ナミがどうしてもと言うので「おれも連れてけ!」と駄々をこねるルフィをウソップたちに預けてあたしはナミと一緒に島で買い物をしていた。
「ねえ!これはどう?」
『可愛いよ』
あたしがそう言えば、嬉しそうに笑う。そしてあたしの手の上に服が重なる。
どれだけ買うつもりなんだろうか···。
ナミの買い物に付き合って数時間。同じような店でナミはずっと服を選んで自分の体に当ててみてはあたしに似合うか聞いて、あたしが似合うと一言言えば服が積み重なっていく。
どんどんと可愛い服がお店からなくなっていく様を見ている店員がニコニコとしているがそのニコニコ顔が
青白く見えるのは気のせいだろうか。
(このままじゃこの店の商品なくなりそうだな···)
ついこの前、襲ってきた海賊と戦闘になり当たり前のごとく前線にルフィとゾロとサンジとあたしとカナが出れば、決着は早々についてしまった。伸びている海賊を他所にみんなで海賊船の中を見れば、たんまりとあったお宝。
ナミが目を輝かせて早速それをお金に換金して、今のこのショッピングに繋がるのだ。
『にしても······』
腕の中にある服を見る。そして試着室に置かれている服の山を見る。
うん、多いな。「ちょっと、もうちょっとまけてもいいんじゃない?これだけ買うのよ?」
「いえ、その···」
いつの間にかレジに持っていっていた。
ナミが「はあ?」と店員に凄んでいるのを横目に店の外をチラリと見るとガラの悪い男に女の人が絡まれているのが見えた。
ナミの方を見ると店員にクレームをつけていたのでしばらくかかりそうだと頷く。そしてお店の外へと出た。
「やめてください!」
「いいじゃねぇか、ちょっとぐらい」
周りの人は見てみぬフリだ。それもしょうがない。あいつ、ゾロの賞金首リストで見たやつだ。
「いやっ!」女の人が手を掴まれて引っ張られる。「離して!」
その手とは反対の手を引っ張った。
「っ!」
「あ?」
ぐんっと引き留められた男が振り返る。そしてあたしを睨みつけようとしたが、あたしの顔を見た瞬間、顔を青ざめさせた。
「あ、あんた···!」
賞金首になっているだけはある。あたしの顔を知っているらしい。
『やめろよ。嫌がってんだろ』
ギロリッと睨みつければ男はヒッと声をあげて逃げていく。あたしはその背がいなくなるまで睨みつけていた。そして女の人を振り返る。
「あ、ありがとうございました···!」
『ううん、気をつけてね。お姉さん可愛いから』
「いえ···」
ニコッと笑えば女の人は頬を染める。
「あ、あの···お礼に······!」
「ちょっと!」
お姉さんが何か言う前に店のドアが開いた。視線を向けるとナミが怒った表情でこちらを見ていて、やべっと口をひきつらせる。
『ごめんごめん、ナミ。もう戻るって』
「まったく···。あんたが強いのは知ってるけど、無闇にケンカはしないでよ?」
『ルフィたちじゃないんだから』
ナミ連れてるのにしないよ、と笑う。お姉さんに『じゃあ』と声をかけてナミと共にお店に戻る。すぐに腕を組んできたナミはチラリと後ろを振り返ってため息を吐いた。
『どうしたの?』
「なんでもないわ」
ナミに首を傾げる。すると、ナミが「あんた、帰ったらルフィに報告して説教だからね」と言われた。
『ええっ!?何もしてないんだけど!!』
「あんたは何もしてないけど、してるのよ」
『どこで!?』
「今さっき」
『は!?』
なんだ。いつだ。
ぐるぐると考えているといつの間にか腕にはナミが買った服のショッパーがあった。持て、ということか。
「さっ、まだ買い物はあるんだから行くわよ!」
『これあたしの手で足ります?』
「足りなかったらサンジ君を呼べばいいじゃない」
『最初からサンジを呼べばよくないか?それ』喜んで来るだろ···。
航海士と副船長「んナァミすわぁ〜!んティアナちゅわ〜ん!!呼ばれて来ました〜〜!!」
「ティアナ!迎えに来たぞぉー!一緒にメシ食いに行こう!」
『···結局呼ぶんじゃん』
「若干一名いらない奴連れてきてるけどね」
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