私は走った。
ひたすら駆けて駆けて駆けて賭けて描けて架けて懸けた。
アナタの元へ行く為に。
どうしよう、早くしなきゃ……。
急がなきゃ、間に合って!

私が、心の底から強く願ったその時。

がくん、と今迄走っていた私の足が止まり、地面に膝を着いた。

「え………」

分からない。

私は確かに、誰かに会う為に走っていた。今もまだ荒い息のとおり、全速力で。
それ程、大切な人だったのだろう。

でも、
   もう何も覚えてないよ。


「……っく、っあ、ぁ、あ」
気づけば、私は泣いていた。
ボロボロと大粒の涙が、瞳から溢れてくる……。

可笑しいな……。
私達って、残された人が悲しまない様に、死んだ人の事…忘れるんじゃなかったっけ??

あれ……?どうして私は泣いてるの??

「っぁ、ひっ……ふぁ…」

私は、胸はぽっかりと穴が空いた様な、空虚感をただただ、感じていた。




「っ…だ、ぃすき…っ、だっ、た」

そう呟いた言葉は、静かに消えていった。


ねぇ、君は何処に居るの?

クリスタルの加護とは、思うより残酷なものだ


_______________________________________


0120428 ねお

[ 1/36 ]

[*prev] [next#]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -