No.41:『貧乏学生』と『武将』が出てくる晴れた日に読みたいお話
大学での講義を終え、
家賃1万円のアパートに帰宅し、
ボロ雑巾のような布団で俺は寝たはずだ。
が、目を覚ませば豪華絢爛な部屋の真ん中で寝ていた訳で。
「殿」
声の先には、如何にも武将と思われる男が枕元に控えている。
「お体に触りはありませんか?」
なぜか腰がズキリと痛んだ
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No.42:無気力な男と謎の多い友人との哀しい話
「死にたい…」
「またそんな事いう」
そう言ってどこからともなく友人が現れた。
この言葉を口にすると君はそうしてやってくる。
隣に座って優しい言葉をかけてくれる。
「お前なら大丈夫」
そういって頭を撫でる手はひんやりとしていた。
当然だ。
だって君はもう死んでいるのだから。
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No.43:夢を失った研究者と緩やかに死を待っている男とのファンタジー
恋人の主治医が私達に告げる。
『残念ですが、もって1ヶ月です』
私の研究資料が紙屑へと変わり、恋人を救うという夢が潰えた瞬間だった。
「僕は気にしていないよ。君は十分頑張ってくれた」
そういって微笑む彼の笑顔は、彼の体に咲き乱れる薔薇よりも美しかった。
--1ヵ月後の話--
1ヵ月後の朝。
彼が居た病室のベッドに彼の姿は無く、一輪の薔薇が置かれていた。
数日前の彼の言葉をふと思いだす。
『最後は君に"僕"を贈るよ』
私は薔薇を拾い上げ、そっと花弁に口付けた。
「次は君を枯らさない研究をするよ。死ぬまで傍に居ておくれ」
薔薇は少し暖かかった。
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No.44:誰にも信じてもらえない物書きと忠犬のように付き纏う人物との愛をテーマにした話
「お前も嘘だと思ってる癖に」
精一杯の悪態をついて握っていた万年筆を相手に投げる。
奴は万年筆を受け止め「俺は信じます。貴方が異形を見てる事」と言葉を添えてそれを俺の手の中へ戻した。
「ボールで遊ぶ犬かよ」
そういうと奴は嬉しそうに笑った。
悔しいぐらい愛しいと思った
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45:「昼のグラウンド」で登場人物が「頭を撫でる」、「吐息」という単語を使ったお話
「新記録でたぞ〜」
ストップウォッチを片手にグラウンドに横たわる後輩の元に駆け寄り頭を撫でる。
「良く頑張ったな〜この暑い中」
そういって真上にいる太陽を見上げた。
手の下で息を整わせようと後輩は小さい呼吸を繰り返す。
それは情事の吐息に良く似ていて思わず息を呑んだ。