FF夢


 8-16



Side 【Cloud】

シドの指揮によって全速力で空を駆けたハイウインドは、あっという間にミッドガルエリアへと辿り着いた。
ミッドガルへ向かってゆっくりと進行するダイヤウェポンを発見したクラウドたちはすぐにハイウインドから下船し、戦闘体制に入る。全員が武器を構えたその時だった。

ミッドガル方面から一台のスキッフが飛んできたのだ。
スキッフと言えば連想するものは、タークス。と、クラウドたちが身構えた瞬間、ダイヤウェポンの真上を飛行していたスキッフから何者かが勢い良く飛び出して来る。

「うおりゃあああ!」

その男性は落下の勢いに乗じて、ウェポンに重い一撃を食らわせた。
そして空中でくるりと体勢を整え、クラウドたちのすぐ近くへと着地したのだった。

「ようクラウド! 久しぶりだなぁ〜!」
「ザックス…!?」

ソルジャーの隊服に身を包み、白銀色に輝く両手剣を軽々と振り回すザックス。
ウェポンの前だと言うのに、彼はニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべていた。

一応、クラウドとザックスはつい最近もミディールで会ってはいるのだが、その時クラウドは魔晄中毒状態だったため記憶には残っていないだろう。とすると、2人がこうして会話をするのは約5年ぶりということになる。
そういった意味合いでの「久しぶり」という言葉なのだろう。ザックスも、ようやく魔晄中毒が完治したクラウドに会えて嬉しそうだ。

唖然とするクラウドに続いて、ティファとユフィも「ザックス!」「ああ〜っ!?」と揃って声を上げる。そんな2人に、ザックスも「よう!」と手を振って応えた。


「昔話でもしたいところだけどよ、まずはアイツを食い止めるぞ」
「ああ、そうだな」

ザックスが与えた一撃はウェポンにとって全くダメージにならなかったようだが、注意を引き付けることには成功したようだ。ダイヤウェポンはゆっくりとこちらに向かって方向転換をし始める。
その隙を突き、ザックスは大きな声で指揮をとりはじめた。

「飛空艇のおっさん、それからスパイのネコ! あんたらは飛空艇からの退路確保とオペレーションを頼む! キャノンの発射準備が整った瞬間に戦線離脱すっから、いつでも逃げられるようにしといてくれ!」
「おうよ!」
「はいな!」

ザックスを知らないはずの仲間も、まるで今までずっと共に戦って来たかのように従った。
クラウドが彼を模倣していたからだろうか、初対面だと言うのに初めて会った気がしないのかもしれない。

「俺とクラウドともう1人、魔法が得意なやつは攻撃に回ってくれ!」
「それじゃあオイラが行くよ! バレットもティファもユフィも、あんまり魔法使うの得意じゃないもんね」

そう言ってナナキがザックスの元まで進み出る。確かに今名前の挙がった3人は、いずれも物理的な攻撃を得意としている。

「よし、頼むぜ〜、ワンコ」
「ナナキだよう!」

あまりに悪気無く言われた「ワンコ」という呼び名に、ナナキは少し不満げな顔で名乗りをあげる。

「ナナキな、覚えた! ティファとユフィ、銃のおっさんは後方で援護してくれるか! 回復やら補助やらは頼むぜ〜!」
「了解! 任せて!」
「しょうがないなぁ。ユフィちゃんのケアルは高くつくからね」
「オウ! 頼むぜ〜、クラウド、ナナキ、あとザックス!」

ザックスが全員に指示を出し終えた頃、ダイヤウェポンは完全に振り返ってこちらに敵意を向けていた。
全身が白く硬質な表皮で覆われており、見るからに防御力が高そうだ。ザックスが魔法攻撃の得意な者を前線に配置した理由を、その場に居た全員が理解した。

「後方部隊、マバリア頼む!」
「任せとけ!」

奈々同様にてきのわざマテリアを持ったバレットが、マイティガードで全体に保護魔法をかけた。
事前に奈々が作成したウェポン・レポートの内容を把握しているザックスが、次いで攻撃部隊へと指示を出す。

「クラウド、ナナキ、こいつに有効なのはアルテマやコメテオの高威力魔法や、弱点である雷魔法だ。最初はそれメインで攻めるぞ」
「ウン! わかったよ!」
「しっかしこのダイヤウェポン、奈々のレポートに『防御力が高すぎて物理攻撃は殆ど通らない』って書いてあったが…本当に硬ぇな! さっきの一撃もまるで効いちゃいねえ」

このダイヤウェポン、表皮が硬すぎて並みの物理攻撃ではまるでダメージを与えられないのだ。召喚魔法やリミット技を複数回使用することで表皮を剥がすこともできるが、まずは隙を作るために魔法攻撃で少しずつダメージを与えて行くのが良いだろう。

ダイヤウェポンはクラウドたちに向かって何発もの青い光弾を放った。
見るからに高温であろう光弾を1つ残らず避けたナナキが、軽やかに飛び上がってサンダガを放つ。広範囲に広がる青白い雷が、ダイヤウェポンに突き刺さる。

次いでザックスがコメテオを唱えると、ダイヤウェポンの上空から小さな隕石が降り注いだ。
煩わしそうにそれらを振り払ったウェポンが、ザックスたちが立つ場所目掛けて足を振り上げる。
あの巨躯に踏み潰されてはたまらない、と3人はすぐに退避する。が、次の瞬間に放たれた光弾が彼らに命中してしまった。

「あっちぃ!!」
「うわー! オイラの毛が焦げちゃったよう!」

文句を言いながらも、ナナキとザックスはクラウドを庇うようにして光弾を防いだ。
クラウドはというと、2人の一歩後ろでマテリアに何かを念じているようだ。


赤い召喚マテリアに魔力を込め、カッと勢い良く目を見開き、天高く赤いマテリアを掲げて「来い、バハムート!」と声を上げた。

次の瞬間、ミッドガルエリアの曇り空が更に暗くなり、ゴロゴロと稲妻の音が響き始める。
やがて分厚い雲が渦を描きだし、その渦の中心から黒い鱗を光らせた飛竜、バハムートが姿を現した。

バハムートは静かにウェポンを見据えて、2度ほど羽根を羽ばたかせる。そして口にエネルギーを溜め始めた。
危機察知したのだろうか、ダイヤウェポンがハバムートに向かって光弾を放つが、時既に遅し。急速に肥大化したエネルギーが限界突破し、勢い良くダイヤウェポンへと降り注いだ。

薄い紫色を帯びたエネルギーが大爆発を起こし、あたり一面に熱風が吹き荒れる。
少し離れた場所に居るクラウドたちも肌がヒリヒリと焼けるような熱を感じ、思わず腕で顔を覆った。


しばらくしてクラウドたちが目を開くと既にバハムートは去っており、目の前には表皮が少し剥がれた状態のダイヤウェポンが変わらず立ちはだかっていた。

「バハムートのメガフレアでもこの程度か…」
「確実にダメージは与えてるぜ。そもそも俺たちの目的は注意を引き付けることだ、順調じゃねえか!」
「そうよクラウド! 無茶しないで、今の状態をキープして!」

後方からケアルガを飛ばすティファが言う。
ユフィもクラウドへとエーテルを使い、召喚魔法によって大きく削られた魔力が幾分回復した。

『クラウドさん、聞こえますか! もうすぐキャノンの充填が完了します! それまでにもう少し、ウェポンを西方向に移動させてほしいんや!』
「西方向か、わかった」

ウェポンと北の大空洞を同時に叩くとなると、そのどちらも射程範囲に収まっていなければならない。クラウド、ザックス、ナナキはアイコンタクトを取ってからジリジリと指定された方向へと移動した。

「ほ〜ら、こっち来いよ! 俺たちは光弾だけじゃ倒せないぜ?」

ダイヤウェポンは誘われるがままにゆっくりとクラウドたちを追う。その足取りが先ほどよりも早まっているところを見ると、多少なりともダメージを受けて焦っているのかもしれない。

「どうだー? スパイネコ!」
『なんやねんさっきからスパイスパイて! まぁ…場所はええ感じですわ!』
「よし! ここでもうちょい粘るぞ!」

そう意気込むザックスたちだったが、ダイヤウェポンが急に進路を変更して再びミッドガルに向かって歩き出す。

「あれっ、何で向こうに行っちゃうんだろう」
「ウェポンは星の害となる物を破壊するように出来てるって、奈々のレポートに書いてあった。多分だけどよ。俺たちよりも魔晄キャノンの方が有害だと認識されちまったかもな」

ザックスの言うとおり、発射間近の魔晄キャノンには膨大な魔晄が充填されている。
星から延々とエネルギーを吸い上げるキャノンのほうを優先して破壊せんとするのは、ウェポンの構造からしても理にかなった行動だ。

しかし、そうなると今まで稼いだ時間が台無しになってしまう恐れがある。
かと言って今から高威力の召喚魔法でも使うとなると、それはそれで詠唱に時間がかかってしまう。
どうしたものかと歯を食いしばるクラウドの横から、突然後方部隊であるユフィが顔を覗かせた。

「ユフィ?」
「まったく、しょうがないなぁ。奈々から借りた"とっておき"のマテリア、使ってやるから!」

そう言ったユフィは装備したマテリアに手をかざし、すぐに魔法を唱える。
普段マテリアを集めるばかりで使用することは少ないユフィ。珍しいこともあるものだ、とクラウドとナナキは顔を見合わせた。
そして僅か数秒後、ユフィはありったけの魔力を込めて「いっけえー! アルテマ!」とダイヤウェポンに向かって手をかざした。

すると、驚くほどに高密度の魔力が緑色の光となってウェポンの周りに集中し、キイイィ…という高音を響かせながら爆発を引き起こした。
他のどの魔法よりも高威力のそれは、究極という名に相応しい魔法だ。

「ユフィ、いつからそんな魔法使えるようになってたの!? 全然知らなかったわ!」
「へへ、奈々から借りてんだ〜!」
「盗んだんじゃないのか?」
「借りたの! …勝手に」

横を向いてぼそりと言われたその一言に、クラウドやティファは揃って頭を抱えた。
しかしユフィの放った一撃のおかげか、ウェポンの歩みが再び停止した。

『クラウドさん、魔晄キャノンの準備が整いました! 今すぐここを離れるんや! でぇっかいのが来るで!』
「わかった。皆、行くぞ!」

ケット・シーの通信を聞いたクラウドたちは、すぐに戦線離脱してハイウインドへと乗り込んだ。いつでも離陸できるように準備していたハイウインドは即座に飛び立ち、ダイヤウェポンから距離を取る。

すると静止していたダイヤウェポンが、肩部の表皮の下から無数のエネルギー弾をミッドガルへ向けて発射した。同じくらいのタイミングで、ミッドガルの方からキラキラと発光体が猛スピードで飛んでくるのが見えた。

二種類のエネルギーがすれ違い、ついに魔晄キャノンから放たれたエネルギー砲がダイヤウェポンのコア部分を貫いた。いくら攻撃しても倒れることの無かったウェポンをいとも簡単に貫いたエネルギー砲は、勢いを失うことなく北へと飛んでいく。
身体を貫かれたウェポンはゆっくりと地に伏し、やがてその身体はライフストリームへと還って行った。


「すげえのが行ったな…ミッドガルは無事か!? マリンは!」
「マリンって、あの女の子か? 4歳くらいの」
「マリンを知ってんのか!?」

ミッドガルに残ったマリンを心配するバレットの言葉に反応したのは、意外にもザックスだった。4歳くらいの女の子、とマリンの特徴を的確に言い当てたザックスに、バレットは「マリンはどこいにいる!」と詰め寄った。

「あの子なら確かカームに居るって言ってたかな。奈々が言ってたし、間違いないと思うぜ」
「カーム…そうか…ミッドガルには居ねえのか…」

バレットは心から安心した様子で息を吐いた。
エアリスの養母であるエルミナにマリンを預け、こうして旅に出たバレット。マリンに会えないまま今に至り、少し前には神羅にマリンの身柄を拘束されていたのだから、気が気ではなかっただろう。

ザックスから得られた情報で落ち着きを取り戻したバレット。
しかし、次の瞬間には再びケット・シーが「あわわ…えらいこっちゃ…」と慌て始めた。

「ウェポンが放った光弾が神羅ビルに命中してもうたんです!」
「おいおい! 奈々は大丈夫かよ!」
「分かりません…ボクの本体や他の幹部たちは神羅ビルの中層階におって大丈夫でしたが…どうやら社長室が全壊したと…」

ケット・シーもザックスも奈々が今どこで何をしているのか把握しておらず、仲間全員が顔を青くする。

「一応、情報だけお伝えします。見ての通り、魔晄キャノンの砲撃によってダイヤウェポンは殲滅。並びに北の大空洞を覆っていたバリアも消滅が確認されとります!」
「こっちは上手く行ったか…」

計画通り、一度の砲撃でウェポンと大空洞のバリア双方を破壊することが出来たのは僥倖だった。
しかし奈々の無事も分からない今、手放しで喜ぶことはできない。

「俺はミッドガルに戻るぜ。奈々のことも心配だし、あの爆発に巻き込まれた人が居たら救助してやらなきゃならねえ」
「ザックス…」
「お前達は北の大空洞だかって場所に行くんだろ? ミッドガルは俺に任せとけ!」

グッと拳を握ったザックス。彼の自信と活力に満ち溢れた笑顔は、見る者を安心させてくれる不思議な力がある。今もその効果は顕在で、クラウドは静かに頷いて「奈々を頼む」と答えた。

「しっかし、クラウドお前…強くなったなぁ〜」
「いきなり何だよ、ザックス」

嬉しそうな笑顔でワシャワシャとクラウドの頭を撫で回すザックス。
5年ぶりに自我を取り戻した状態のクラウドと会話できたことが本当に嬉しいのだろう。
クラウドもクラウドで、文句も言わずされるがままになっている。

「さっき一緒に戦ってみて、お前がもう大丈夫だってことは分かった。お互い、大事なモンを守るために頑張ろうぜ」
「ああ、正念場だからな」

互いに頷き合い、それ以上言葉を交わすことなくザックスはハイウインドのデッキへと向かって行った。
ハイウインドに寄り添うようにしてホバリングしているスキッフに飛び移るつもりなのだろう。

「もっと話さなくてよかったの? 久しぶりに会えたのに」
「ああ…全て終わってからで大丈夫だ。きっと、俺もザックスもまた会える」

数日前までの不安定さが嘘のように、クラウドは凛とした瞳のまま呟いた。

***

ザックスと別れ、ハイウインドで北の大空洞まで飛翔してきたクラウドたち。
地面にポッカリと空いた穴を塞いでいたバリアは既に消え失せ、地上には以前と同じ風景が広がっていた。

「シド、このまま大空洞内へ降下できるか?」
「あったりめぇだろ! オレ様の部下を舐めんなよ」

得意気に親指を立ててみせるシドが降下指示を出そうとした瞬間。それまで静かにしていたケット・シーが「なんだと!?」と、普段の口癖も忘れて声を上げた。

「なんだ?」
「待ってくれ、スカーレット、ハイデッカー! どういうことだ!」

ケット・シーを操る本体である、リーブ・トゥエスティの言葉がこちら側に漏れている。
相当パニックに陥っているのだろうか、本体とケット・シーのコントロールが混ざってしまっているようだ。

「あ、いや…どういうこと、なんや…」
「もういいって。アンタの正体は分かってるよ、リーブさん。何が起きてるんだ」

神羅と長きに渡って戦い続けてきたバレットだからこそ、神羅の幹部連中の顔や特徴をしっかり記憶しているのだろう。姿を消した宝条、今しがた名前を呼ばれたハイデッカーとスカーレットを除けば、まともな幹部はリーブ1人しか残らない。

バレットの視線に観念したケット・シーが事情を打ち明ける。
ダイヤウェポンとの戦いから1時間も経過していないというのに、再び魔晄キャノンが動き始めていると。
魔晄キャノンは高密度かつ膨大なエネルギーを一度に発射する武器だ。威力が高い分、キャノン自体にかかる負荷も大きい。
一度使った後は最低でも3時間は冷却時間を置かなければ、オーバーヒートを起こしてミッドガル全体を巻き込むような大爆発が起きかねないのだという。

にも関わらず、再稼動を始めた魔晄キャノン。
リーブがそれを止めようとするが、どうやら遠隔操作を一切受け付けない状態らしい。

「誰がそんな事を…」
「宝条や。いつの間に監視を逃れたのか…止めようにも、宝条が魔晄キャノンを直接操作しとるんや…こっちからじゃ打つ手があらへん」
「魔晄炉自体を止めるってのはどうだ? できねえのか?」

頭を抱えるケット・シーに、そう提案をするシド。
ケット・シーは力なくフルフルと首を横に振った。

「水道なんかと違おて、魔晄炉は地面に穴を開けてライフストリームを直接吸い上げてる装置なんや。数秒バルブを閉める程度のことはできても、止め続けたら…行き場ののうなった魔晄エネルギーが大爆発を起こしてまう」
「なら、直接ミッドガルへ行ってどうにかするしかないな」

クラウドがそう言えば、ケット・シーは期待に満ちた目で仲間を見回した。

「助けてくれはるんか、クラウドさん…」
「仲間だろ。それに、ミッドガルを放っておけはしない」
「ねえ、ケット・シー。先にミッドガルへ戻って行ったザックスに連絡取ってみない?」
「せや! ザックスさんなら協力してくれるハズや!」

ティファの発案に、ケット・シーは表情を明るくしてからブツブツと何かを呟き始める。

「ザックスさんに連絡つきました! ミッドガルは大混乱らしいですが、ザックスさんも魔晄キャノンの方へ向かってくれはるそうです」
「頼りになるヤツだな、あいつ!」

バレットが嬉しそうに言ったのを皮切りに、ハイウインドも全速力でミッドガルを目指し始める。
しかし、ケット・シーの口から発されるのは良い報告だけではなかった。

「なんちゅうことや…ハイデッカーが私怨だけで軍を動かしよった。クラウドさんたちを撃退する言うて、新兵器まで用意してるみたいですわ」
「構わない、全て倒して進むだけだ」

毅然として言い放つクラウドに、ケット・シーは「…おおきに、クラウドさん!」と礼を言った。

「ここまで来てはみたが、やっぱり奈々のことが気になる。無事を確かめるためにも、ミッドガルに向かおう」
「オイラもそれ、賛成!」

ナナキが嬉しそうに鼻をひくひくと動かす。ナナキだけでなく、この場に居る全員が奈々の事を気にしていたのだろう。
バレットの「そうと決まれば早く行こうぜ!」という言葉に対し、シドが「今全速力で飛んでる所だ、ちょっと待っとけ!」と声を上げた。

「あいつの事だ、きっと危険を察知して上手く生き残っているはずだ」
「そうだよ。奈々、意外としぶといもんね〜」

クラウドの言葉に同意の声を上げるユフィ。
仲間のうちの誰も、奈々がこんな事で死んだりはしないと信じているようだ。

手が届かないほどの脅威と相対しているというのに、彼らの表情には未だに希望の色が満ち溢れていた。

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