。まあ、今回はティアナも待てなかったみたいだけどね」


スー···と足下から姿を現したのはオレンジの髪を揺らす麦わら海賊団の航海士だった。


「“蜃気楼ミラージュ”解除!」
「うわあっ!!!女が急に出てきたっヒ!!!」
「これでいい?ジンベエちゃん!「天竜人の書状」!───あと錠のカギはロビンに」
「上出来じゃようやった!!」


イカロス・ムッヒの目の前に現れたナミは新魚人海賊団たちから奪った“天竜人の書状”を掲げた。それをよくやったと褒めるジンベエ。
ナミが言った通り、ネプチューンや王国兵、フカボシたちを拘束していた錠の鍵を持つロビンは“ハナハナの実”の能力を生かして手を生やし次々と拘束を外していく。


「空を見ろ。あれは何だ!?クジラと······ライオン!?」


一人が空を指差すとみんなが見上げる。その視線の先には空から近づいてくるサウザンドサニー号とその後ろを飛ぶネプチューンの愛鯨ホエがいた。


「“ガオン砲”!!!発射ァ!!!」


ライオンの口から放たれたガオン砲は広場の壁にドォン!!!と命中する。


「ぎゃああああ!!」
「海賊船だァ〜〜〜!!!」


ガオン砲の威力に壁の周辺にいた新魚人海賊団の連中が弾き飛ばされた。そしてその隙に「行け、今だクジラ!!!」とGOサインが出たホエがネプチューンやフカボシたちを背中に乗せて飛び去る。ホエ〜〜ル!!と高く飛び上がるホエに「くそっ!!!!」「王達を奪われたァ!!!」と新魚人海賊団の連中が声をあげた。
上空でネプチューンは広場を見下ろす。


「······何が起きた·········ハァ」
「ハァ、どうやら···ジンベエが“麦わら”達と一計を案じていた様です······!!」


ネプチューンとフカボシたちは傷だらけになりながらもルフィたちがいる広場をじっと見下ろす。
ホエが上空に飛び上がったのと入れ違いにサウザンドサニー号がドッスウ〜ン!!!と広場の中央に着地した。それによって複数の新魚人海賊団たちが弾き飛ばされる。
次々と麦わらの一味が降りてくると、ロビンから錠の鍵を受けとったティアナがそれを水で覆って“水の滅竜魔法”の足しにバクリッと食べると足に固い水を纏わせて───


ドガァッ!!


「ティアナ様···ッ!!」


しらほしを縛っていた鎖を蹴りで壊した。


「“麦わらの一味”!!!全員来た!!!」
「おい、“麦わらのルフィ”〜〜!!」
「?」


魚人達の呼びかけにルフィが振り返る。


「お前らは本当にこの島を滅ぼす気なのか!!?」
「なぜ竜宮城を占拠した!?」
「人魚達を誘拐したのはお前達なのか!?」
「答えてくれ!!!お前達は魚人島の敵なのか!!?味方なのか!!?」


次々と問いかけてくる魚人達の声を横目にティアナは腕を組んでシャランとティアナとは反対の左手につけている銀色のブレスレットを揺らすカナの隣に並んだ。滅竜魔導士ドラゴンスレイヤーが目を合わせてニヤリと笑う。それと同時にルフィが口を開いた。


「敵か···味方か?······そんな事───お前らが!!!勝手に決めろォ!!!!