8
「おい、キティ」
あの騒動から数日、転入生は全校集会で正式に補佐として発表されて、生徒たちからたくさんの不満をかっている。
まあ、副会長が有無を言わせなかったんだけどね...
そんなある日、体育祭実行委員として最近よく生徒会室に出入りするようになったひーくんは今日もどうどうと生徒会室に入ってきた。
「ちょっと、ひーくん!その呼び方やめて!」
「あ?いいじゃねえか、誰もいねぇんだし」
「よくない!」
確かに誰もいなかったからよかったけど、普段は要もいてるし最近は転入生が張り切っているせいか会長や副会長も出入りしている。
「...うるせぇな、お前は」
「ひーくんが悪いんでしょっ」
「はいはい...で?のん、でいいのか?」
ひーくんは呆れたように頭を掻くと俺の名前を呼んで尋ねてきた。
その雰囲気が彼の兄にとても似ていて、俺は懐かしくなったと同時にひーくんに名前を呼ばれて照れて俯いた。
「っ、...」
「ククッ...なぁに、照れてんだよ今さら」
「だって、何気にひーくんに呼ばれるの初めてなんだもん」
「そうだっけ?...まあ、お前のそんな反応も新鮮でおもしれぇな」
ひーくんはクックッと喉の奥で笑うと、俯いている俺の頭を軽く撫でてソファーに腰かけた。
前へ 次へ
栞
戻る