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夏休みが始まって約二週間、やっと俺にも夏休みがやってきました。
会長が夏休み宣言をしたその日の午後、すでに荷造りを済ませておいたかしこい俺は一度部屋に帰るとその荷物を持って正門に向かった。
「しーくうううん!!」
そこで俺を待っていたのはバイクにもたれ掛かって携帯を弄っているひーくんそっくりだけど髪の毛が黒い美少年で、俺はその人物…青木時雨に飛び付いた。
「っと、…おつかれさん、のん」
「わーい、しーくんだしーくんだ!」
「クククッ…そんなに俺に会えて嬉しいか」
しーくんは腰あたりに引っ付いて離れようとしない俺を楽しそうに見ながら俺の頭を撫でた。
決して引き剥がそうとしないところがしーくんのいいところだよね。
「ほら、のん暗くなる前にさっさと帰るぞ」
「はーい。…れんちゃんとようくんは?」
「二人とも帰ってきて溜まり場にいるぞ」
そう、ようくんは俺たち生徒会よりも先に仕事を終わらせてれんちゃんを連れてさっさと先に帰っていったのだ。酷いよね、同じとこに帰るのに待ってくれないんだよ?
「…のんは、どうすんだ?帰るか?」
しーくんは心配そうに俺の顔色を伺いながらそう問いかけてきた。
俺はふるふると首を横に振ってあいつのところには帰らないと伝えた。
「じゃあ、俺ん家行くか。氷雨も帰ってきてるし」
「うん!」
行き先が決まったところで俺はしーくんのバイクの後ろに跨がり、前に乗っているしーくんの腰あたりにしがみついた
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