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結局カナのせいだと言うことになり、泣きながらナミに引きずられていくカナを見送ってみんなは各々の場所へと戻った。
着替えたティアナがチョッパーに診てもらうと、体に害があるわけでもなく自然と戻るそうなのでティアナはとりあえず安堵の息を吐いた。
そして船の手すりに座って海側へと足を投げ出し、ブラブラと足を揺らす。同時に不機嫌そうに白い尻尾も揺れた。


『ん〜···変な感じ···』


耳とお尻にある違和感。ティアナがむむっと唸っていると急に耳を触られて『ひゃあっ!』と何とも恥ずかしい声が出た。
しししし!と後ろから聞きなれた笑い声が聞こえてきて、ティアナは睨み付ける。


『もう!ルフィ!』
「ははっ。わりぃわりぃ」


ルフィも同じように足を投げ出して彼女の隣に座る。


「で?大丈夫だったのか?」
『うん。体に害のあるものじゃないって』
「そっか···」


遠くの方からカナの悲鳴とナミの怒鳴り声が聞こえてくる。親友の怒声も相棒の悲鳴も、白い猫耳をピクピクッと震わせながら聞く。

ルフィはそんな彼女の耳をみつめて何か思い付いたように白い歯を見せて笑うとティアナに気づかれないようにそっと手を伸ばした。
だがそれは彼女の白い尻尾にバシッとはねのけられる。ルフィは「いてェ〜」と叩き落とされた手を擦った。


「何すんだ。いてェじゃねえか!」
『よからぬこと考えてるからでしょ。変なこと考えてるとカナみたいになるよ』
「それは嫌だ!!」

「んだとコラルフィ!!聞こえてるかんな!!!」
「あんたはルフィに構ってる場合じゃないでしょうが!!!」


滅竜魔導士ドラゴンスレイヤー特有の耳の良さでルフィたちの会話が聞こえたらしいカナが吠えれば、すぐさまナミの怒鳴り声とガンッと何とも痛々しい音が聞こえた。
それと同時にサニー号全体に響き渡る「いってええええぇぇ!!!!」と泣き叫ぶカナの声。


「チョッパー!医者!医者呼んで!!カナの頭が割れる!!」
「割れないわよ。」
「よ、よしっ。医者だな?医者ァー!!」
「お前だよッ」


騒がしい声を聞きながら、ティアナはブスくれた表情で尻尾をゆらゆらと揺らす。どう見ても誰が見ても不機嫌な彼女に、ルフィはくしゃくしゃとティアナの頭を撫でた。無意識にティアナの喉がゴロゴロと鳴る。


「いいじゃねェか、そのままでも。可愛いんだしよ〜」
『かわ···っ!······可愛くないもん』
「何でだよ。可愛いぞ?」
『もういいってば』


可愛いを二回も言うルフィに恥ずかしくなったティアナは頭を撫でるルフィの手をそのままにプイッとそっぽを向いた。
一瞬きょとんとしたルフィだがすぐにしししし!と笑う。


「なァ···ティアナ」
『···なあに?』


振り向いたティアナは自分を真っ直ぐと見つめるルフィの視線にドキリッとした。熱の篭る黒い瞳がゆらゆらと燃え上がる。
そして、彼女の後頭部に手をやり、グイッとティアナを引き寄せて耳元で囁く。


「───もう我慢できねェ」
『〜〜〜ッ』


いつも聞く声より低い"男"の声にティアナは一気に顔を真っ赤にさせた。

ルフィはずっと耐えていたのだ。彼女の猫になった姿を始めて見た時から。
うるうると潤む瞳とその体に生える猫耳と柔らかそうな白い尻尾。その潤んだ瞳が自分に向けられた瞬間───ここに仲間たちがいるのも忘れて押し倒しそうになった。
だがそんな事をすればティアナのことが大好きなナミから制裁が下るし、ティアナも怒って口を聞いてくれなくなるだろう。
だから耐えた。我慢した。彼女とふたりきりになるまで。


「なぁ、いいだろ?」
『〜ッ···ずるいよ、その聞き方』


ぎゅっとルフィの服を握るティアナが上目遣いに彼を見上げれば───その潤んだ瞳+猫耳+蒸気した頬のカウンターパンチをくらったルフィは、くらくらと目眩がした。

そしてルフィは今は誰もいないとわかっている船室へとティアナを横抱きに抱えあげて消えていった。



Adorable cat


「あら···ルフィとティアナがいつの間にかいないわ」
「ほんと。まあ、どうせルフィがティアナの機嫌でも直したんでしょ」
「あいつらの機嫌直せるのお互いだけだもんなァ」
「でもね、ウソップ。八つ当たりされるのはカナちゃんなんだよ。ヒドイよね」
「自業自得だろ」
「ていうか、カナ。あんた今日ティアナに近づくの禁止よ」
「嘘だろ!?!?」




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