いつもと同じ時間に家を出た
このタイミングで学校に行けば彼らがいるから
大きな声で何かを叫んでいる獄寺くんが見える
その隣にはまーまーと、宥めている山本くん
そしてもう一人は──肩にリボーン君を乗せて苦笑いを浮かべる綱吉
やっぱり居た!
スゥと深呼吸をしてから4人の下へ駆け寄った


「おはよっ!」

綱吉がこちらをチラリと見た
わわっ目が合った!
たったそれだけでテンションが上がるなまえだったが
すぐに冷たくそらされてどん底へ突き落とされる感覚
身体にピシリと亀裂が入り砕けそうだ

最近の綱吉は、冷たい。

何でか私を避けているような行動をとられている
全然綱吉の声聞けてないよ
切なくなって足元に視線を落とした
感傷に浸っていると頭に衝撃が走る
痛っ!?ちょ、急に何ー!!


「心配すんな。今は戸惑ってるだけだ」

ボソリと私にしか聞こえないくらいの音量でそう呟くリボーン君


「戸惑う・・・?」
「すぐいつものツナに戻るからな」

ニッと笑って見せた彼に、なんだかそんな気がしてきた
そうだよね!落ち込んだってしょうがないよね!!
大丈夫、小さくガッツポーズをした。





寝坊したー!!!
こんな時間に家出るの初めてなんですが。
学校には間に合う、分けないですよねー!!
パンを口に詰め込んで家を飛び出した。
遠くに学校が見えてきた、もう少し!
風紀委員の姿が見えた、終わった!
私に気づいた雲雀さんはどこからかトンファーを取り出してこちらに近づいてきた
慌てる私を鼻で笑い冷たい目で見てくる


「歯、食いしばりなよ。一発しばいてあげるから」
「ごっ、ごめんなさいぃい!!!」

一歩後ろに後退したときに足が引っかかり尻餅をついてしまった
お尻痛い!雲雀さん恐い!
じりじりと詰め寄ってくるから汚れも気にせず、そのままの体制でずるずる後ずさる。
ずっと前に居る雲雀さんを見ていたために気づかなかった
ドンッ!と何かにぶつかる
ヤバイ、行き止まり!?
気づいたときには身体は引き起こされていて駆け出していた
手を引いて前を走っているのはススキ色の特徴的な髪型の男の子

私の、よく知ってる温かい手。

いつのまにかこんなに大きくなったの?
昔は同じくらいだったのに。
そんなに背、高かったっけ?
ちょっと前は私のほうが高かったのに。
ねぇ、いつからそんなに男の子になったの?
私は全然、成長できてないのに・・・!


「綱吉・・・!!何で優しくするの?
 私のこと、嫌いなんじゃないの!?」

一気に捲くし立てたら涙が込み上げてくる。
ゆっくりと減速して握っている手を強くした
振り返った綱吉の顔は、大人の顔だった


「ちょっとずつ俺たちは変わっていくんだよ」

発せられた声は以前聞いたものより低くて
避けられる少し前は、よく咳払いをしたりしてたなぁ。と1人思い出す


「その変化は目に見えないけど、やっぱり日に日にあって
 急に変わることは出来なくて・・・・」
「その変化に、綱吉は戸惑ったんでしょ?」

そう言えば恥ずかしそうに顔を背ける
前やられた時みたいに、切なさはなかった
なんだか嬉しくて、堪えきれずに抱きつくと
大きくなったその両手が優しく包み込んでくれた
綱吉の温もりはいつまでたっても変わらないよ
何があっても綱吉は綱吉だね。
そんな綱吉が、大スキだ!!


『変わることは恐怖じゃないんだから』