※始めに言っときます。管理人は日吉大好きです。






「ねえ、食べないの?」
「…………」

目の前に座る明るい茶髪の男の子は三日前に突然私の家にやってきた。別に親戚という訳でも、養子という訳でもなく、赤の他人がどこからか私の家に入り込んだのだ。

行く宛もないらしいその子の様子を不憫に思い警察にも通報せず、毎日ご飯を用意してあげたり、何かがあったときのために貯めていた貯金で服を買ったりベッドを買ったりとしてあげたのにコイツは何も喋らない。ご飯も食べないし、寝ない。どうやら私を誘拐犯だと思っているらしい。

失敬なやつ。

「もう無理、警察。警察に、言おう。」

私の呟きにも何の反応も示さない。そろそろ
私だって我慢の限界だ。大人げないとか構うもんか。

「意味わかんない。なんでこんな、名前も知らない子供置いとかなくちゃいけないの、色々用意だってしてるのに、何も返事してくんないし……ほんと、なんなの。施設にでもどこでも行ってよ…っ!」

一万円札を何枚か引っ掴んで男の子の傍らへと叩き付けた。

「……っざけるな…!!」
「っきゃ…!?」

右腕を掴まれてバランスを崩した瞬間に床に押し倒され身体を縫い付けられた。

「誰がこんなところ、来たくて来た訳じゃない!お前が勝手にやったことだろ、早く俺を元の場所に帰せ!」
「知らない!早くどっか行って、放してよ!」

早く帰せ、どっか行って、押し問答が続く。男の子は荒い息遣いで、顔スレスレの床を殴った。
子供とはいえ、男の子だと気付かされる。

「早く、帰せ。」

ぽたり、頬に水が落ちてきた。それはやはりと言うべきか男の子の涙で。整った顔を歪めて涙を堪えている姿に私は悟った。

信じたくないだけなんだ、と。

「現実を見なさい」

無情にも私が言い放った言葉を受けて静かに離れていった男の子。私が警察に通報して事情を説明するときも何も喋らなかった。

あれからあの男の子がどうなったかなんて知らないし、逆に知りたくもない。
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