王様ゲーム ターン2

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「さぁ黄瀬、次のターンだ。カードを配れ。」
「は、はいっスあか…ご主人様。」

赤司の声で黄瀬はぴしっと背筋を伸ばし、ぎこちない手つきで5人がそれぞれ持っているカードを回収した。
そして、カードを何回かシャッフルし、もう一度配る。
五人が一斉にカードを裏返すと

「!…当たったのだよ…!」

歓喜の声を上げたのは緑間だった。
その手には、先ほどまで赤司の手の中にあった"王様"と書かれたカードがしっかりと握られている。

「チッ…何をやってるんだ、黄瀬。主人に王様を渡すのは常識だろう?」
「俺のせいっスか!?」
「ミドチンむっつりだし、何言い出すかわかんないよねー。」
「たしかに、同感です。」
「緑間もどうせろくなこと言わねぇんだろ。」

嬉々とした様子の緑間をよそに、口々に文句を言う他四人。
黄瀬は相変わらず焦ったような表情である。

「む、むっつりではないのだよ!俺は赤司のようなたちの悪い命令などはしない!」

そう言う緑間だが、頭の中ではぐるぐるといろんな妄想が渦巻いているのであった。

〜緑間君の脳内劇場〜

命令とは一体どこまでが許容範囲なのだよ!
赤司のあの命令を俺がするのもアリなのか!?
否!
アリだとしても、それではむっつり決定なのだよ!

だがしかし、黄瀬にご主人様と呼ばれるのも捨てがたい…
くっ…いっそのこと開き直ってキスでも命令してみるか。
否!否!
それは駄目なのだよ!
もしもそれが黄瀬のファーストキスだったら…
はっ!黄瀬の、ファーストキス…!

「2、1、0…緑間、残念だが時間切れだ。」
「なっ!?」

緑間が脳内で葛藤を繰り広げている間に、赤司は刻々とカウントダウンをしていたようだ。
至極当然と言った口調で腕を組みながら緑間を見つめる赤司。
その顔には勝ち誇ったような笑みが浮かんでいる。

「そ、そんなルールはなかったのだよ!」
「何時までも待っていられるわけがないだろう。なぁ、黄瀬?」
「へ!?お、俺は何にも…」
「そうだよな?」
「…はいっス。」

黄瀬を見つめる赤司は、有無を言わさぬ口調で首をかしげてみせる。
そんな赤司に、黄瀬は否とは言えなかったのだった。

それはおかしい、と赤司に反抗するような者はその場には誰一人おらず、憐れな緑間君の夢は夢のままで終わったのであった。





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