パーティ会場は深夜の公園で。
パーティの食事はコンビニのケーキにペットボトルのジュース。

パーティの参加者は二人きり。



春休みの一日。学校の無い一日。友達と遊んだ一日。

そして忍足謙也の誕生日という一日。

午前10時

朝から友達に誘われてみんなに祝ってもらって。
奢って貰ったりゲーセンで遊んだりして楽しかった。
ユウジにも蔵にもみんなにも祝ってもらって嬉しかった。

パーティなんてものではないけど、こんなのもいっかな。なんて

いつもと変わらないのもいっかな。なんて

思ったりして。


でも光からの連絡はまだ来てない。
一番欲しいのに。一番祝って貰いたかったのに。
未だに光からの連絡は無い。

午後7時

いつもより夕食は豪華。
好きなもんばっか出してくれて。
忙しくて夕食にいつもはいない親父も珍しくいたりして。
家族に祝って貰えるって幸せ。

友達とは違った幸せ。とか

反抗してた時期もあったけどやっぱり嬉しい。とか

思ったりして。


でも、まだ光から連絡はない。
祝って貰ってない。

午後8時。

母親がケーキを買ってきてくれて。
家族で食べようっておかんが言い出したり。
甘いものが苦手な親父も食べてて驚いた。
弟がプレートの部分をくれたり。

いつもより笑顔で。

珍しく家族団らんで。

誕生日にちょっとした感謝をした。


まだ光からの連絡は、無い。

午後9時。

部屋に一人。
いろんな人からお祝いのメールとか電話とか。
いっぱい来てて。
全部嬉しくて一人で感動してたり。


でも光からは無い。

午後10時

今日は一日疲れた。
もう眠い。
寝ようか。


でも光から連絡が無いから来るまで寝ないでいる。


午後11時

誕生日が終わるまであと1時間。
明日からは普通の日で。
暇だしラケットでも見に行こうかなとか考えてみた。


もう光からの連絡は諦めたほうがいいかもしれない。


午後11時30分

一通の新着メール。
見て即行で家を出た。


『家から一番近くの公園』


題名も無い。これだけのメール。
だけど差出人は光だから。
当然。

全速力で走っていった。



「謙也さん、やっぱ早いっすね」
「当たり前やどあほっ!全速力できたっちゅーねん!」

公園にはブランコに乗ってる光しかいなかった。

「俺がっ、どれだけ光からの連絡を待ったと思、って、た」

段々泣きそうになってきた。ずっと待ってたんだ。期待してたんだ。
やっときたんだから。

「泣かないで下さい。誕生日ぐらい笑顔で終わりましょう?」
「誰の、せい、や、と」
「ハイハイ、誕生日遅れて悪かったすわ」
「ほんまに、悪っ、いわ」
「どうしてもプレゼントが決まらなくて」
「あと、二人きりで会いたかったんすわ」

手。って言われて不思議に思ったてたら。

「手ぇ、出してください。左手」

そう言われて素直に出したら薬指に、指輪。
中学生ですし普通のシルバーリングですわなんて言ってるけど。
値段なんて関係なくて。嬉しくて。また泣きそうになって。

「ま、それ買ったら金なくなったんすけどね」

なんて、コンビニの袋を差し出してきて。
中身はケーキとかお菓子とかジュースとか。

「おま、コンビニって・・・折角の感動かえせやっ!」
「しゃーないっすわ。これ、俺の家で食べます?」

今日と明日、家族は俺一人なんすわ。どうします?

そんなの。そんなこと言われたら返事はひとつしかないじゃないか。

「じゃ、今から光の家で二人で祝おか」


明日の予定は急遽変更。
明日も普通の日じゃなくて。

言い忘れてましたわ。そんな言葉と一緒に

午前0時

「誕生日おめでとうございます」

キスと一緒に次の日がやってきた


世界は貴方で動き出した
(はっぴーばーすでー、君)
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