私は走った。
ひたすら駆けて駆けて駆けて賭けて描けて架けて懸けた。
アナタの元へ行く為に。
どうしよう、早くしなきゃ……。
急がなきゃ、間に合って!
私が、心の底から強く願ったその時。
がくん、と今迄走っていた私の足が止まり、地面に膝を着いた。
「え………」
分からない。
私は確かに、誰かに会う為に走っていた。今もまだ荒い息のとおり、全速力で。
それ程、大切な人だったのだろう。
でも、
もう何も覚えてないよ。
「……っく、っあ、ぁ、あ」
気づけば、私は泣いていた。
ボロボロと大粒の涙が、瞳から溢れてくる……。
可笑しいな……。
私達って、残された人が悲しまない様に、死んだ人の事…忘れるんじゃなかったっけ??
あれ……?どうして私は泣いてるの??
「っぁ、ひっ……ふぁ…」
私は、胸はぽっかりと穴が空いた様な、空虚感をただただ、感じていた。
「っ…だ、ぃすき…っ、だっ、た」
そう呟いた言葉は、静かに消えていった。
ねぇ、君は何処に居るの?クリスタルの加護とは、思うより残酷なものだ_______________________________________
0120428 ねお
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