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「だからティアナはおれのだ!」
「何よ!あんたはいつも一緒にいるんだからたまにはいいでしょ!?」


ギャーギャーと騒がしいくらいのルフィとナミの声に、昼寝から目を覚ましたカナは、クスクスと笑いながら傍観しているロビンの元へと駆け寄った。


「何騒いでんの?あいつら」
「あら、カナ。目が覚めたの?」
「あんだけ騒がれてたら目が覚めるって」


ふぁとあくびをしながらギャーギャーと言い合いしているナミとルフィを見る。
間に挟まれているティアナが『まぁまぁ』となだめているみたいだが効果ナシ。


「で、何やってんの?」


甲板の三人を指差すと避難してきたらしいウソップとチョッパーが寄ってきた。


「ゾロが島が見えたって言った瞬間あぁなったんだよ」


ウソップの言葉にあぁと納得する。
いつものことか···とカナは階段の手すりに頬杖をついて三人を眺めた。

あの二人が言い争う理由は大抵がティアナのことだ。
ティアナと島を一緒に探検したいルフィと、ティアナと島で一緒に買い物をしたいナミ。
島が見えた瞬間に始まる二人の恒例行事みたいなものだ。

題して······ティアナ争奪戦!···うん、そのままだな。


「ティアナ、大変そうだ···」
「んーそうだね、あれはめんどくせーって顔してるよ」


二人の間にいるティアナからのどうにかしろという視線がもろに突き刺さる。

だがカナは行かないぞ!
あの二人の間に入ってどれだけの被害を被ったか···!


「カナ、お前止めて来いよ」
「今行かないって決めたところなんだよ!」
「でもあのままだとティアナが可哀想だぞ?」
「行ってきたら?カナ」
「わかった、行ってくる」
「意志弱ッ!」


だってチョッパーとロビンに言われたら行くしかないじゃないか!!

サンジはキッチン、ゾロはトレーニングルーム、ブルックは楽譜の整理、フランキーは船の点検。

やべぇ、頼れるやつ他にいねぇよ。
ロビンとチョッパーに行かせるわけには行かないし、ウソップなんて論外だ。行く気すらないだろう。

さぁて、今日もまた被害者になりますかな。


「ハイハイ、ケンカはそこまでだよ。ティアナも困ってるでしょ?」
「「カナ、うるさい。」」
「なんで!?」


理不尽!

だがカナはこんなに冷たくされるのは慣れている。
なぜなら···このケンカを止めるときはだいたいこんな感じだし、この二人マジでティアナのこと大好きだからな。
いや、勿論カナもティアナのことは大好きだし?てか一味みんなティアナのこと大好きだし?

いや···そんなこと知ってて······。


「いやいやいや!ティアナのこと一番大好きなのはカナだしぃ!?」
「「は···?」」
『何言ってんの?お前』


あ、詰んだ。


「カナのやつ、逆効果だっつーのに気づいてんのか?」
「ヨホホ!気づいてないでしょうねぇ」
「ったく、相変わらずだなカナは」
「ただのアホだな」
「そんなカナちゃんも素敵だぁ〜〜!」
「カナはアホなのか!?」
「ふふっ、どうかしらね」


おい、聞こえてんぞお前ら。

わかってるよ、今自分でも詰んだ。って思ったよ。言いたい放題いいやがって···!燃やすぞお前ら!(チョッパーとロビン以外)


「ちょっと!私が一番ティアナのこと大好きよ!親友なんだから!」
「なにおう!?カナはティアナの相棒だもん!」
「おまえら何言ってんだ!ティアナはおれの女だ!」


今度はカナも混じっての言い合いに、ティアナはあきれたように顔に片手を当てて空を見上げた。


『いい加減にして···』


その言葉はギャーギャー!と言い合うカナたちの耳には入ってこなかった。


このあと、キレたティアナからの説教とカナにだけ拳骨が降ってくるまで、全てがいつものことだった。



日常


「お前も大変だな」
『そう思うなら変わってよ、ウソップ』
「いや無理」


「ティアナー!一緒に釣りしようぜー!」
「何言ってんのよ、ルフィ!ティアナは私と女子トークするのよ!」
「はあ!?ティアナはこれからカナと曲作りするんですー!」


『············』
「((ポンッ」




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