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ギューッと強く抱き締めてくるルフィを背中に感じながらあたしは本を読む。

二年。
あたしたちは二年の修業を経て、再会した。
そして今、魚人島へと向かうところ。

二年の間、当然ながらあたしとルフィは別々で、久しぶりの再会となる。最後にルフィの姿を見たのは確か······ルスカイナ島で目が覚めたルフィとレイリーさんが再会した時だ。

あのあと、あたしはさらなる強さを得るために、カナと共にルフィと二年後での再会を約束して別れた。

それが今、やっと···やっと再会できたというのに······。

なにやってんだあたし······!!

本を読みながらべったりとくっついてくるルフィを横目で振り返る。

二年間会わなかっただけでこうも変わる?
え、待ってルフィカッコよくなりすぎじゃない?
待って待って心臓が持たない。

頂上決戦で負った胸の傷と、以前よりたくましくなった体。なにもかもがカッコよくて、絶対あたし顔真っ赤だ···。


「なぁ、ティアナ。いつまで本読んでんだァ?」
『え』
「久しぶりに会えたっつーのに本ばっか読むなよォ」


犬の耳と尻尾がついていれば絶対ぺたんってなってた。絶対なってた。

何コレ、可愛い···ッ!

きゅーんっと胸が締め付けられて苦しくなる。あたしは本を横においてルフィの腕へと手を添えた。


『ん、ごめんね、ルフィ』
「いいけどよぉ···ティアナ、全然こっち見ねぇんだもんよ。なんでだ?」
『え』
「カナに聞いたら「ティアナに聞いたらいいよ」って言って教えてくんねえんだよ」


···っんの、クソガキ!!!

絶対わかってやってやがる!!


「なんかティアナ···」
『ん?』
「可愛くなったな!」


にしし!と笑うルフィに完璧ノックアウト。

もうダメだ······。


『〜〜〜っルフィもカッコいいよ〜!!』
「うおっ」


勢いよく振り返って抱きついたのに、難なく受け止められて胸が高鳴る。すりすりと猫のようにルフィにすり寄ると、ルフィは照れたような笑みを浮かべながらあたしの銀色の髪を撫でた。


「······ははっ、なんだろーなー」
『?』
「ティアナとふたりになるの初めてじゃねェのにすげー緊張する」
『っ』


待って無理、ごめん。
ルフィってばどんだけあたしを惚れさせる気なの。

今さらだけどすごく自覚する。あたしきっとこの先も何度でもルフィに恋をする。
それほどルフィの言動に一喜一憂してる自分がいるんだもん。


『あたしもね···』
「ん?」
『······あ、えっと···』


言葉に詰まってうまく話せないあたしを、ルフィは優しい眼差しで待っていてくれる。


『あたしもね、同じこと思ってた······だって二年間ですごくルフィ、カッコよくなってて···なんかすごくドキドキして···』


あれ、上手く言えない···っ。何年ルフィの彼女やってるの?って自問自答。

だんだん恥ずかしくなって顔を俯かせると、ルフィが痛いくらいにギューッと抱き締めてきた。


「はぁ〜、ティアナ勘弁してくれよォ···」
『な、なにが?って痛い痛い痛い!』


バシバシッとルフィの背中を叩く。

少しだけ体を離してくれたルフィが近づいてきて、コツンと額と額をあわせた。
上目遣いにルフィを見上げる。


「二年間、修業にもうちこんできたけど······ティアナのこと、忘れた日は一度もなかった」
『······ん、あたしも』


修業で疲れきった時もルフィの顔を思い浮かべて、自分を勇気つけた。

みんなを守るために、ルフィを守るために、強くならなきゃって。


「ししし!似た者同士だな!」
『合ってんのかよくわかんないけど······よくそんな言葉知ってたね』
「バカにすんな」


ムッとしたルフィをクスクスと笑うと噛みつくようなキスがふってきた。


『ふっ···んんっ』
「···っは、ティアナ···っ」
『んん···っ』


何度も繰り返すうちにだんだんと深くなっていって、唇を割って入ってきたルフィの舌が縦横に動き回る。
苦しくなってきてルフィの服をきゅっと握ると、ルフィはやっと離してくれた。

銀糸がふたりの間を繋いで、プツンッと切れると、ルフィがあたしの肩へと頭を預ける。


「あー···うん、よし」
『え、なに?』
「しししし!今は怒られるからな!後で覚悟しとけよ?ティアナ」
『へ?·········っ!』



甘い時間


『もー···ルフィがカッコよすぎてムリー』
「それ二年前も言ってたよね」
『無理···好き···もー、なんであんなカッコいいの···』
「·········ハッ、バカップルが健在で何よりだわ!」
『何キレてんだよ』




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