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ルフィとウソップとチョッパーのお子様組が釣りをしながらぎゃあぎゃあ騒いでいるのを耳にしながらあたしはその反対側のサニー号の手すりに腰かけて海を眺めていた。
海風に銀髪の髪が流されるのも気にせずにボーッと海を眺める。


「どうしたのよ、そんなボーッとして」


カツカツと靴を鳴らしながらやってきた彼女の声に目を向ければ、オレンジの髪をあたしと同じく海風に靡かせながら腰に手を当てているナミが傍に立っていた。
『んー』曖昧な返事をしながら視線を海へと戻す。手すりからぶら下げていた両足の内片足を手すりに乗っけて膝を抱え込んだ。


「あんた、そのボーッとした時の顔あの子にそっくりよ」


"あの子"とは───今「おーい!」と叫びながらあたしとナミの元へと走ってくる我が相棒の事である。


『え、ナミ酷い。それは心外なんだけど』


カナを見ながら答えれば、「何の話?」と首をかしげながらナミの隣に立った。
どうやらフルートの手入れを終えて、甲板に出てきたらしい。さっきまで「やべェ、ここのところ全然フルートの手入れしてない」と嘆きながら部屋にこもっていたのだ。


「ボーッとした顔があんたにそっくりって言ったのよ」
『そしてあたしが心外と言った』
「あれ、知らないところで悪口言われてた??」


チラリと釣りをしながらわいわい騒いでいるルフィたちを見たのでてっきりそっちに行くのかと思ったらあたしとナミと会話を続けるらしい。
珍しい、いつもはルフィたちとバカ騒ぎしてナミの鉄拳を仲良く四人でもらうのがお決まりなのに。


「あんたフルートの手入れするって言ってなかった?終わったの?」
『楽譜整理よりは簡単だから終わったでしょ』
「全然?余裕で無理」
「何が全然なのよ」
『テメーサボってんじゃねぇよ、はよやれ』



「飽きた〜」でれ〜んと寄りかかってくるカナをそのままにあたしはじ〜···とナミとカナの二人を見比べていた。
視線に気付いたナミが「何よ?」と首を傾げる。


『いや······なんか二人とも似てるよなぁと思って』
「は?似てないわよ全然!どこが似てるって言うのよ!私はこんなに考えなしに突っ込むバカじゃないわよ!」
「え、すげぇ傷ついた。ティアナだって時々考えなしに突っ込むじゃん!!」
「それはいいの」
「贔屓!!!」



ぎゃん!と吠えるカナとナミをじ〜と見る。
うん、やっぱ似てるわ。というか似てきた。


『長いこと一緒にいると似るって言うもんなぁ』
「ちょっとやめてよ!本当に嫌!!
「そこまで拒絶されるの本当に傷つく!!」


カナはあたしに寄りかかっていたが、ナミが嫌そうに顔を歪めるのを見てバッと離れるとナミに噛みつきに行く。そして当然の如く鉄拳を食らう。そして沈む。


『ナミ、手加減しろって。いい加減使えない馬鹿になる
「それもそうね」
「おいコラ相棒を慰めろ!!」


起き上がったカナが吠えてくる。それをハイハイと受け流すナミ。
海風があたしの髪を揺らし銀の髪を浚っていく。それと同時にあたしとカナの手首につけられているブレスレットが、シャランッと音を立てた。


「え、カナってバカなのか!?」
「そ〜だぞ、チョッパー。アイツはまごうことなきバカだ」
「しししし!!バカ!!」
「燃やすぞテメェら」
『ルフィ燃やしたらあたしがお前を海に突き落とすからな』



あたしたちの声を聞いていたのであろう、今まで釣りをしながら騒いでいたお子様組の元へと向かうカナの背中に声を投げ掛ける。
その背を見送っているとナミが腕を組んで「で?」と口を開いた。


『ん?』
「私とどこが似てるのよ」
『あぁ······いや、さ』


やることもなく暇だったから誰かと誰かの似てるところを探していたらナミとカナの似てる所がふと思い浮かんだのだ。そして先程の二人のやり取りを見て確信を得た。
今まであまり気にしたこともなかったし、それを当然のように受け止めていたが、改めて考えると微笑ましくなる。これルフィにも共通してるけど。


「?」
『可愛いところ』


あたしのことが大好きで、何かと一番にあたしのところに来るところ、というのは言わないでおこう。

ナミのオレンジの髪を撫でながら呟いたあたしの言葉に顔を赤くする彼女に『あはは!』と笑いながら、あたしはぎゃあぎゃあと騒がしいカナと照れているナミを見て目を細めたのだった。



親友と相棒


『ま、そういうところが好きなんだけどね』
「?何よ」
『なんでもな〜い』

「カナのバカ!」
「「「バーカバーカバーカ!!」」」
「燃やすぞテメェら!」
「騒ぐな!!!」
「ナミ痛い!!!」

『······似てるのはそこだけなんだけど』




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