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やっちまったモンはしょうがねェ



ゾロたちが“うっかり”竜宮城を占拠してしまい、フカボシから「ホーディと戦うな」「“海の森”で待つ」というジンベエからの伝言を受けとった頃───
竜宮城「硬殻塔」では───


「おい〜〜何やってんだ!?」
「行くよ!!外!!」
「───ですけど、いけませんルフィ様っ!!カナ様っ!!本当にその様な···」
「ご飯のお礼だよ!!カナたちがついて行くから!!」
「行きてェトコあるって言ったろ、お前っ!こんな所に10年も閉じ籠ってたら、おれなら頭おかしくなるよ」


たしかに···とティアナが頷く。ルフィがそうなら、カナもそうだろう。


「···けれど···その様に勝手な事をしてしまいましたら···お城の皆様に大変なご迷惑を···」


ルフィやカナがいくら行こう!と誘っても渋るしらほしに、カナはん〜っと唸ってこういう時に女の子の扱いが上手いティアナへと視線を向けた。強引なルフィやカナより女の子に対して物腰が柔らかいティアナなら、しらほしも少しは言ってくれるだろう、と踏んでのことだ。
しっかりとそれを受けとったティアナが目元を柔らかく細めて、ニコリッと柔らかい、ナミに向けるような笑顔でしらほしに問いかけた。


『どこに行きたいんですか?』
「!」


ティアナに問いかけられたしらほしが、ビクリッと反応する。そしてもじもじ···と俯く彼女に、行きたいところがあるのか、とティアナたちが顔を見合わせる。
しらほしがもじもじ···とティアナの顔色を窺うように彼女を見るので、『ん?』ともう一度柔らかく託すように問いかければ···。


「あの···」
「『ん?』」
「“海の森”」


じわっと目に涙を浮かばせたしらほしが言う。海の森?とティアナとカナが首を傾げると、しらほしはまたぐずぐず···と泣き出しそうになった。


「ううっ···!!いえ···けれど···それは夢で··本当に外出する様な身勝手な事、わたくしは···うう」
「何で行きてェ場所言うだけで泣くんだ!!」
「ご···ご···ごめんなさい···勇気を振り絞りすぎて···」
『コラ、ルフィ!』


強く言うルフィをティアナが咎めようとした瞬間───


「お···怒らないでくださいよう〜〜〜···恐い···ルフィ様〜〜〜!」


『あ〜もう···』え〜ん!と泣き出してしまったしらほしを見上げて、ティアナが頭を抱える。
そしてルフィとカナはと言うと···こんなに泣き虫なヤツには会ったことがないので呆れていた。


「めんどくせー奴だなー」
「同感」
「!! め···面倒···わたくし···」
『わああああ!!泣かないでしらほし姫様!!ほら、ルフィ、カナ、謝りなさい!!!』


また泣き出しそうになるしらほしを慌てて宥めると、ティアナはルフィとカナを怖い顔で振り返った。ティアナに睨まれて「「うっ···」」と言葉に詰まった二人が、これ以上彼女に睨まれ続けるのが嫌で慌ててしらほしに「あ〜〜〜わかった、悪かったよ!!」「ごめんなさい!!」と謝る。


「うぅ···ティアナ様〜〜」
『すみません、しらほし姫様。こいつらにはよく言っておきますから···』


うるうるとした瞳でティアナを見るしらほしに、無理矢理ルフィとカナの頭を下げさせるティアナ。その時、ドドドォン!!と部屋が揺れた。


「きゃっ!」
「何だ!!?すげェ音······!!」
「これは···!!」


ズドォン!!ドドォン!ズン!!ドォン!!


部屋が衝撃で揺れ続ける。カナはルフィに抱き寄せられているティアナへと視線を向けた。それを受けたティアナが頷く。そして鋭く外を睨みつけた。


『また何か投げてきてるんだ。タチの悪い奴ね!!』


***



部屋というか城が揺れ続ける中、特に部屋の中に害があるわけではないので、ティアナたちはしらほしの手のひらに乗って、彼女と目線を合わせながら喋っていた。


「“海の森”にずっと行きたかったのです···」
「「『·········』」」
「10年間···ずっと···!!けれども塔の外は危険だと、皆様注意して下さいますし·········わたくしも外に出るのはとても恐くて···ティアナ様たちは···本当に···わたくしを連れ出して下さるのですか?」
「「ああ」」
『ええ』

「───本当にわたくしを守って下さるのですか?」


しらほしの問い掛けに三人は顔を見合わせてニッと笑った。


「ああ、任しとけ。大丈夫だ」


その笑顔とルフィの言葉にしらほしは笑みを浮かべる───そして「うえ〜!」と鼻水を垂らしながら泣きだした。
その様子にティアナが思わず苦笑いすると、カナとルフィは呆れたように腰に両手を当てる。


「おいおい!!泣くなら連れてかねェぞ!!それに正確に言うとお前がおれを連れてくんだ。おれはティアナとカナと違って泳げねェからな!!」


そんな堂々と言うものなのか···とティアナがルフィを見る。


「あ···すみません、嬉しくて···」
「ホント、泣き虫だね、あなた。弱虫だし!!」


しくしく···と泣くしらほしにカナがニコニコと悪びれもなく言うと、ティアナがコイツ···と彼女を睨みつけた。さっき、注意したばかりなのにまだ言うのか。
だが今度は大泣きすることなく、しらほしは「···はい、すみません···」と少し嬉しそうに言った。余程外に出れるのが嬉しいらしい。


「───でも、外に出たらお前、でっかくて皆にバレちまうからよ。だから、おれにい〜〜い考えがあるんだ!!ししししし!!」


いい笑顔で笑うルフィにしらほしは不思議そうに首を傾げるが、ティアナとカナはその笑みがどういう笑みなのかよく理解しているため、引きつらせた顔を見合わせた。


***



スタンバイしたしらほしと苦しそうなメガロ。その上で楽しそうにシャボンを纏いながら笑うルフィにティアナとカナはやっぱりか···と笑った。
そして外からの攻撃の音が止んだのを、常人よりも聴覚がいいティアナとカナが聞き取ってルフィにOKサインを出す。


『ルフィ!攻撃の音止んだよ!』
「出るなら今だね」


二人のその声を聞いてルフィはニィッと笑った。


「いくぞ、弱虫!!」
「は···はいっ!!お願いします、メガロ!!」


メガロが苦しそうに返事をする。大丈夫かなぁ···とティアナはルフィに掴まりながら眉を寄せた。


「行けェ!!!サメ〜〜〜〜!!!“海の森”まで〜!!!」


ルフィのかけ声にメガロが目の前の扉をドカァン!!とこじ開ける。それによって扉の前に居たバンダー・デッケンの海賊たちが吹き飛んだ。


「·········!?メガロ〜〜!!?」
「あれ!!?·········ルフィさん!!?ティアナさん!!?カナさん!!?」


驚く右大臣とブルックの声が聞こえてきたティアナは、はしゃぐカナとルフィを横目に彼らに、ん?と視線を向けたのだった。