▽ 素直に言えない康太
「はー…カッコいい」
目をキラキラと輝かせ、ほんのり頬を染めてうっとり。語尾にハートがついているというオマケつき。
俺の家でテレビを見ていたら、トーク番組にゲストとして登場した俳優を見て凛はそう言った。
俺の隣で。
「…………」
もちろん面白くない。
仮にも俺と付き合っているのに、何で自分以外の男にそんな表情をするんだ。
「ねっ、かっこいいでしょ!」
と、何故か俺に同意を求めてくる。
男と女とでは見方や感じ方は違うとは良く言う話だが…今回にいたっては残念ながら男の俺でも格好いいと思う。
まぁ、凛の意見に肯定するのは嫌だけど。
「どうしたの?康太」
「…………どうもしない」
何とも言えないモヤモヤした気持ちは勿論凛に言えない。
自分の気持ちが凛にバレないように、思わず目をそらす。
「…あ、もしかしてヤキモチ?」
「…………ち、違う」
反射的に出た否定に凛はふふっと笑った。
「康太ってホント嘘がつけないよね、私に」
「…………そんなことはない」
「ほら、また嘘をついた。私には分かるんだから」
と、気がつくと俺の目の前に凛の顔があった。
「康太って嘘つくとき、絶対に私の目を見て言わないもん」
「…………」
「あ、顔が赤い。可愛い」
「…………嬉しくない」
「ふふ、そうやって拗ねるところも好き」
「…………だから違う」
「…私のこと好きじゃないの?」
「…………そのことじゃない」
「じゃあ、好き?」
「…………あ、さっきの俳優喋ってる」
「もー話逸らさないでよ」
自分から好きと言うのはどうも慣れない。
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後書き
久々だったので、小ネタで。
(2017.09.30)
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