少女の幸せとは

Step.2 私とトト子の関係性
六つ子ニートを追い出したトト子が私の部屋にノックもせず入って来て一言。

「ねえなまえ〜、お腹空かない?」

二つ結びでカチューシャを付けて、シンプルなピンクのタートルネックにチェックのミニスカート。ほぼほぼすっぴんでもこの可愛らしさといったら。
シンプルな装いが逆に本来の素材の良さを引き立てているのが恐ろしい。

下唇に人差し指を添えたトト子がこう言ってきたら、「お腹空いたからお前なんか作れよ」という意味が込められているので、いつも私がご飯を作るはめになる。逆らうと碌な目に合わないのは学習済みだからだ。

というか昼間から働かず何をしているんだと思う人もいるかもしれないが、私はしっかりと働いている。断じてニートではない。いずれ実家の魚屋を継ぐため、たまに魚屋の手伝いをしたり、普段はアルバイトをしている。

しかしトト子はほぼニート。気が向けば魚屋を手伝ったりするが、ほぼ毎日デートやらで忙しい。本人曰く、「男が貢いでくれるから自分を磨くだけで生きていける」らしい。これを素で悪びれもなく言える辺りクズさが窺える。それでも彼女にお近づきになりたい人間は絶えず現れるのだから、世界は残酷だ。

長年のトト子の調教のせいで逆らう事のできない私は、彼女の可愛らしいお願いを一つ返事で受けるしか選択肢がない。

「何が食べたいとかある?」
「ううん。なまえが作るご飯はなんでも美味しいから」
「…わかった。」

トト子の事を散々に言ったが、結局私もトト子の事を嫌いにはなれない。

「あ、これからデートだから、30分以内に作ってよね」

嫌いにはなれないが、心底腹立つ。
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