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車通りや人通りが多い、米花駅前。
コンビニの前に座っていた光彦が隣にいる元太を見て声を上げた。


「元太くん、それも食べるんですか?」
「いいじゃねェかよっ。何本食ったって」


棒付きアイスを片手に光彦に詰め寄る元太。
コナンたちの座っているベンチの横では歩美が何かのゲームをしていた。
それを横目に花恋は後ろの光彦と元太の会話を聞く。


「今度はブラックチョコバー!大人の味だ!!」
「えっ!?本当ですか!?」


肘をついてそんな会話を聞いていたコナンとバニラアイスを食べていた花恋は((そんなワケねェだろ···))と心の中で突っ込んでいた。
食べ終わったアイスの棒を花恋は近くにあったゴミ箱に向かって投げるが蓋に当たって落ちた。


「オメー、下手くそだな」
『うるさい』


コナンの嫌味をバッサリ切った花恋はベンチから降りるとゴミ箱の横に落ちたアイスの棒を拾い上げてゴミ箱に捨てる。
その後ろ姿を見届けてコナンは腕時計へと視線を向けた。


「しっかし、おせェなぁ」
『どうせ寝坊じゃないの?』


戻ってきた花恋がコナンの横に座ってそう言うとコナンは頭の後ろで腕を組んで「そうかもな」とため息交じりに呟いた。
そんなやりとりをしている横で歩美がゲーム機のボタンをピッと押した。
画面に映し出されているカードがシャッフルされる様を歩美はじっと静かに見つめる。
そしてカードが揃うと歩美は声を上げた。


「わあーーっ!!見て見て!!花恋ちゃんとコナンくん、相性ピッタリ!!」


画面に映し出されているのは数々のトランプと《貴方と彼は相性はピッタリ!》という文字。
歩美の言葉に視線を向けた元太が驚きの声を上げる。


「えっ!?壊れてんじゃねえのか?そのゲーム」

(てか、なんで私とコナンで占ってんの···)


あきれたように目を細めた花恋とコナンが顔を見合わせた。
だいたい相性が悪ければ付き合っていない。


「···と言うよりも、げ、元太くん!」


そんな花恋たちの後ろにいた光彦が焦ったように声を上げた。
そしてパクリと一口、手に持っていたアイスをかじる。
(まだ食べきってなかったの···)と花恋がそれを見て密かに突っ込んだ。


「しょせんトランプ占いなんて嘘っぱちですよ······」
「コナンくんのもやってみよっと」


「誕生日は···」と入力していく歩美の姿を横目に見たコナンは(おいおい···勝手に人のを占うんじゃねぇよ···)と心の中で突っ込んだ。
トランプが出そろうと画面には《意中の人と急接近!》と文字が書かれている。
その画面を見た歩美が両手を組んで悲鳴を上げた。


「キャーーッ!!きっとこれ、花恋ちゃんとコナンくんのことよ!」


元太たちが「えーっ!?」と声を上げると画面にまた新たな文字が出た。
チャララ〜ンという音とともに書かれていた文字は《Aの予感》。


「Aの予感?」
「「えーーっ!?」」


大声を上げた歩美と元太に光彦とコナンと花恋は思わず振り返った。
元太の呟いた「Aの予感」という言葉にコナンと花恋は((おいおい、何年前のゲームだ/よ、それ···))と心の中で突っ込んで目を細めた。
呆れている二人を歩美と元太が振り返る。


「ねえねえ!「A」ってなァに?」
「「A」って言うのはですねー···つまり、「B」の前って事で···」
「エビフライの事だよ!!」
『それ絶対違う』


光彦の言うアルファベットの話から何故食べ物の話になるのか···。
元太らしい···とため息を吐いた花恋を他所に歩美は顎に手を当てて残念そうに呟いた。


「なァんだ!?キスのことじゃないんだ!!」
『え···』

「「「エーーーッ!?」」」


歩美の発言に花恋たちが目を見開いた。
そして数分後、「ハァハァ···」と息を切らした阿笠博士が走ってくるとコナンたちの座っているベンチの前にザザザ···と滑りながら現れる。
コナンたちはそんな阿笠博士に背を向けて並んで座っていた。


「すまんすまん!!寝坊して······あらっ!?」
「「「「『···ったく!!遅いよォ!博士!!!!』」」」」
「すまん!!」


***


「「「わあーーっ!!」」」


東都航空記念博物館に訪れたコナンたちは、室内にあるたくさんの飛行機を見上げて声を上げた。
細長くボディーが緑色の飛行機を前に子供たちは嬉しそうに飛行機を見上げる。


「ここ、ヘリコプターの模擬操縦ができるらしいぜ!!」
『残念でした!』
「えっ!?」
「なんでだよ!?花恋!!」


不満な顔をした子供たちが横でパンフレットを見ていた花恋とコナンを振り返る。


「ヘリコプターの模擬操縦って小学五年生以上って書いてある!!」
「えー···つまんない」


口を尖らす子供たちを横目に見たコナンと花恋はクスっと小さく笑うと顔を見合わせた。


(悪いな···オレたちは五年になった時、めいいっぱいやってんだ)


小学五年生になった時、新一と蓮華は優作と勝也から飛行機の操縦を習っていたのだ。
不満そうな顔で顔を見合せる子供たちを見て阿笠博士はポンっと手を打つ。


「じゃあ代わりにワシが面白い話をしてやろう!」
「えっ!?」


阿笠博士の提案に子供たちが顔を寄せ合いコソコソと話しあう姿を見て花恋ははぁ···と小さく溜息を吐いてコナンと一緒に子供たちの傍へと歩み寄った。


「おい、やめさせねェと長い話聞かされるぞ!!」
「ボクに任せてください!」


自信満々にそう言う光彦を見て花恋が苦笑いを浮かべる横で阿笠博士が目を閉じて顎に手を添えながら口を開いた。


「ギリシャ神話に出て来るペガサスという馬は···」
「ジャン!!そこでクイズ〜〜ッ!!」
「···ン!?何じゃ!?いきなり」
「元旦とエイプリルフールと子供の日に生まれた三人が集まって会を作りました!さて、何という会でしょうか?ヒントはペガサスのように空を飛ぶ動物です!!」
「空を飛ぶ動物?」


いきなりの光彦の問題にきょとんとする元太と歩美に、阿笠博士の横にいた花恋とコナンは答えがわかり顔を見合わせるとくすッと笑った。
二人の笑い声が聞こえた子供たちはコナンたちの方へと顔を向ける。


「あれ?二人とも、わかったんですか?」
『モチロン!三人の誕生日を足せばいいんでしょ?』
「誕生日?」
「一月一日、四月一日···五月五日···」


指を折って数えていた歩美が「十月七日?」と呟くとコナンはこくりと頷いた。


「そう!十月七日!!」


10月7日の月と日を失くすと、107。
それに会をつけると、107会。


『トナカイだよ!トナカイ!』
「クリスマスの時、ソリを引いて空を飛ぶだろ?」
「正解ですっ!!さすがコナンくんと花恋さんですネ〜〜ッ!!」
「おおッ!!」


笑顔で光彦と歩美がコナンと花恋を見ていると元太が声を上げた。
元太の視線の先には先ほどコナンたちが見ていた飛行機をパシャパシャとカメラで撮っている一人の男の人。
コナンたちがその人を見ていると元太は男を指差して口を開いた。


「あれ、宍戸永明じゃねーか?」


元太の声に宍戸は花恋たちの方を振り返るとパシャパシャと写真を撮ってコナンたちとは反対の方向へと歩いて行った。
その後ろ姿を見送った子供たちが揃って口を開いた。


「「「カッコイーー!!」」」


元太たちの様子を見て何処がカッコイイのかわからない花恋は一人、首を傾げるのだった。


***


夕暮れ時。
博物館から帰って来た花恋とコナンは事務所を通り過ぎ三階に上がると玄関のドアを開けて「ただいまーーっ!!」と声を上げた。
靴を脱いで部屋に入るとそこにはネクタイを締めている小五郎とその隣で小五郎の服を持っている蘭がいた。


「お帰りなさい!」
「あれ?おじさん、まだ支度してなかったのォ?」
「お昼から麻雀やりに行って、今、帰って来たばかりなのよ」


あきれたように蘭が小五郎に視線を向けると、小五郎は鏡でネクタイを確認しながら「···ったく···」と呟いた。


「何で英理と食事なんかしなくちゃいけねーんだよ!」


その時テレビからアナウンサーの声が聞こえてコナンと花恋は顔を向けた。


〈今日は、近く東都湾にオープンする海洋娯楽施設のアクアクリスタルのオーナー、旭勝義さんのお宅にお邪魔いたしまして色々とお話を伺いたいと思います〉


テレビには六十代の少しふくよかな男性がタバコを咥えながら映っていた。
その様子を二人が見ていると、蘭がリモコンでテレビをピッと消した。


「花恋ちゃん?コナンくん?」
『「あっ!!」』


少し怒っている顔の蘭を見て二人は顔を見合わせると、


『私たちも着替えて来る!!』


たッとその場から逃げ出すように部屋へと駆け出した。
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