控え室に戻って休息を交えつつ着替えると、荷物を持ったリコが笑顔で選手たちを見た。







「さ!帰ろっか!」

「いやちょっ……ゴメン、マジ待って」

「二試合やってんだぞ、しかも王者………」

「んなテキパキ帰れるか………!!」

『カントク、もう少し休憩した方が………』

「あ、ゴメン」








ゾンビのようによろよろとしながら手を伸ばす選手たちに思わず苦笑いを浮かべた。








『先輩方は少し休めば大丈夫そうですが、問題は火神君ですね。最後無茶をしましたし』

「でもいつまでもここにいるわけにもいかないし………とりあえずどっか一番近いお店に入ろう!」

『あ、ここからちょっと歩いたところにお好み焼き屋さんがあるみたいですよ』

「じゃあそこに行くか」

「火神君は誰かおんぶしてって!」

「じゃあジャンケンで決めよう!」







ジャンケンで黒子が負け、黒子が火神を背負って行くことになった。

外は雨が降っているので、美琴は自分の傘は肩で支えるようにして片手で黒子と火神の傘を翳してやる。









『黒子君大丈夫………?』

「すいません、もう無理です」

「ちょ、黒子テメッもっとがんば、あ゛〜!!!」

『か、火神君………!』








お好み焼き屋に着いたとき、火神は泥だらけだった。

火神にタオルを渡しつつ傘を閉じて店内に入ると、ある一角に視線が止まった。







「黄瀬と笠松!?」

「ちっス」

「呼び捨てかオイ!!」







テーブル席に座っていたのは黄瀬と笠松だった。

二人は試合を観に来ていてここでご飯にしていたらしい。

人数が多いので誠凛は奥の座敷を占領する形で入るが、入りきらずに相席をすることになった。

その結果、美琴は座ったメンバーを見て思わず乾いた笑みを浮かべた。







『………………』







どうしてこうなった。







黄瀬と笠松のテーブルに相席させてもらった結果、テーブルには黄瀬と笠松、黒子、火神、所謂誕生日席に美琴が座った。








「なんなんスか、このメンツは………そして火神っちなんでドロドロだったんスか」

「あぶれたんだよ。泥はほっとけよ。っち付けんな」

「食わねーと焦げんぞ」








とりあえず飲み物を注文して乾杯をしようとした瞬間、お店の扉が開いた。







「すまっせーん。おっちゃん、二人空いて………ん?」






その場の時間が一瞬止まったように感じた。




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