「ストレートフラッシュ」

朝長の手札が出される。7からの5つのエースが綺麗に並んでいた。

そもそもの事の発端は朝長の一言だった。
「暇だしトランプでもしないか?」
「はあ?」
朝長の部屋に来たはいいがやることもなくただだらだらと過ごしていたら急に朝長がこう持ちかけてきた。こいつトランプとか持ってたんだ。
「まあいいけど・・・何やるんだ?七並べ?それともババ抜きとか?」
「なんかありきたりだな」
「じゃあどうするんだよ。神経衰弱とかもありきたりだし」
というかまあ暇潰しだしありきたりでもいいんだけど。ありきたりじゃないのっていうとなんだろうか。スピードとかページワンなんてどうだろう。俺がルール知らないから無理か。
「そうだ。ポーカーでもするか」
「ポーカーってなんか賭けるもんあんのかよ」
「別になくてもいいんじゃない。どうせ暇潰しだし」
それもそうだけど。まあいいんじゃないかどうせ暇だしこいつの気まぐれはいつものことだ乗ってやろう。丁度いい暇潰しにはなるだろ。

「せっかくだから罰ゲームでもつけるか」
朝長がそう言い出したのは俺のドローの前だった。
俺の手札はストレートフラッシュでまあこれは勝ったななんて思っていたら朝長が思いついたみたいだ。今日はいつも以上に気まぐれなんじゃねぇの。まあ暇だしいいけど。
「そうだな。賭けもしないでやってもつまんないしな。いいぜ、罰ゲーム」
「じゃあ罰ゲームは勝った方が決めるってことで」
朝長の口元が笑っている。ふうん、そういうこと。成程ね。
「賛成」
俺は手札を全て変えてみせた。



「で?日向の手札はどうなったの」
既に勝ったつもりらしい。いや勝つことを前提の罰ゲームだったのだからこの余裕は仕方ないのかもしれない。にしてもストレートフラッシュね。やってくれるじゃねぇか。
「俺?なんだと思う?」
口元だけで笑ってみせる。このまま出しちゃつまらない。ポーカーフェイスなんて出来ないしせめて小芝居ひとつ演じてみようぜ。
「何それ?俺よりいい手札作っちゃったの?」
「さあな。案外負け惜しみかもしれないぜ」
「へぇ、で?どっちなの」
「お前、その手札で勝ったつもりなんだろうけどさ」
俺はひとつため息をついて手札を広げた。

「お前の勝ちだよばーか」
俺の手元には数字がバラバラな5枚のハートが並んでいた。



「で?罰ゲームはなんにするよ?」
「何お前。まさか罰ゲームの為にわざと負けたとか?」
「どうだろうな。どうせどっちが勝っても罰ゲームの内容は一緒だったと思うぜ」
「同感」

それじゃあ気まぐれなキングからの罰ゲームを受けてやるとしますか。


ハートで埋めた退屈
(キスは暇つぶし終了の合図)
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