(青春謳歌?番外)

「こ、…んにちはー…」

扉の窓からある光景を目にして引き戸の僅かな隙間からササッと部室に入り込んだ私は机に伏せる赤色の物体基サソリ先輩にゆっくりと近づく…前に音を立てないよう美術室を漁り真っ黒のマッ○ーを手にした。
キュポンッ、とフタを外してサソリ先輩の頭部に近づける。しかしこの男、寝顔まで美しい。閉じられた瞼のおかげで殺気や侮蔑の篭った目が向けられないのはいいが、このキラキラと輝く寝顔はある意味心臓に悪い。それでも私に、今更止めるという選択肢はなかった。

「……(肉、肉、肉…)」

気を取り直してゆっくりと額にペンを近付ける。いつも蔑ろにされている仕返しが出来るんだと、喜びで手が震えた。
いよいよペンと額の距離が5センチになるかという瞬間。

「黙ってりゃいい気になってんじゃねェぞ…このアマ。ククッ…覚悟は出来てんだろうなァ?」

がしっ!!と掴まれた手は捻り上げられ持っていたペンは床に落ちた。

「ヒィッ!!」

覚醒してらっしゃるサソリ先輩はそれはそれはいい笑顔で、私の手を掴んだまま落ちたペンを拾い上げ、とても綺麗な微笑みを浮かべてこう言った。

「これはこれは…丁度いいタイミングで、油性のペンがあったなァ?」

“肉”以上に芸術的な落書きに、私が後から来た先輩方の笑い者になったことは言うまでもない。
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