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「#エロ」のBL小説を読む
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深層へ



色々な海王類がサニー号の周りを泳いでいく。
ルフィたちはそれを見上げていた。


「───もうどれくらい沈んだかな」
「ずいぶん光も届かねェ感じになってきたな···」
「「受光層」を抜けて···「薄明層」ももう終わりってトコだな。1000mは越えただろう······」
「「受光層」?「薄明層」?わかる言葉で喋ってよ、フランキー。ね、ティアナ」
『言っとくけどわかる人はわかるからな。』
「静かね···潜水艇とは全く違う気分。まるで空を飛んでいる様···」


言い合うカナとティアナの隣でロビンが上を見上げてそう言うとすぐさまチョッパーとブルックとルフィとカナが大きな声をあげた。


「クジラ!!クジラだ!!」
「ラブゥ〜〜〜〜ン!!!」
「いや、あれは白ひげのおっさーん!!」
「いや、でっか!!クジラってあんなでかいっけ!!?」
『今さっきロビンが静かねって言ったばっかなのにもう騒ぐじゃん』


まったくだ。

すると、何かの気配と匂いを察知したティアナとカナが船の後方に視線を向けたと同時にウソップが叫んだ。


「六時の方角なんかいるぞ!!!海獣···!?いや···おい、みんな!!!後ろから船らしき影が!!!」
「「「「『船!!?』」」」」
「こっちへ突っ込んで来る!!!」


え···と視線を向けると海牛に引っ張られた船がサニー号へと突っ込んできた。
ドスゥ···ン!!と船が揺れて、思わずナミが隣にいるティアナに掴まる。


「「「「!!?」」」」
『ナミ、大丈夫!?』
「ええ!」


ティアナがナミを支えると、麦わらの一味は大騒ぎした。

「海賊船だァ!!!」「船を押し付けて来るっ!!!」「───まさかシャボン越しに乗り込んで来る気じゃ············!!!」「誰だ一体っ!!!」「離れろ〜!!!シャボンが割れる〜〜〜〜!!!」叫ぶが、海賊船はいっこうに離れる気配がない。

その時、ティアナに掴まりながらナミが何かに気づいて声をあげた。


「······!!?ちょっと待ってよ、アレ·········!!!モーム?」
「!」
「あんた、アーロン一味のモームでしょ!?」


海賊船を引いていた海牛───モームははっ!!としたように目を見開かせた。


「私!わかる!?」


2年前のナミを思い出したのだろう···モームはぎょっ!としたようにさらに目を見開かせる。その姿を見たサンジとルフィとティアナがモームを見ながら話す。


「ん?コイツ見た事あるよな、ルフィ、ティアナちゃん」
「············そうだっけ?覚えてるか?ティアナ」
『えー······ちょっと思い出せない』


モームがサンジとルフィとティアナを見る。


“なんだ、あいつか”

“魚人の仲間だったか”

“可愛い顔してるね”



2年前の記憶が蘇ってきたらしいモームはガタガタと恐怖に顔を歪めながら涙を滲ませる。


“死ねコラァ!!!”

““水竜の鉄拳”!!!”

““風車”!!!”

“ぎゃああああああ!!!”



サンジとティアナとルフィにこてんぱんにやられた記憶を思い出したのだろう、モームは「モ゛···モ゛···!!」と震えあがった。


「野郎共ォ、おれに続いちゃえ〜〜〜〜〜!!!」
「はえ〜〜〜〜!!!」
「わーーー!!!誰か船に入って来たァ〜〜〜〜!!!」


海賊船に乗っていた船長と思わしき人物がシャボンをすり抜けて一番にサニー号に乗り込んできた。
一味は身構え、ティアナはナミを後ろに下がらせて庇うようにする。


「ケヒヒヒ!!!こいつらがあっけにとられてる内にィ〜〜〜〜船内皆殺しにしちゃいや〜〜〜がれェ〜〜〜い!!!」
「「「「『!!』」」」」
「ケヘヘヘ」


船長はやる気満々で、いざ船員たちも乗り込もうとしたその時───「モ゛ォオオオ〜〜〜〜!!!!」と泣き声をあげてモームが一目散にその場から離脱した。それによって海賊船も物凄い勢いでサニー号から離れていく。


「なんてこった!!」
「カリブー船長だけあの船に!!」
「兄助ェ〜〜〜!!」
「どうした海牛!!?」
「なぜだ海牛!!?」

「「「「『······』」」」」


それを見送った麦わらの一味は思わず沈黙した。そして自分の仲間たちがいないことに気づいていないカリブーは一人、大きな声をあげる。


「さァ挨拶代わりにィ〜〜!!!ガトリング銃をぶっ放せェ〜〜〜!!!“麦わらの一味”を全員ブゥチ殺して···」


返事がない、物音ひとつしない事にようやく気付いたらしいカリブーが一人きりの大演説会から我に返ると、仲間たちがいるはずの背後を振り返った。
それを確認したカナがしーー···んとした空気を打ち破る。


「あんたの仲間······逃げていったよ。


カリブーにとったら死の宣告にも似たその言葉を事も無げに言い放ったカナに、カリブーは目を見開き、舌をめいいっぱい出して驚がくの表情を浮かべた。
そして一瞬の隙もなく、カリブーはフランキーにガシッと捕まえられる。


「おおよしィィ!!!海に放り出しちゃうのだけァおよしったらばよォウ〜〜!!!それだけァおまいさん〜!!!」
「············」
「それだきゃァやっちゃいけねェ!!!人の命をそう粗末にしちゃうモンじゃねェ!!!神がァ!!神が見ちゃってるぜェ!!!そうだろゥ!!?」
「調子のいい事言ってんじゃねェよ!!皆殺しだのガトリング銃だの言ってたろてめェ!!!」


まったくだ。(本日二回目)

ずいぶんと調子のいい奴だな···とティアナはナミと共にみんながいる芝生甲板へと降りながら、フランキーにぽいっと投げられたカリブーを見てあきれた。
降りてきたティアナを見たカナが「あの海牛に何かしたの?」と問いかけたが『覚えてない』と返されて、ふーんと興味なさそうに返事をした。

聞いといてふーん、とは何だ貴様。


「お前、どこの誰だ!?今の海賊船の船長だよな」
「(うおっ!!ロロノア・ゾロ!!)やややや!!滅相もねェ、おれは船長なんかじゃねェよっ!!!おれァその···あいつらの鉄砲玉としてコキ使われてたのよォ!!あァ、もうウンザリだ、あの船は···!!···そうだ、丁度いい!!この船に少しの間乗せちゃってくれねェか!?なァ頼む!!」


嘘が下手くそである。

土下座までするカリブーに、純真無垢のチョッパーは誰が見ても嘘だとわかるそれを信じてしまい、同情の眼差しを向ける。


「え············なぁ、コイツ少し可哀想な奴かも···」
「んなわけねェだろ!!全部ウソだよっ!!」
「え〜全部ウソ〜!?」
「やだ、チョッパー!誰でもわかるウソを信じちゃうなんて···可愛いわね!!」
『どうした、カナ。』


ふざけたカナは心底冷たい目でティアナに見られて滅茶苦茶へこんだ。
それを横目にナミがカリブーに問いかける。


「ねぇ、ちょっと!さっき船を引いていた海牛、どうしたの?」
「おっとォ·········こりゃあ······ん〜カ〜ワイ子さん〜。アンタァ〜“泥棒猫”だなァ〜?そして隣にいるのはあの“舞姫”かァ〜。さすが世界一の可愛さと謳われるだけあるな〜」
「何ちゅう下衆な目でウチの美女航海士と可愛い副船長を見とるんじゃあ!!!」
「お前ェ!!ティアナを見んな!!!」


舐めるような視線でナミとその隣に立つティアナを見るカリブーの顔面に、サンジの強烈な蹴りとルフィの怒りのコブシがもろに入った。
蹴り飛ばされ、殴り飛ばされたカリブーが壁に激突するのを見たカナが「うわ〜···」と可哀想なものを見る目で、カリブーを見る。
こいつは手を出してはいけない二人に目をつけたのだ。


「ティアナ、大丈夫か!?」
『う、うん···何もされてないし···』
「ナミさん!ティアナちゃん!これで大丈···ブーーーッ!!!
「もう面倒くせェなお前それ!!!」
「刺激の少ない写真でリハビリを始めよう」
「それがいいよ、チョッパー」


ティアナに駆け寄り、彼女の肩を掴んでゆさゆさ揺さぶるルフィの横でサンジがナミとティアナを振り返るが、その美貌にまたもや鼻血を噴きだして飛んで行った。
それにツッコミをいれるウソップ、鼻血を噴きだすサンジの治療法を考えるチョッパーに、それに同意するように頷くカナ。

すると、サンジとルフィに思い切り殴られ蹴飛ばされたカリブーがゲホ···と苦しそうにしながら弱々しくナミの質問に答えた。


「···アレ・・はただその辺でとっ捕まえた海獣だ···!!ああいうのに船を引かせるのが······上級者の海中航行なのよォ!!」
「!」
「············!え〜〜!?そうなのか!?」


さっき殴り飛ばしたことなど忘れたようにルフィはカリブーの言葉に興味深そうに声をあげた。
一方、カリブーの仲間たちは物凄い勢いでサニー号から離れるモームを止めようと声をあげていたが、モームのルフィとサンジとティアナに対する恐怖には打ち勝てなかった。

下へと向かうと少し肌寒くなってきて、ティアナたち女性陣は部屋へと戻り、上着を羽織って出て来た。
厚手のボアブルソンを着るティアナとカナはお互いを見てキャッキャッとはしゃぐ。


「見て〜ゾロ。これ、ティアナとおそろ〜い」
「見てわかるっつーの」
「可愛いな〜ティアナ!!」
『えへっ。ありがとう、ルフィ』


近くにいたゾロにうりうりと黒色のボアブルゾンを見せびらかすカナと、ルフィに可愛いと言われて嬉しそうに笑う肌色のボアブルゾンを着たティアナ。


「ホント!可愛いわよ、ティアナ!」
「ええ。ティアナにぴったりね」
『にゃはは〜』
「何その笑い方可愛い」
『うるせェ、カナ。』
「理不尽!!」


ナミとロビンにも「可愛い!」と大絶賛されてティアナは上機嫌だ。相変わらずカナへの対応は冷たいが。
そしてカリブーの言葉を聞いてルフィが海獣を探す。


「海獣どっかにいねェかな〜」
「·········ちょっとルフィ。あんた、何を企んでんの!?」
「おいナミ!“記録指針ログポーズ”と少し違う方向へ進んでねェか?」


ウソップがナミに話しかけるのを聞きながらティアナとカナはゾロとフランキーと協力してカリブーを縄で拘束した。
そしてルフィにちょっかいをかけられながらカリブーが一味を見渡す。


(···畜生ォ···予想外の事になっちゃったぜェ···どうすりゃいいんだ。さすがに一対十一じゃ分が悪すぎる············!!!こんな縄いつでも抜けられるが···まずは機を見て一人ずつ消して行っちゃうかァ···それとも···)


考え込むカリブーを他所にウソップに問いかけられたナミは腕についている記録指針ログポーズを見つめた。


「───ええ。大丈夫。指針より“南西”へ進むのが正しい航路」
「何でだ?真っすぐ進んだ方が早ェに決まってんじゃねェか!なァ、ティアナ」
「なんか私少し肌寒く・・・なってきましたよ!?あ!でも私···
「お前骨だから肌ねェのにな!」
「!!!」


言おうとしたブルックの決め台詞を先にチョッパーに言われてしまい、ブルックは膝をついてショックを受けた。思わずティアナとカナが苦笑いする。


「まっすぐ進んでも海流に攫われて下降しきる前に海山や海底火山に突き当たっておしまいだって···」


ナミの言葉にふーんと頷くルフィとカナをティアナが疑わしそうな目で見つめる。

絶対わかってないだろう。こいつら。

チョッパーはナミの言葉に驚きの声をあげた。


「えーーー!?火山!?海底コエーよ〜〜!!!」
「でも“偉大なる航路グランドライン”の海流なんて元々デタラメだろ?間違いのねェ流れなんてのがあるのか?」
「一つだけある···!!みんな、コートでも羽織った方がいいわよ。ここから先寒くなるから」
「寒ィとこに行くのか?深海じゃねェのか」
「バカヤロー。深海の水は冷てェに決まってんじゃねェか!風呂だって熱いのは上、冷てェのは下だろ!」
「え!?そうなの!?」


フランキーの言葉に驚きの声をあげるカナを放ってウソップは「そうか!海も同じなら深海の水も上より下が冷てェのか!!」と納得の声をあげる。


「ただ温度差があるだけではありませんよ?「深海海流」と呼ばれる私達普段目にできない巨大な海の流れがあるのです!それは、今ここにある「表層海流」とは全く別の動きをする海流です」
「えェ!?海流の下に海流があんのか!?おめェ、物知りだな〜」
「ヨホホ、年季入ってますから!」


確かに一味の中ではブルックが一番の最年長だ。

ブルックが聞いた話だと「深海海流」とはずいぶんとゆっくり海底を流れるそうで、一度海底へ潜り込んだら次に陽が当たる海面に浮上するまでに二千年もの時間がかかると言われているらしい。
それゆえ暗い未知の海流には数々の伝説も漂う。例えば“怪物”、“呪い”、“死者の魂”。


「え〜〜っ!!深海オバケ出んのか!!?」
「え!?出るんですか!?コワイッ!!!」
「え〜何それ!?でるの!?」
「わくわくしてきた!!」


悲鳴をあげるチョッパーとブルックとは反対にカナとルフィは嬉しそうだ。
それを見ていたティアナは微笑みながら口を開く。


『さァ、わかんないけど───つまり「その表層」から「深層」へ潜る“下降流”にあたし達は乗るのよ!そうすれば「深層海流」の流れる“深海”へ到達できる!!』


ティアナの説明で一応は理解できたらしい。


「でもよー、その···海が下に潜る場所はどうやって探すんだ??」
「さっきのお風呂の話と同じよ···海水が冷やされれば海流は下へ向かう···」
「成程っ!!それで海流が冷える寒い場所に行くってんだな!!!」


赤い土の大陸レッドライン”はいわば地続きの島の集合体···「夏島」の土地もあれば「冬島」の土地もある。
今まっすぐに向かってるのは勿論、「極寒の冬島」の気候帯───そこには海流が大きく下へ流れ落ちる為のもう一つの・・・・・条件が揃っているからだ。


「え?いったい何だ、そのもう一つの条件とは??はたして??」
『······またテキトーに首つっ込むんだから···。本当に聞きたいの?海の「塩分濃度」の話』
「!」


ティアナの言葉にルフィはゾロとカナと並んで手すりに肘をおき外を眺めだす。


「───昔よく遊んだよな···「エンブンノード」で」
「おれはいつか欲しいと思ってる···「炎分ソード」」
「カナ···「エンブントード」っていうぬいぐるみが欲しい」
『そっちにいろ、お前ら。』


まったく見当違いのことを話し出す三人にティアナは顔を引きつらせながらそう言った。
言われた通り「ゾロ、お前どこまで飛ばされたんだ?」「あ、カナも気になる」「ああ、それがよ···」わいわいと話し出す三人とは違って、チョッパーとウソップはメモ帳を取り出してナミとティアナの話を真剣に聞く。


「塩分濃度が何だって!?おれ達には教えてくれ海の神秘について!!」


ナミとティアナはそんな二人に顔を見あわせて笑みを浮かべた。


「へー熱心なのね〜···つまり大きな“下降流”の必要条件というのは「冷たくて重い水」なの!」
『極寒の地には「海水」があってその氷ができるとき塩分は···』


とナミとティアナが丁寧に説明している最中に───


「深層···」
「表層···」
「下降流···」
「潜る···」
「深海···」


ルフィ、ゾロ、ウソップ、チョッパー、カナが呟いたその後、ブルックが「じゃがじゃん!!」と言いながらギターを鳴らすと。


「「「「「不思議な海流があるってわけだな!!」」」」」
「ちっとも理解してないでしょ!!あんたたち!!!」
『だから最初から黙って乗ってればいいものを!!!』


あーーあ···やれやれ···とお茶をズズ、と飲むルフィたちにナミとティアナは説明してやったのに!!とキレながらツッコミをいれた。
手が出なかっただけ、いい方だろう。


「ナミ!ティアナ!そう言ってる内に見えて来たわ」
「ホント!?」
「おっ!!どこだどこだ不思議海流!!」
「上から下に流れる海流どんなだ??」


ロビンの声にみんながわいわいトタバタと船首に集まって見に行く。


「おお、あれか!!す〜〜げ〜〜っ!!!」
「やりおるな!!大自然!!」
「何だ?ありゃ···」
「え、やば〜!!」


野郎どもとカナがオオオオ!と声をあげる。


「───あれが“下降流のプルーム”」
『これじゃまるで海中の···巨大な滝じゃない!!!!


ティアナの言う通り、ドン!!と現れたそれは海中深くへと水を巻き込み、流れ落ちていた。
ものすごいスピードでず〜〜っと下まで海が落ちていく。


「すごい···!!なんて壮大な流れ···!!!直径何百mあるのかしら············!!」
「面白ェ〜〜〜〜!!!」
「話を聞くのと見るのじゃあ丸っきり違いますね〜〜!!ヨホホ〜」
「───底が見えねェ!!下は真っ暗闇だァ〜〜〜!!!終わりだ〜〜!!!あんな速度じゃ海底に叩きつけられて死ぬーーーーーっ!!!」


海底を見たウソップが声をあげる。


「本当に平気なの!?この流れに乗って!!」
「船の心配はするな!!サニー号は宝樹アダムより生まれた最強の船だ!!」


笑いながらそう言うフランキーに、拘束されたままでいたカリブーが一味に警告した。


「おい!!“麦わらの一味”!!すぐに引き返せ!!!やべェぞ!!!」
「······何だ···そういやてめェいたな···」
「そういえばいたね···」
『おもいっきり忘れてた···』


カリブーの存在を忘れていたゾロとカナとティアナが彼を振り返る。


「下をよく見ろ!!怪物がいる!!!」
「「「「『!!?』」」」」
アレ・・がここに住みついてるなんて聞いた事がねェ!!!「殺戮に飽きる事を知らず···船を狙って大海原を駆け巡る悪魔・・」!!「人間の敵・・・・」!!!」


カリブーの言葉に一味が下を覗き見る。
そしてティアナとカナが目を見開いて一番に声をあげた。


『何あれ···!!』
「あれは······!!!」
「クラーケンだァ〜〜〜!!!!」


船の下にはサニー号の何倍も大きさがあるクラーケンがいた。
その数本の足には船の残骸が握り締められている。
その怖さにお決まりの三人組───ウソップ、チョッパー、ブルックが悲鳴をあげた。
チョッパーにいたっては泡を吹いている。


「船を何隻も握り潰してやがる!!!ここ数日で出航した船が餌食になったんだ!!!」
「何ちゅうデカさ!!!怪物ダコ!」
「どこから来たのか···!!下降流に乗ろうって船を食い物にしてやがんだ!!!こんな話聞いた事ねェっ!!頼む!!おれも死にたくねェ!!引き返せ!!数日やり過ごせばきっとあの怪物は···」
「うるせェ、黙ってろ!!!」


カリブーの言葉を遮って、ルフィは声をあげた。
そしていい笑顔でドン!!と言い放つ。


「───いい事考えたんだおれ!あいつをてなずけよう!!!」


これにはさすがのカリブーも「は!!?」と声をあげた。
だが、わかっていたようにティアナとカナは顔を見あわせる。


「だと思った···」
『ルフィがやりそうな事だもんね···』


ティアナの言葉に、ルフィを除く一味はうんうんとうなずいたのだった。