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- ナノ -
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翌日の昼下がり。
子どもたちとコナンと花恋、蘭は阿笠邸に訪れていた。
阿笠博士、蘭、コナン、花恋、灰原はソファでお茶を飲み、子どもたちはリビングの柱に掛けられたダーツの的に矢を投げて遊ぶ。
光彦が投げたダーツの矢は的を外れて床に落ちた。


「あ〜あ、もうちょっとだったのに〜」
「んだよっ、下手くそだなぁ」


元太が言うと、光彦はムッと頬をふくらませた。


「だったら今度は元太君がやってみせてくださいよ」
「いいぜー」


子どもたちは柱の下に大量に落ちているダーツの矢を拾いに行った。


「蘭お姉さん、的のダーツ取って〜」
「はーい、ちょっと待っててね」


蘭はソファから腰を上げ、子どもたちのところに向かった。
灰原は隣でぼんやりとテレビを見ている花恋とコナンに話しかけた。


「······彼女、言ったわ。私たちを助けたいって」


コナンと花恋はテレビから目を離し、「ああ/うん」とうなずいた。


「でなきゃ、死ぬ間際にあんな人形持ってねーよ」
「でも、わからないわね。どうして彼女······」


と言いかけて、灰原は子どもたちを見た。
コナンと花恋もつられて見る。
子ども達が投げたダーツはあいかわらず的に刺さらず、柱の下に落ちていくばかりだった。


「あ〜あ、あのお姉さんみたいに上手くなりたいなぁ」
「そういや、あの姉ちゃんどこ行っちまったんだ?」
「きっと元気ですよ。あの爆発の犠牲者は犯人だけって言ってましたから······」


ダーツの矢を拾いながら子どもたちの会話を聞いていた蘭は、「その人って水族館で会った、記憶喪失の?」とたずねた。


「うん。病院でオセロして······」
「人形あげたんだぜ。すんげー喜んでたぞっ。なあ?」
「ええ。みんなおそろいの人形なんですよね」


子どもたちはそれぞれのポケットからイルカのキーホルダーを取り出して、蘭に見せた。
へぇ〜、と蘭がニッコリしながらキーホルダーを見ると、歩美はしょんぼりとうつむいた。


「でも、いなくなっちゃったんだよね」
「記憶が戻って元いた場所に帰っちゃったのかも······」
「せっかく友達になれそうだったのによぉ」


そろってガックリと肩を落とす子どもたちを見て、蘭は「でもさ」と言った。


「それって、もう友達なんじゃない?こんなにみんなに想われてるんだから」


蘭の顔をぽかんと見ていた子どもたちに、たちまち笑みが宿る。


「そっかぁ」
「ですよね」
「おうっ!」


元気になった子どもたちに、蘭が微笑みながら「うん」とうなずく。
ソファから子どもたちを見ていたコナンと花恋と灰原にも、自然と笑みがこぼれた。


『もしかしたら、あの子たちが変えたのかもね』
「ええ······」


うなずく灰原の横で、コナンと花恋はキュラソーの瞳と黒焦げになったキーホルダーを思い浮かべた。


「『最後の最後で、彼女の色を······』」
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