小さな声でしゃくりあげるように泣いても誰も助けてくれなかった。まるで存在していることが罪なんだと、悪いことなんだと言うように世界は私を蔑んだ。そんな毎日に慣れてしまえば悲しくなんてない。それが当たり前なんだと開き直ってしまえば苦しくなんてないのに、心の中ではいつか誰かが存在を許してくれるのではないかと淡い期待を抱いてしまっていたのです。みんな私を罵倒した。私のことが大嫌いだと言って笑った。髪の毛もハサミで切られたし、突き飛ばされて体中が絆創膏まみれになるのもいつものこと。仕方ない、だって私はぐずだから。存在をなかったことにされるほうが辛いから。それでも心のどこかでは願っていました。誰か私に優しくして、誰か私を愛してとずっと願っていたのかもしれません。
「罪木」
あなたが私を呼ぶ声はずっと欲しかった優しさに溢れていた。だから私はあなたが大好きでした。本当に、あなたを想うだけで気持ちが明るくなる。いつも泣いていただけの私に笑顔をくれたのはあなたです。それなのに、あなたは私にだけその優しさをくれたわけじゃないのです。私よりももっともっと、あなたの優しさに触れている人がいます。あなたもその人を愛しているんですね。きゅっ、と心臓が痛い。痛いのは慣れているけれど、これは違う。あなたを想うことで得た優しさに似た痛み。たとえ届かなくても、伝わらなくても、私はあなたからもらったこの優しい痛みを忘れたくはないのです。

優しい痛みに憧れて
title by たとえば君が

2013.0127

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