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勝谷先輩と廊下を歩いていると目立つ。
だが、誰も文化祭の企画の宝探しの宝を隠すのだとは思っていないらしく、みんなかわいくきゃあきゃあ騒いでいるだけである。
特に俺のファンクラブの子たちは嬉しそうに手を振ってきてかわいいったらありゃしないね。
もちろん俺もそれに応えて手を振り返す。すると勝谷先輩がこっちを見ていた。
「どうしたの、先輩」
「お前はずっとそんなんだな」
「だってみんなかわいいもん。それに、俺が手振り返すだけで嬉しそうにしてくれるんならこれくらいね」
まあ、勝谷先輩は知らないだろうけど今俺に手を振ってる子の中に勝谷先輩の親衛隊の子たちも何人かいるんだけどね。
放課後ということもあり生徒たちは帰る支度をしていて、校舎にはそんなに人が残っておらずもう少ししたらみんな寮に帰るであろう。
とりあえずみんなが返ってから宝を隠すことにして、見回りがてら時間を潰そうと勝谷先輩と考えていると、俺の耳に一人の生徒の言葉が入ってきた。
「青木さまが黒髪になってた!!」
その言葉は他の生徒たちの耳にも入ったらしく、周囲は騒がしくなった。
それもそのはず、ひーくんが金髪なのは全校生徒が知っていることなのだから。
「青木さまが黒髪!?」
「僕、青木さまの金髪好きなのにっ」
「でも黒髪の青木さまも見てみたいかもぉ」
生徒たちは口々にそんなことを話しているが、俺の頭の中でひーくんと黒髪が違うところで結び付いていた。
「…まさか、」
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