高速道路に雪が落ちている。よく晴れた日の朝だった。
「あ、恵!道路に雪落ちてる。ウケる〜」
 運転席に座る五条ははしゃいだ声と共にこちらを向いた。その瞬間車が僅かに揺れる。
「前見てください。危ないですよ」
「はいはい、恵は真面目だね〜」
 五条は雪をくしゃりと踏んで軽快に走っていく。踏まれた雪はあっという間に後ろに遠のき、消えた。
 どこか遠くから運ばれてきたであろう雪もこの晴天の空の下ではすぐに溶けてしまうだろう。
 それでも伏黒は彼が轢いた雪を少し寂しく思った。



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