「HiMERUさん最近、何かあったのですか」 アルカロイドとCrazy:Bでたまたま現場が近かった日、巽から会わないかという誘いがあった。 天城がアルカロイドに共闘を持ち掛けたあの日――巽とHiMERUが再会したあの日から二人は星奏館旧館Crazy:Bの居室で会うようになっていた。俺としては全くそんなことをしたいわけではなかったがHiMERUのためには巽の誘いを断ることはできない。今日も人のいないはずの部屋に明かりが灯った。
「―― HiMERUは何か変でしょうか。巽」 身体を寄せ合って過ごす二人は側から見れば恋人同士のようにみえるだろう。実際彼らは恋人同士ではあるが気持ちは全く入らない。そんな中、巽からの何かあったのかという疑問。HiMERUは今日の行為に問題があったのかと内心ヒヤリとしたが、顔だけは崩さずに巽に向けた。 「いえ、最近のHiMERUさんはなんだか別人のようで……」 巽は少し歯切れの悪い調子でHiMERUにとって最悪の言葉を放った。どうやって取り繕うべきか悩んでいると巽は身体をHiMERUに寄せた。 「変なことを言いましたな」 忘れてください。身体をさらに寄せ、抱きしめるように腕を回し睦言と同じ声で囁く。その声に身体がぞわりとしたが、それは嫌悪からか情事の火照りからか。今のHiMERUには判断がつかなかった。 「どんな君でも俺は愛していますよ。」 そんなHiMERUの心境を知ってか知らずか巽はさらに言葉を続けた。 「……ありがとう巽」 何も知らないくせに、それ以上HiMERUにつけ込まないでくれ。 気持ちが乱れてそれ以上言葉が続かなかった。
そんな言葉が聞きたかったんじゃない
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