※熱を孕んだ傷口 ラグシェ
:SS魔導/微グロ/微エロ
苦い、血の味がする。 何度も歯の裏をなぞり、舌を絡ませ吸い付く。そんなうねる様なキスの最中に、そう思った。
血の味がするのは両者の口端が切れ、そこから口内に血が流れ入っている所為だった。さらに、シェゾは口端どころでなく肩も盛大に裂かれ血が吹き出している。そして言うなれば俺の右腕も広い範囲を切り裂かれており、勿論血もたくさんそこから滴り流れている。二人して重傷を負ってしまっていた。
何故俺達が重傷を負っているかというと、先ほどまで魔物と戦いを繰り広げていた為。そして見事勝利したものの、お互い深手を負ったので、そこらの木陰で休んでいた、 はずなのに、こちらを見つめる少し充血した碧眼に、疲労の為に繰り返される荒い息に、血がこびりついた形の良い唇に、俺は熱してしまっていて。
唐突に仕掛けたキスに、シェゾはただ受け止めてくれるだけだった。 そして今の状態にいたる。
口を離せばどちらのか分からない透明に赤が濁り混ざった液がつう、と糸をひいた。
「・・・痛いか?」 「痛くないわけがない」 「だよな・・・」 「止めるな」
ぐい、と、シェゾは俺の胸倉を掴み無理矢理キスを再開する。 自ら積極的に舌を絡めるシェゾは、目を瞑りキスに没頭していた。頬は紅潮し火照っている。 ああ、綺麗な顔が火照るのはとても色っぽい。俺もうっとりした気分でキスに集中しようと思ったのだが、ふとシェゾの肩に目がいった。 傷が塞がらない肩からは次々と血が流れておりとても痛々しい。そう思うも俺はその肩の傷に、何故だか見入っていた。
そこで、血は性欲を煽るのだと聞いたのを思い出した。 なるほど、確かにそうだ。熱い。体が蒸気していくのを感じる。 勇者でありながら血に欲するなんてなんてことだと心の中で自分を卑下するも、俺の体は動きを止めようとはしなかった。
欲してしまったものはしょうがないのだ。所詮欲は抑えようが無いもの。 溢れ出す欲心に光の勇者とはなんたるかを完全に忘れきってしまっていた俺は、口を離しキスを中止して、シェゾの肩に深く刻まれた傷に舌を這わせた。
「あ゛っ・・・!?」
シェゾから苦痛を訴える様な色気の微塵も無い声が出る。 まあ、色気なんてあったものじゃないのはあたり前だろう。突然塞がっていない傷口を舐められたのだから。シェゾの眉間には激痛を耐えるように皺が寄せられた。
「何、して・・・っ、がっ・・・!」
シェゾから漏れるのは呻きに近い喘ぎばかり。いや、そもそもこれは喘ぎでもなんでもない。ただ苦痛からくる呻きだ。これではせっかくの情欲が萎えてしまいそうだ。 ・・・いやしかし、これはこれでいいかもしれない。自分には到底無縁だと思っていたサディストな情緒が沸きあがってくる。実際、萎えるどころかどんどん気持ちが高ぶる一方だった。
と、そこでようやく今自分がされていることを理解したシェゾが、俺の髪を乱暴に掴み、引き離そうと食って掛かってきた。
「馬鹿っ・・・お前、正気か!?」
正気じゃないだろう。普段のラグナスを考えれば、今している行動は実に有り得ないものだった。ラグナス本人もそれを理解しているつもりだったのだが、欲に負け動きを止められない。
「・・・君の血が、あまりにも艶っぽかったから」 「・・・・・血・・・?・・・ああ・・・、」
しまった、口が滑った。そう思ったのに、俺の言葉に納得したようにシェゾは黙り込んだ。 そして、にやりと口端を吊り上げる。 何か嫌な予感をさせるその面持ちに、身を強張らせたその時、 じくりと、熱い、痛い、そんな感覚が全身に痺れるように伝わった。まさかと思い、自分の深手の傷を負った左腕を見やると、シェゾは予想通りの行動を取っていた。
シェゾはそこに噛み付いていた。先程の仕返しと言わんばかりに力強く。 あまりの痛さに思わずくぐもった声が漏れる。
「ぐうっ・・・!」 「なるほどな」
満足そうな笑みを浮かべ、シェゾは笑った。
「お前の気持ち、分かるかもしれない」
そう卑猥な目つきで言うものだから、俺の体の熱はどんどん上昇していくばかりで。
ああ熱い。顔も耳も手も自身も傷口も。
「・・・シェゾ・・・熱い・・・」 「ああ、俺も、熱い・・・」
それから俺達はお互いを貪り食うように行為を続けた。それも朝まで。 それまで俺達のいた木陰付近を誰も通らなかったのと、途中で傷が塞がり出血多量にならなかったのがなによりの幸いだった、のだが。
代わりにその日はシェゾの冷かしを一日中聞く羽目になってしまったのが、なによりの気うといであった。
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なんだか色々すみませんな内容ですみません← 獣みたいなのが書きたくて(( 最後シェラグっぽいですが誰が何と言おうとラグシェです!w
title...依 存 症様
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