龍の隠れ里
『ハク、アキ、ヨナ。これ、ユンの荷物よね!?』
「ユン、どこ!?返事して!」
二人が周囲を見回すと、その後ろにいたハクとアキが何かに気付いた。
ザアアッと草木が揺れると同時に聞こえた声。
《去れ。去れ。》
《この地より即刻立ち去れ。》
『誰!?』
突然聞こえた声にランが呼びかける。
《これ以上、踏み込めば天罰が下されるであろう。》
「「下がって。」」
ハクとアキはランとヨナを自分の後ろに下がらせた。
そして、ザッと大刀と槍を軽く振るう。
「霧に隠れて天罰たぁ、さぞご立派な神様なんでしょう…」
「「ねえっ!?」」
二人がゴオと大刀と槍で霧を振り払うと、周りにあった霧がなくなり変わりに現れたのはラン達に弓を向ける無数の人。
「主ら、何者…!?」
「ひと振りで我らの霧を晴らすとは…!」
「あんたら、龍の里のモンか?」
ハクがランを抱き寄せながら聞く。
「我々一族を知っているようだな。ならばますます生きて帰すわけにはゆかぬ。」
「先程の小僧もお前らの仲間か?」
その言葉にランがハクの腕から抜け出す。
『ユンを連れて行ったのはあなた達!?』
「ユンをどうしたの?」
「あの小僧は……」
ランとヨナが訊くと一人の男がラン達を見て目を見張った。
「そなた…」
「赤い髪…」
「桃色の髪だ…」
「まさか…」
「しかし少女だ。」
その様子に首を傾げながらハクとアキがランとヨナを抱き寄せる。
すると先程の男がザッと木から降りてラン達の前に膝を突いた。
「いずこより参られたか?赤い髪の少女に桃色の髪の少女よ。」
「…風の地。神官様のお導きにより四龍の戦士を訪ねて来た。」
『あなたは四龍の血を持つ人?』
「…いいえ。我々は白き龍の守り人。
ご案内しましょう、白龍の里へ。」
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