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ぐた〜とベンチの背に腕を回してダルそうな体勢を取っているカナの隣で、あたしはジュースを飲みながら彼女にもたれかかっていた。
目の前の店では楽しそうにはしゃいでいるナミとそれを微笑ましそうに見ているロビンの姿がある。


「女子の買い物ってマジ怖ぇ〜」
『よく疲れないよね』


頭を後ろに倒していたカナが頭を起こす。
お店の中でロビンが選んだ服をキャッキャとはしゃぎながら自分の体に当てているナミ。あたしはそれを見て思わず笑ってしまった。そんなあたしをカナが横目で見る。


「あーわかったわかった。ティアナ、ナミが可愛いのはわかったから。別に言わなくていいからね??」
まだ何も言ってないだろ。違うよ。ただいつもよりすごいはしゃいでるなぁと思ってさ』
「······え、そう?」


マジ?そうか?とカナが目を凝らしてナミを見る。「わかんないわ〜」と首を振るカナ。


『いや、はしゃいでるよ。多分こうやって女子だけで出掛けるのって久々だからじゃない?』
「あ〜、確かにそうかも。だいたいロビンは船番でティアナはルフィと行っちゃうもんね」
『······別にわざとじゃねぇからな?』
「知ってるよ」


確かに島について早々にルフィがあたしを連れ出したりするからこうやって女子だけの時間は船の上以外は取れないのだが。
だからこそ気を遣って今回はサンジやフランキーなどが筆頭にルフィの面倒を見ていてくれているのだ。最後までスゲー駄々こねてたけど。結局ナミの拳骨でコト収まった。


「にしても···久しぶりにナミの買い物に付き合ったけど······長ぇな、マジで。疲れた···」
『これ毎回付き合ってるサンジを心底尊敬する』
「今だけな」


荷物持ちとして付き合わされるサンジを本当に尊敬するよ。まぁサンジのことだから「当たり前だよ〜」とか言ってメロリンするんだろうけど。

にしても···本当に長いなとナミたちの方に視線を向ければ───


『あれ···?』


いない。どこ行った?
視線だけでキョロキョロと探す。すると「おい」とカナに肩をつつかれた。彼女が視線をやる先にはお店の外に出て絡まれているナミとロビンの姿が。
いつの間に外に出たのよ···。


「どうする?」
『聞く?それ』
「······行きますか」


楽しそうにニヤリと笑ったカナと顔を見合わせて立ち上がる。近くにあったゴミ箱にジュースのごみを投げ入れれば綺麗に弧を描いて中へと入った。
そして絡まれているナミとロビンの方へと向かう。


「だから忙しいって言ってんでしょ?どっか行ってよ」
「んなつれねぇこと言うなよ。姉ちゃんたち二人だけなんだろ?」
「そうそう。オレらもちょうど二人だからさ。一緒に遊ぼうぜ」


なんだただのチンピラか。

カナと顔を見合わせて気配を殺す。そして彼女たちの背後を取って───カナはロビンの肩を引き寄せて後ろに隠し、あたしはナミの目を後ろから隠しながら引き寄せた。


「ッ!?」
「カナ!ティアナ!」


気づいたナミとロビンが声をあげる。


「お兄さんたち、ウチらの連れに何か用?」


紫の瞳が冷たく彼らを見つめた。ひやりと底冷えするようなその瞳にゾクッと背筋に何かが走り、顔を青ざめさせる男たち。
その中の一人があたしの姿を見ると「ヒッ」と声をあげた。


「あ···ああああんたらのこと知ってるぜ!た、確か······"舞姫のティアナ"に"炎翼のカナ"!!」
「ま、舞姫に炎翼って···あ···あの"麦わら"の!?」
「へ〜よぉく知ってるじゃん」


途端に震え出す男たち。あたしはそれを見ながら目を細めた。


「い、いやあんたらの連れだとは思ってなかったんだよ!」
「そ、そうそう!な、なんならあんたたちも一緒に遊ぶ?な〜んて···」
『あ?』


低い声を出せば、男たちは「「ヒッ」」と声をあげて───


「「すみませんでした!!!!!」」


一斉に逃げ出していった。それを見送ってあたしたちはそれぞれナミとロビンから離れる。そして顔を見合わせると───


「『プッ』」
「あっはははは!!!見た!?あの顔!!」
『見た見た!!最っ高だったね!』


二人でお腹を抱えて笑う。
ヒーヒー言いながらお腹を抱えていれば、突然の出来事に呆然としていたナミとロビンが困ったように眉を下げた。


「もう!急に後ろから現れないでよ!驚いたじゃない!」
「ふふっ。さすがの私でも気づかなかったわ」


バシッと軽くナミに叩かれて『ごめんごめん』と謝る。そしてチラリと目配せし合ったあたしとカナは同時に手を差し出した。そして軽く背を曲げる。


「今からはワタシたちがエスコートしますよ」
『お手をどうぞ?お姫様』


パチンとウインクをひとつ。サンジのような真似をしてみせれば、彼女たちは一瞬きょとんとしたがすぐに笑って手を取ってくれた。ロビンは優雅に、ナミは少し頬を赤くさせて。


「そうね、それじゃあ頼もうかしら」
「ちゃーんとエスコートしなさいよね!」
「『仰せのままに』」



お手をどうぞ


「ちょっとティアナ!次あそこ行きましょ!」
『はいはい』
「お、ロビンの好きそうな本あるよ。どう?」
「そうね、買おうかしら」




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