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「ん〜」
『ふふっ、くすぐったいよルフィ』


誰もいないアクアリウムバーでティアナがロビンから借りた本を読んでいると、バタバタとルフィがやってきた。ティアナを見つけると嬉しそうにしししし!!と笑って後ろから彼女を抱き締める。
ティアナの肩に顎を乗せてルフィも本の内容を読んでいたのだがどうやら飽きたらしく、ティアナの首筋に顔を埋めてグリグリと彼女に頭を押し付け始めた。黒髪が首を掠めて、ふふっと笑いながらティアナが身を捩る。


『ちょっとルフィ···っ』
「んー」
『本読んでるの···っ!』
「構えよ〜」


グリグリと強く頭を擦り付けてくるルフィに、本に集中しようにも意識が持ってかれてなかなか集中できない。

やっと静かに本読めると思ったのに···!

今の今までここにはカナとブルックがいたので煩くてろくに読めもしなかったのだ。そして二人がナミに拳骨を食らい引きずられながら退場していったので、本を読み始めたのに。ルフィがいては集中できない。


チュッ


『ひゃあっ!?』


項に感じた唇の感触に、思わず声をあげる。そしてバッと項を押さえながら振り返れば、悪戯成功とばかりにルフィが意地悪く笑っていた。滅多に見せないその笑みに、ドクンッと大きく脈打つ心臓。


『な、何すんのルフィっ』
「か〜わいい声だな今の!」
『聞いてんのか』


ししし!!と笑う船長に、『はぁ』とため息を吐いて前に向き直る。さらりと揺れた髪とふわりと香った匂いが、ルフィの鼻を擽った。
引き寄せられるようにルフィはティアナの首筋へと顔を近づける。そして白く柔らかい肌に吸い付けば、ビクンッとティアナの体が跳ねた。


『······』


恨めしげに睨み付けるが、当のルフィは気にすることなくチュッチュッと唇を首筋に落とし続ける。最初は耐えていたティアナも、耐えきれなくなって本を横に置くとくるりと振り返った。


『もう!ルフィ···んっ』


振り返った瞬間重なった唇に、思わず目を見開く。そのまま呆然としていれば、ルフィは「甘ぇ」とひとこと。


『は?』


え、食べ物?と目を丸くすれば、ルフィはしし!と笑う。


「ティアナは甘ぇな!どこを食べても甘い匂いがする!」


思わず呆れたように目を眇たティアナは『そう?』と半ば諦めたように口を開いた。


「あぁ!だから、何度だって食いたくなるんだよ」
『え···』


いきなり声のトーンが変わり、まさか···とティアナがルフィを見上げると同時にスルリ、とルフィがティアナの脚を撫でた。
夜を思い起こすような触り方に、ビクッと反応する脚と『んっ』と声を出すティアナ。ちょっと待って。と声に出そうと口を開いた瞬間、それを狙ったかのように舌が絡んできた。


『!···ん、ふっ』
「ん、ティアナ···」
『ふぁ···んんっ···あ、やぁ』


否が応でも反応してしまう体に、ティアナは自分を抱き締めるルフィの腕をぎゅっと掴む。
すると───


「こっちな」
『あっ』


くるりと体勢を変えられて、ルフィの膝の上に座る形で対面した。当たり前のように首に回された白く細い腕に、ルフィはししし!!と機嫌良さそうに笑う。


『もう···せっかく本読んでたのに』
「何だよ。嫌か?」


着ていた服の下に入ってきた手が薄い腹を撫でた。ツツーと撫でられて、『あっ、やぁ』と甘い吐息をもらす。ビクンビクンと体を跳ねさせるティアナは甘い刺激に目に涙を溜めながら上目遣いでルフィを見上げた。


『あたしがルフィ相手に嫌なんて言うわけないよ』
「知ってる。お前の"嫌"は"良い"の意味だもんな」


なんだが嫌な意味合いが含まれている言い方に、顔を赤くしたティアナは赤く色づく頬をそのままに、ルフィを見つめる。
涙目の瞳と、真っ黒の瞳が交じりあって───距離をつめた。ゆっくりと食むように重ねられる唇。


『ん···は、ぁ···』
「···ん、ティアナ」
『···なぁに』


離れた後に真っ直ぐに黒い瞳を見れなくて、ティアナは恥ずかしそうにルフィの肩に顔を埋める。ぎゅっと強く抱きつけば、ルフィも彼女の体を抱き締め返した。


「はは···あちぃな」
『そりゃぁ、これだけ密着してればね』
「ん〜でもこれがいいだろ?」


コクリ、と頷く。ルフィはゆっくりと彼女の髪を撫でた。


『ルフィ···』
「ん?」


撫でられる頭に、気持ち良さを覚えながらティアナは顔を上げて、赤く染まる頬をそのままに涙目だがトロリと蕩ける瞳でルフィを見上げた。恥ずかしいのか上目遣いで彼を見つめる。
ふわりと香る彼女からの甘い匂いと、愛しい女の上目遣いにルフィはほんのりと頬を染めた。
ティアナはそのまま首を傾げると───


『ちょうだい?』


甘く囁かれたその言葉を合図に、ルフィは彼女を組み敷いた。


「ずりぃぞ、ティアナ」
『どっちが』


ギラギラと自分を見下ろす黒い瞳の中に燃え上がる情欲を見たティアナは、じっと彼の瞳を見つめた。
いつもは天真爛漫でみんなの船長なルフィが、雰囲気を変えてみんなに見せる顔とは違う顔を見せてくれるこの瞬間がティアナは大好きだった。


『······愛してよ、ルフィ』


甘い吐息と共に吐き出された言葉に、ルフィはその唇へと噛みついた。



甘い甘い君


「なぁ、カナ。ティアナとルフィは?」
「邪魔すると馬に蹴られるわよ、チョッパー」
「??どういうことだ?ナミ」
「ね?カナ」
「カナの場合は馬じゃなくて氷の礫が飛んで来るけどな!」




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