▽ 伊月君と星に願いを
「今日は七夕だよ、七夕!」
「そうだな」
「そうだな、って…なんで冷めてんの?」
「いや、それよりも試験の方が大事だし」
「はあ…これだから真面目な俊は困るよ」
「…俺より良い点取ってから言えよ」
「何か?」
「何も」
「俊は何か願いごととかないの?」
「そういう凛こそないのか?」
「質問を質問で返すのは駄目だよ!…まあ、いいけど」
「いいのかよ」
「……やっぱ、俊が先に言わないと言わない」
「…なんだよそれ」
と面倒そうに言う伊月。
最初は答える気があった癖に俺が言わないと言わないとか…、まあ、いつものことだけど。
そんなことを思いながらも、そうだな、と伊月。そして何か閃いたかのようにポンと手を叩いた。
「皆がダジャレに興味を持ちますように」
「却下」
「え、却下て」
「そんなんじゃ駄目だよ!もっとこう…夢のあるような」
「ダジャレは夢が沢山つま「却下!」
「…最後まで言わせてくれよ」
「他にないの?あるでしょ!こう…」
「……」
「あの…その…」
なかなか言わない凛を見てふう、と優しく笑う伊月は彼女の頭を撫でる。
「はっきり言わないと分からんぞ?」
「うー…分かっているくせに!」
「分からないから聞いているんだけど」
「もう、俊のバカッ!」
「バカだから分からないからちゃんと凛の口から聞きたいな」
「絶対に狙っているでしょそうでしょ。リコちゃんに言いつけてやるんだから」
「なんでそこでカントクが出てくるんだよ」
「俊だけ練習量を倍にしてもらう」
「それはそれで困るな」
「困れば良いんだよ!」
ぷく、と膨れる凛。その姿が余りにも面白くて、可愛くて。
伊月はそっと抱き締める。
「そうしたら凛と一緒に帰るエネルギー無くなるけどいいのか?」
「うー…」
さっきから「うー」だのなんだのと、恥じらう発言が多い。
…流石にそろそろ可哀想だな。十分に凛の反応を楽しむことも出来たし。
伊月は抱いている手を緩めて凛の顔を見つめる。
「分かった。正直に言う」
凛とずっと一緒に居れますように―…
++++++++++++++++++++++++++
後書き
なんかひたすらイチャイチャしてただけじゃねーかコイツら。ってな感じで終わってしまった。
なんか背中がかゆい(知らんがな
ちなみに今回は珍しく第三者視点で書いてみました。難しかった。
(2012.07.07)
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